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ルネサンス・バロック音楽関連映像上映会が始まりました
=「優美な旋律 華麗なる色彩の世界」を体験してみませんか・・・=

2010年10月22日

ルネサンス・バロック音楽って何?
 ルネサンス音楽は15世紀から16世紀にかけてのヨーロッパの音楽です。ルネサンスは「再生」を表す言葉で、古代ギリシャ・ローマの復興を目指した美術・文学などの文化運動ですね。ただしルネサンス音楽は時代は同じですが復興とは関係がありません。声楽曲(教会音楽)が中心で、今のフランスやベルギー、イタリア地方で栄えました。日本にもザビエルがこの時期の音楽を伝えたようです。
代表的な作曲家にパレストリーナ(1525頃-1594)、ラッソ(1532-1594)がいます。

 

 

パレストリーナ

 

 バロック音楽は17世紀から18世紀、1750年頃(バッハの没まで)までの音楽です。バロックとは元来「いびつな真珠」という意味です。均整と調和のとれたルネサンス様式に対し、ゆがんだ印象があるという意味で名づけられたとのこと。自由な感動表現、動的で量感あふれる装飾形式が特色です。この時代に現代の音楽の基礎が作られたと言えるでしょう。代表的な作曲家には、J.S.バッハ(1685-1750)、ヘンデル(1685-1759)、ヴィヴァルディ(1678-1741)がいます。
 バロック音楽は近年大変な人気を博しています。オリジナル楽器(古楽器)の演奏者が増え、様々な演奏表現で古い音楽から新しい魅力を引き出しています。特に、バロック・オペラはヨーロッパでは大ヒットしています。様々な音楽にあふれている現代人の心にバロック音楽はさわやかに響き、癒しのような効果をあげるのではないでしょうか。

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   J.Sバッハ                 ヘンデル              ヴィヴァルディ

 
今回の映像の見どころは?

 今回上映している映像は、昨年アートライブラリーが受入れたDVD「ルネッサンスバロック音楽大系」(アイエムシー出版)で、全21巻にわたる壮大なシリーズです。作曲家はダンスタブル(1390頃生)、デュファイ(1397-1474)からモンテヴェルディ(1567-1643)、ヴィヴァルディを経てバッハ、ヘンデルに至るまで約350年にわたる作曲家75人の作品371曲を取り上げています。

ルネ5.jpg

このシリーズの見どころを紹介しましょう。

ア 楽器に注目してください!ルネ6.jpg
 当時使われたオリジナル楽器(古楽器)が多く使われています。現代楽器と似ていますがどこが違っているのでしょうか。見たことのないような珍しい楽器も多くありますので楽しんでください。
たとえば、バロック・ヴァイオリン(右図)ではモダン・ヴァイオリンと異なり、駒の下部が薄く上部が厚いこと、指板が短いこと、ネックが太いことなどの特徴があります。また、バロックボウ(弓)は中間部が少し膨らんだ本当の弓に近くなっています。

イ 音色や演奏方法に注目してください!
音色は優美でありやや渋く聞こえますね。これは当時のピッチ(音高)が現代(A440Hzが標準)よりも低かったのですね。(バロックピッチA415Hz)また、弦楽器ではヴィブラートをかけずに(又は少なくして)演奏しています。
                                              バロック・ヴァイオリン
 

ウ 美しい収録場所と衣装に注目してください!ルネ7.jpg
収録は、曲目にあわせてヨーロッパの歴史的な宮殿や教会で行われています。美しい宮殿の広間や教会の礼拝堂も必見です。また、演奏者は当時の華麗な衣装をまとっており、あたかも数百年前にタイムスリップしたかの感がします。

エ 映像や音にも注目してください!
デジタルハイビジョンでの鮮明な画像と録音は大変素晴らしく、カメラワークもとても見やすく、見るものを飽きさせないようになっています。 
 

                                                     撮影の一部が行われたコロルノ宮殿
                                                      (パルマ/イタリア)

 

オ 各国ごとの音楽の違いを味わってください!
イタリア、フランス、ドイツ、イギリスなどそれぞれの国の風土や民族性、宗教の違いなどが音楽にも現れています。その違いも楽しいです。
                     
カ 「アーティストによる古楽器紹介」の映像をご覧ください!
この映像は、アーティストが実際に使用した古楽器の歴史や構造をわかりやすく解説しています。鍵盤楽器、弦楽器、管楽器にわたり15の楽器を紹介しています。これは必見ですよ。

 

 なお、筆者のお気に入りは、時代が最も古い「ルネッサンス=声楽曲集=」です。聴いているうちに心が清められ、そこからなにか新しい力を得るような感動を覚えます。

 

 次回は、上映会場で実際に展示されている古楽器について紹介します。
(A.M.)