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 冬季オリンピックが2月7日にロシアのソチで開幕します。オリンピックの種目の中で特に注目度が高いのがフィギュア・スケートです。観る競技としてとても華やかで、音楽に乗って演技をするので、リズミカルな動きと鍛錬された技が織り込まれ、観衆を魅了します。

 日本は、シングルでは男女とも3人ずつ代表を送り、団体戦の出場資格もあります。さらに、女子の3選手はいずれも地元愛知出身で現在の練習拠点も県内にあります。

 アートライブラリーでは、音楽に関する資料を多く所蔵しています。地元ゆかりの選手が関係する競技で使われる楽曲を紹介することで、オリンピックを盛り上げるとともに、この機会に是非、アートライブラリーの豊富な録音資料を知っていただければと思っています。

 浅田選手が今回のショートプログラムに使用する「ショパン:ノクターン 第2番変ホ長調」は、7シーズン前の16歳の少女のときに使った曲です。今度は同じ曲で、23歳の大人になって表現力に磨きのかかった演技を見せたいと言っていたのを何かの記事で見ました。今シーズンをスケート人生の集大成と位置付けている彼女のソチでのスケーティングに注目したいものです。なお、この楽曲は地元愛知の生んだ天才ピアノ少年牛田智大君の録音もありますので、他のピアニストの演奏と聴き比べるのもよいでしょう。

 figure2014-1.jpg  (C)David W. Carmichae


 先日、NHKで浅田選手がニューヨークまで行って、元コーチで振付担当のタラソワさんとフリースケーティングに使う曲について相談をして、「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調」に決めたときの模様が放映されました。代表クラスになると、技の構成だけでなく、曲の選択にもいろんなエキスパートの助言を得ているのです。このシーンが示すように、フィギュア・スケートにおいて選曲がいかに大事であるかがうかがえます。

 

 鈴木選手がフリーで使用する「オペラ座の怪人」は音楽の旋律ではなく、物語に強い関心があります。ファントム(怪人)役の長久保コーチの導きで、代表選考の全日本選手権の大舞台で、プリマドンナに成長したクリスティーヌ役を見事に演じきった鈴木選手の姿に感動をおぼえました。「オペラ座の怪人」のストーリー性が、試合のリンクの内外の状況と重なって見えたのは筆者だけではなかったと思います。この作品は、録音資料だけでなく映像資料も所蔵しています。

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(C)David W. Carmichae

 

 村上選手のようにシーズンの途中で使う曲を変更するケースもあります。今シーズンの前半、あまり調子が上がらなかったので、代表選考のかかった全日本選手権の直前にショートプログラムの曲を「川井郁子:ヴァイオリン・ミューズ」に変えました。それがどの程度影響したかわかりませんが、2位となり見事初代表の座をつかみました。

  figure2014-2.jpg  (C)Luu

 

 曲にまつわるエピソードをいくつか紹介しましたが、今回の展示のラインナップは、名曲が多いので音楽として聞いても楽しめます。しかし、どうせならスケーターの華麗な演技を想像しながら聴いて欲しいものです。アートライブラリーでプログラム曲を聴いて、本番のオリンピックで日本選手を応援しましょう。

 なお、アートライブラリーは、注目の女子フィギュアが行われる時期に年に一度の特別整理休館に入ります。休館明けの3月7日(金)には展示内容のパワーアップを予定しており、特に日本人選手が金メダルを獲得したときは、金メダルデコレーションを計画しています。
 

 また、今シーズンは、3月後半に世界選手権が7年ぶりに日本で開催されます。それまで本展示は続けますので、オリンピック後も是非ご覧ください。

 なお、本展示は中日新聞の記事で紹介されました。

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転載許諾番号 20140131-13836

 

(H.K)

 

「第90回 フレッシュコンサート」を12月18日(水)にフォーラムI(2階)で開催しました。

『きらめきコンサート☆ 波馬姉妹&金澤みなつ』と題して、波馬朝加(はま あさか)さん、波馬朝光(はま あさみ)さんの波馬姉妹のヴァイオリンとピアノの金澤(かなざわ)みなつさんによるアンサンブルを160名以上の方にお楽しみいただきました。

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【 左から、波馬朝加さん、波馬朝光さん、金澤みなつさん 】

◎ 今回の演奏会は…‥
ハチャトゥリアン、シンディングの名曲やクリスマスメドレーなどの9曲でした。

1曲目は、アラム・イリイチ・ハチャトゥリアン(1903-1978年)作曲「剣の舞」を演奏しました。
この曲は、ロシア人のハチャトゥリアンが1942年に作曲したバレエ音楽「ガイーヌ」の最終幕に「クルド人が剣を持って舞う戦いの踊り」を表した曲です。
ハチャトゥリアンは、セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953年)、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906-1975年)ともに、作曲家のソヴィエト3巨匠の一人と言われています。
ヴァイオリンとピアノが奏でる野性的なリズムとメロディーは、剣を持つ戦士が舞台の左右、前後に動き走り回るかのようで、聴衆の皆さんは楽しそうに聴き入っていました。

演奏後、波馬朝加(姉)さんから『テンポの速いメロディーの「剣の舞」で、寒さを吹き飛ばすように奏でました。』の説明のあとに、メンバーの紹介をしました。

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2曲目は、クリスティアン・シンディング(1856-1941年)作曲『2つのヴァイオリンとピアノのための「セレナーデ」第1楽章』を演奏しました。
波馬朝加さんから「ノルウェー人のシンディングは有名ではない作曲家ですが、ツイッターのレキュ(Rekyu)を引く中で探し出した曲です。とても素敵な曲であることを知って、私たちが演奏する中で広め深めたい一つの曲です。」の説明がありました。
ヴァイオリンとピアノが奏でるしっとり、ゆったりしたメロディーの音色は、北欧の情景を思い浮かべさせるようで、心を癒してくれる素敵な曲でした。
シンディングは、エドヴァルド・グリーグ(1843-1907年)と並ぶノルウェーが生んだ重要な作曲家です。交響曲、ピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、合唱曲などを作曲していますが、その中では、ピアノ曲「春のささやき 作品32-3」(1896年)が最も有名です。kirameki3.jpg

 
3曲目は、井上陽葉作曲「きらめく朝」を演奏しました。
波馬朝光さんから「私が愛知県立芸術大学を今年3月に卒業した同級生で、仲のいい友人である井上陽葉(いのうえ あきは)さんに私達姉妹のオリジナル曲をお願いし、1年半前にこの曲を作っていただきました。とても素敵な曲で大好きです。曲は第1楽章、第2楽章となっています。」のお話がありました。
第1楽章は、朝日の光が水面にきらきらと輝くような音の響きから、ゆったりと心地よい響きへと続きました。第2楽章は、広い野原に子犬が飛び跳ねたり、飛び回ったりしている楽しそうなイメージをヴァイオリンとピアノが奏で、聴衆の皆さんは温かい拍手を贈りました。
作曲した井上陽葉さんもこのコンサートに来られ、演奏後に紹介されました。

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【 左から2人目が「きらめく朝」を作曲した井上陽葉さんです。 】

プログラム最後の4曲目は、金澤みなつさんから「クリスマスにはまだ少し早いようですが、クリスマスメドレー5曲をお届けします。私の緑色、朝加さんの赤色のドレスがクリスマスを表しているでしょうか。寒い中お越しいただき、本当にありがとうございました。」のお話がありました。
Happy happy Christmasメドレーは、小林亜星(1932年- )作曲・吉岡治作詞「あわてん坊のサンタクロース」に、ジェームス・ロード・ピアポイント作曲「ジングルベル」、グルーバー作曲(1787-1863年)「きよしこの夜」、トミー・コーナー作曲「ママさんがサンタにキッスした」とジョニー・マークス(1909-1985年)作曲「赤鼻のトナカイ」の5曲を演奏しました。
ヴァイオリンとピアノによる快活でリズミカルな演奏は、聴衆の皆さんをクリスマスの楽しく温かい雰囲気に包みこみました。

≪  ものしりあれこれ 「三大クリスマスソング」を知ってる!? ≫
クリスマスのロングセラーとして、「ジングルベル」「サンタが街にやってくる」「赤鼻のトナカイ」を『三大クリスマスソング』と言われています。
「ジングルベル」は、牧師であるジェームス・ロード・ピアポイントが1857年に作詞・作曲した歌です。日本では、堀内敬三、庄野正典、宮澤章三などの訳詞がよく知られています。
「サンタが街にやってくる」は、フレッド・クーツ作曲、へヴン・ギレスピー作詞が1934年に発表された。日本では、神戸孝夫の訳詞が知られています。
「赤鼻のトナカイ」は、1948年にジョニー・マークスが作詞・作曲した歌です。日本では、新田宣夫の訳詞がよく知られています。

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温かい拍手に応えたアンコール曲は、ヴィットーリオ・モンティ(1868-1922年)作曲「チャルダッシュ」でした。
モンティはイタリアの作曲家です。この曲はもともとマンドリンのための独奏曲で、浅田真央選手の2006‐2007年シーズンのフリー演目曲としても知られています。

三人の女性アーティストのジプシー音楽風の大変情熱的な演奏に圧倒されました。ヴァイオリンとピアノの魅力をたっぷり味わうことができました。本当にありがとうございました。

来場の皆さんからは…‥
◎ 今回が初めての方々から
・『波馬姉妹の演奏も素晴らしかったが、月1回、このようなイベントがあることを初めて知りました。クリスマスメドレー、とても楽しい気分になりました。』
《60歳以上、女》
・『二科展に来て、思いかけずプチコンサートにあえて、ステキなひと時を持てました。華やかさもあり、トークも楽しく、機会があれば是非観賞したいです。「きらめきの朝」のCDでているのかな? ステキでした。』《60歳台、女》

◎ いつも来られる方々から
・『ヴァイオリンとピアノの音色のコントラストが非常に良かった。波馬姉妹の息もぴったりで感動した。ピアノの金澤さんが入ることにより一層引き立った。「剣の舞」、クリスマス曲集がよかった。是非、いい曲を聴かせてください。』《60歳台、男性》 
・『波馬姉妹のヴァイオリン、金澤さんのピアノ演奏、何ともいえない、素晴らしい。特に「2つのヴァイオリンとピアノのためのセレナーデ」は初めて聴いた名曲です。クリスマスメドレーが和みました。』《年齢・性別不詳》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。


≪ 3人からのメッセージ ≫

金澤 みなつさん
私たちからの演奏のクリスマスプレゼントを受け取ってもらえましたでしょうか?♪
クリスマスの飾り付けがされたかわいい会場で、
たくさんのあたたかいお客様に囲まれて本当に楽しい時間でした。
貴重なアンケートも全て拝見し、今後の活動に活かせていけたらと思います。
寒い中聴いてくださったお客様、そして会場設営をしてくださったスタッフの方々、
全ての人に感謝致します。本当にありがとうございました。

波馬 朝加さん
とっても寒い中、たくさんのお客様が私達のフレッシュコンサートに
足を運んで下さり本当に嬉しく思います。
温かいお客様に恵まれて、とても楽しく演奏させていただく事ができました。
皆様にとって聴きやすい曲をと選曲しましたが、
その甲斐あってか、聴きながら音楽にのって体を揺らしたり、
クリスマスソングを一緒に口ずさんでくださったりして、
短い時間の中で会場の皆様との一体感が生まれたように思います。
また、この演奏会で演奏できますよう、
これからも精進してまいりたいと思います。
この度、この演奏会に関わって下さったスタッフの皆様はじめ、
全ての皆様に感謝致します。ありがとうございました。

波馬 朝光さん
先日のフレッシュコンサートでは大変お世話になり、ありがとうございました。
多くのお客様にお越し頂き、演奏中やMCをしている際、
笑顔で聞いて下さっている方もみえて、
私自身とてもリラックスして楽しい時間を過ごすことができました。
同様に、お客様も楽しんで頂けていたら幸いです。
私は今回で二回目の出場でしたが、前回も今回も、
本番後すぐお客様の書いて下さったアンケートを拝見することができ、
嬉しいお言葉も厳しいお言葉も頂けて、とても有り難く思いました。
この度の経験を糧にまた成長できるよう、でも、フレッシュな気持ちを忘れずに、
今後も精進していきたいと思います。
本当にありがとうございました。


さて、次回は、第91回フレッシュコンサートを、平成26年1月22日水曜日のお昼(午後0時15分-0時45分)にフォーラムI(2階)で開催する予定です。
『歌の歳時記コンサート-日本の歌 こころの歌-』と題して、田中由美子さんのソプラノ独唱を堀田みづほさんのピアノ伴奏で、北原白秋作詞、山田耕筰作曲の「まちぼうけ」、「この道」や土井晩翠作詞、滝廉太郎作曲の「荒城の月」などの日本の愛唱の歌の魅力を楽しんでいただきます。
↓詳細はこちらをご覧ください。↓
http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/fresh/index.html
 (M.K&A.M)