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9月28日(水)に「第63回 フレッシュコンサート」を開催しました。

今回は、『テノールとソプラノの競演』と題して、テノールの大久保 亮さん、ソプラノの柴田智加さんと、ピアノの高羽加奈子さんでお楽しみいただきました。

当日は230名を超える方に、『テノールとソプラノの競演』の歌声を聴いていただきました。
今回は、『島田章三展』などの美術鑑賞に来られた「名古屋市立香流小学校の児童、先生(約80名)」の皆さんも一緒に楽しまれました。

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【 左側から、高羽加奈子さん、柴田智加さんと大久保 亮さんの三人 】

 ◎ 今回の演奏曲は…‥
大久保さんのトークを交えながら、アンコールを含めて9曲を独唱や二重唱で歌っていただきました。

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【来場の皆さんとトークをされる大久保 亮さんら三人】


最初の二曲は、柴田智加さんに、日本の懐かしい唱歌を歌っていただきました。
1「初恋/越谷達之助作曲」
2「くちなし/高田三郎作曲」

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【ソプラノ独唱の柴田智加さん】


続いて、大久保 亮さんに、ドイツのリヒャルト・シュトラウス作曲の3曲の歌曲を歌っていただきました。
3  「あした! (Morgen!)」作品27-4 歌曲集『四つの歌』の第4曲
4 「万霊節(Allerseelen」」作品10-8

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【テノール独唱の大久保亮さん】


5 「セレナーデ(Standchen」」作品17-2
6曲目は、柴田智加さんに、フランスのシャルル・グノー作曲の歌劇『ファウスト』第3幕より「宝石の歌」を歌っていただきました。

≪ちょっぴり雑知識≫
歌劇『ファウスト』は1894(明治27)年11月24日に宮内省式部職付属音楽学校(東京芸術大学)奏音堂で、日本で最初に上演された「オペラ」で、この日は「オペラの日」となっています。

7曲目は、大久保 亮さんに、イタリアのジャコモ・プッチーニ作曲の歌劇『トゥーランドット』第3幕より「誰も寝てはならぬ」を歌っていただきました。
 
最後の8曲目は「二重唱」で、
プッチーニ作曲の歌劇『ラ・ボエーム』第1幕より「愛らしい乙女よ」を歌っていただきました。

アンコールは、9月に相応しい日本唱歌『赤とんぼ』を二重唱で歌っていただきました。

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【「赤とんぼ」を歌う柴田智加さんと大久保亮さん、ピアノの高羽加奈子さん】


来場の皆さんからは…‥

◎ 今回が初めての方々から
・『心地のよい歌声、素敵でした。とても癒されました。ありがとう。』《30歳台、男性》
・『街中で、お昼とき、音楽が楽しめるなんて、とても素敵です。若い芸術家のために是非続けてください。』《50歳台、女性》
・『美術館に来たのですが、思わぬ歌声を聴けて大変嬉しかったです。』《60歳台、女性》

◎ いつも来られる方々からfc63-6.jpg
・『ソプラノ、テノールとも、すばらしい声です。聞きほれました。』《70歳台、女性》         
・『自分の出番のないときに、大久保さん、柴田さんが、ピアノの「譜面めくり」を手伝っているのを見て、微笑ましく思いました。』《70歳台、女性》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございます。



≪三人からの出演後のメッセージは…‥≫

大久保さんは 『天井が高く、響きを感じながら気持ちよく歌えました。また、平日の昼にも関わらず、非常にたくさんの方に聴いていただけたことが、なによりも嬉しかったです。
自分の歌を、このような形で聴いていただけたのは、貴重な経験になりました。また参加できたらと思っております。』

高羽さんは 『姉妹での共演は何度かありますが、今回は3人での出演となり、楽しみながらも勉強になりました。これからも、皆様に演奏を通じて音楽の素晴らしさを伝えていけたらと思います。』

柴田さんは 『いつも何気なく通っているあの場所が、素敵な空間になりました。すべてが新鮮で、温かく、ここで演奏できたことを幸せに思います。』


さて、次回の「愛知芸術文化センター フレッシュコンサート」は、
10月26日水曜日のお昼(12:15-12:45)に2階フォーラムで開催予定です。

『ピアノ独奏-ショパンとリストの名曲のひと時-』と題して、
浜本真由さんによる「ピアノの独奏」をお届けします。


当日、皆さんと会場でお会いできることを楽しみにしています。

◎◎ お知らせです ◎○◎ ※受付終了しました
平成24年4月から9月までの「フレッシュコンサート出演者」を募集しています。

 (M.K)
 

オンド・マルトノという楽器をご存じですか?


1928年(昭和3年)にフランスで発明された電気を使った楽器です。
電気を使った楽器としては、同じ頃ロシアで発明された「テルミン」という楽器に続いて古くからある、アコースティックとエレクトロニクスが合体したような楽器です。

オンドマルトノ全体.jpg これがオンド・マルトノです!】


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写真中央のオルガンのような本体だけでなく、その周囲にある銅鑼のようなものや弦を張った葉っぱのような形のものは、実はスピーカー。


つまりこれら全部で1つの楽器なのです。本体の鍵盤を弾くと、また鍵盤の前にあるリボンを押さえるようにして演奏すると、その音が周囲のスピーカーか

ら出されます。
スピーカー自身が銅鑼や弦からできているため、とてもアコースティックな音がします。

【左はシュロの葉の形をしたパルムスピーカー】


 

 

9月21日には、愛知県芸術劇場大リハーサル室にて、「2台のオンド・マルトノによるレクチャー」を開催し、この楽器の歴史や構造、特徴について、演奏を交えながら語っていただきました。
講師は、岐阜県在住のオンド・マルトノ奏者である、市橋若菜さんと、坪内浩文さん。

    レクチャー写真.jpg【レクチャーの様子です。右が市橋さん、中央が坪内さんです。】


そして今、この楽器による音楽とダンスによる、新しい舞台作品の創作が進んでいます!


作品タイトルは「プロメテウスの光」。
曲を作曲したのは、名古屋在住の作曲家、伊藤美由紀さんです。
愛知県立芸術大学を卒業した後、マンハッタン音楽院やコロンビア大学で学んだ伊藤さんは、現在フランスやメキシコなど海外からも作曲の依頼がある、気鋭の作曲家。
今回の曲は、このオンド・マルトノに、ギター、クラリネット、さらにエレクトロニクスも重ねた音楽となりました。
9月には、初めて音あわせを行い、録音して、振付家・ダンサーのもとに送られました。

 

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【録音の風景です】


そして、この曲にダンスを振付け、演出を行うのは、現在日本で最も活躍中のコンテンポラリー・ダンサーの一人、鈴木ユキオさんです。
舞踏出身で、今や国内外で公演やワークショップを重ねている鈴木さんは、ミュージシャンとのコラボレーションも豊富ですが、オンド・マルトノという楽器を知ったのは今回が初めてだそう。
音高を滑るように行き来し揺れるような音色のオンド・マルトノや、メロディに縛られない伊藤さんの曲に、大変共感したと言います。
というのも、鈴木さんご自身も、日常の動きとダンスの境界、あるいはその揺れにとても興味があったから。

 

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【インタビューを受ける鈴木ユキオさん】

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                 【鈴木さんの過去のダンス作品の写真。
                  右は「犬の静脈に嫉妬せず」(青山円形劇場、2009年)
                  左は「HEAR」(金沢21世紀美術館、2010年)】


こうして創られつつある作品は、11月29日に小ホールで上演します。

さてどのような作品が生まれるのか。
ぜひ皆様自身が確かめてください!
現在チケット好評発売中です!

公演の前半は、オンド・マルトノのソロやピアノとのデュオ曲の演奏。
たっぷりとオンド・マルトノ自身の音色をお楽しみいただけます。


11/29(火)19:00-
「オンド・マルトノ・コンサートとコラボレーション・ダンス公演」
・チケット 
一般2,700円(前売り)
学生1,500円(前売り・愛知芸術文化センタープレイガイドでのみ取扱)


なお、11/25には、「鈴木ユキオ ダンスワークショップ」も開催。
経験者クラスのほかに、どなたでも参加できる一般クラスもあります。
申込みは11月13日まで(必着)。受講無料です!  ※受付終了しました

(A.F)

 「生誕200年記念リスト展」関連行事として、リストとショパンに関するトーク&コンサートが10/22に開催されました。講師は、愛知県立芸術大学非常勤講師の中村ゆかりさん、演奏は若きピアニストで同大学大学院の博士課程在学の金澤みなつさんです。金澤さんの奏でる名曲を聴きながら、リストのパネルに囲まれ、二人の作曲家の個性の違いを味わう楽しいひと時をすごしました。
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 今回の演奏にはサプライズな演出がありました。ピアノ鍵盤をビデオカメラで撮影して同時にそのまま背後のスクリーンに投影するもので、ピアニストの手や指の動き(打鍵や運指など)がアップで見ることができ、ピアノを習っていない方でも興味深々でした。ビデオルームだからこそ実現できた仕掛けです。
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 さて、中村さんからは二人にまつわる3つのエピソードを紹介いただきました。
最初が「愛」。二人とも女性にとても人気があったとともに、それぞれ夫ある女性と激しい恋愛を経験します。(今でいう「不倫」ですが、当時の上流階級では寛容だったとのこと。)献身的な女性の支えがあったからこそ素晴らしい名曲が多く生み出されたのですね。金澤さんの弾くリストの『愛の夢』、ショパンの『ワルツ第7番』とも作曲家の想いを感じさせられました。「愛」は芸術にインスピレーションを与えるのですね。
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マリー・ダグー伯爵夫人(1805-1876)                        ジョルジュ・サンド(1804-1876)
  ※リストの愛人                                         ※ショパンの愛人

 
 2番目が「技巧」です。2人ともヴィルトゥオーゾ(イタリア語、完璧な演奏技巧によって困難をやすやすと克服することのできる、卓越した演奏能力の持ち主に対する称賛の言葉)として有名です。特にリストの技巧は「ピアノの魔術師」と言われるくらいすさまじいものでした。
リストの指もスライドで見ましたが、ショパンに比べてもかなり大きいものでした。
リストは難しい曲も初見で弾けましたが、唯一ショパンの練習曲Op.12は初見で弾けず、残念だったとのこと。金澤さんもリストの超絶技巧にチャレンジし、熱演していました。

 
 リストトーク5.jpg「リストの手」の切手(1961東ドイツ)


 3番目が「作曲家」です。繊細なピアニズムで魅せるショパンと華麗な技巧で熱狂させるリスト、ショパンの『ノクターン』とリスト編曲の『菩提樹』と2人の対照的な音楽を楽しみました。シューベルトの『菩提樹』が華やかなピアノ曲に変身しているのは驚きです。
リストは編曲魔としても知られ、多くの曲をピアノ用に編曲し、ヨーロッパ中を演奏旅行して新しい曲を広めていったのですね。

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リストやショパンのCD、DVDはアートライブラリーで視聴できます。ぜひご利用ください。
(A.M)
 

[ 音楽 ]

10月2日(日)、第5回AACサウンドパフォーマンス道場本公演を行いました。

「AACサウンドパフォーマンス道場」は、若手アーティスト育成支援事業として、「音」を核に据えた新しいパフォーマンス作品の企画案を若手アーティストたちから公募し、書類選考、優秀な作品企画に、ブラッシュアップと劇場で上演する機会を与えるプロジェクトです。10月2日は、その成果を発表する劇場上演の日。4つの入選作品が上演されました。

1. 井藤雄一 『fmiSeq』 

コンピュータの映像そのものに伴って出される音を、映像を変化させることで操作し奏でていく作品。それによってコンピュータを一種の楽器として捉えるというのがコンセプトです。
最初に、そうした作品の意図を、その場で井藤さん自身が文字を入力し、説明していきます。文字の映像が変わるのに伴って出される音が変化し、映像そのものが音を発していることが観客にも伝わります。そうしたプロローグのあと、一気に、様々な画面の操作と音の演奏に向かいました。音はすべていわゆるノイズ音で、特に映像が変わる時に大きく発音します。大音響と点滅する画面は、万人が好むところではないにしろ、構成力とリズム感を持った上演、その迫力は一つの作品の完成を感じさせるものでした。
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2. ヒッチハイカー 『ヒッチハイク』
俳句と、街中や学校や川辺など様々な場所で録音された様々な環境音。二者を出合わせることで観客の心のなかに豊かな風景を描き出す・・・。入選として選ばれた際の企画からは紆余曲折を経て、ばっさりと潔くシンプルに仕上げてきた作品でした。
パフォーマンスは2部構成で、前半は音を聴いて正岡子規、夏目漱石の句集の中から選句し朗読。後半は、音を頼りに即興で俳句を作り朗読しました。空間も、着流しに高下駄を履いた出演者と、パソコンを操作し環境音を出す出演者の対照。俳句という最も短い詩とそれを詠み上げる声、そして実際に耳に届く環境音。俳句がこのサウンドパフォーマンスに登場したのは初めてで、これまでのどの作品とも異なる表現となりました。
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3. 堀江俊行 『ずれ木魚』
木魚を淡々と一定のスピードで叩き続けるパフォーマー。そこにさまざまにずれた音を絡ませていくことで、聞き手の音楽を聴いているという状態自体にアプローチするというのがコンセプトです。
シンプル極まりないパフォーマンスであるからこそ、どのようにずらしていくのかが、プレゼンテーションでも議論となっていました。ずれ方によっては、ミニマルミュージックのように聞こえるが、それは作者の意図するところなのか。もっと多様にずらしていく方がよいのか、あるいはずれに動じず延々と叩き続ける姿を見せるのか。
結果として、公演では、木魚を叩き続けるところから始まり、途中多様なずれを聞かせて、終わりに向けての緩やかな流れが感じられました。
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4. 垣尾優×高村聡子 『一撃1200』
動きと声と音。それらを合わせ、耳を澄まして音を聴かせることを意図した、20分の演劇的な作品。音を聴かせるに焦点を当てるという当初の目的は、プレゼンテーションを経るごとにひらめきをもって付け加わる様々な要素に紛れてしまった感がありましたが、金だらいとコインを小道具として使い、女性の高村さんと、男性の垣尾さんそれぞれが語る声や動作に伴う音が合わさり、身体訓練を極めパフォーマーとしては群を抜いた二人が織りなす、ストーリーがあるような無いようなパフォーマンスは、所々で笑いも生じる楽しいものでした。
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上演の後は、15分休憩中に、観客よりオーディエンス賞の投票が行われました。
そして、公開講評&審査会。今回顔ぶれを変えた新しい選考委員によって、まずは一組ずつ、丁寧に講評が述べられました。こうした斬新な作品は、作品の意図、上演の技術力、音(音楽)・映像・ダンス(身体行為)などの構成要素、全体の演出など、多方面の要素から質や完成度が問われるものであり、すべてに高レベルに達するのは大変難かしいことです。今回上演された入選4作品についても、若いアーティストの意欲はありそれぞれよくできた点もあるが、まだまだ課題は多いというのが全体の意見でした。

選考委員の方々.jpgその後、優秀賞を決める審査となりました。どこに評価軸を置くのか、その結果どのように選ぶのかを舞台上で考えを述べ、悩みながら、予定時間を2時間近くも超過して、ようやく優秀賞を決定しました。選考委員が悩みながらも真剣に選ぶ様子を見せたことがまた、新しい作品の創造やアーティストの育成につながっていくことを期待したいと思います。


そして、今回も、優秀賞とオーディエンス賞が決定。受賞されました方、おめでとうございます!毎回、選考委員が選ぶ優秀賞と、観客が選ぶオーディエンス賞が一致しないのは面白いところです。

 優  秀  賞 : 堀江俊行 『ずれ木魚』
 オーディエンス賞: 垣尾優×高村聡子 『一撃1200』

彼らに続く若いアーティストの作品を、来年も期待しています!
 (A.F)
 

アートライブラリー10月の新着図書・CDをご紹介します。

 

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『ジョルジョ・モランディの手紙』
岡田温司 編, みすず書房 2011年
(請求記号 723F/Mo41j/  資料番号 9110489807)

ジョルジョ・モランディは、20世紀のイタリアの画家です。
彼は、生まれ故郷のボローニャやグリッツァーナでその生涯で過ごし、国外に出ることは殆どありませんでした。
この本は、モランディが生前友人や知人たちとやり取りした手紙と、彼に関する評論やインタビュー、そして短い自伝などで構成されています。晩年のインタビューや4ページの自伝は、深く静かな彼の一端を知ることができ、とても興味深い内容です。
何度も描かれる『静物』と題された作品は、見れば見るほどに魅力を増してきます。是非、この本とあわせて展覧会カタログなどもご覧下さい。
(ライブラリースタッフT.T)

 

 

 

 

2310-2.jpg『フェルメールの光とラ・トゥールの焰 「闇」の西洋絵画史』
宮下規久朗著 小学館 2011年
(請求記号723.05/Mi83f 資料番号9110489790)

「光あれ」
旧約聖書では、神は闇に包まれた地上に、まず光をつくりました。
西洋の絵画で闇と光りがどのように描かれ、どんな意味を持っていたのか…。揺れるロウソクの焔が印象的なラ・トゥールと、窓から入る柔らかな光線を描くフェルメール。二人の画家を中心に、西洋絵画の光りと闇の変遷が生活習慣、時代背景、宗教観などをふまえて解説されています。図版が全てカラーなので、とてもわかりやすいですよ。
(ライブラリースタッフT.K)

 

 

 

 

 

2310-3.jpg『雅楽を聴く―響きの庭への誘い』
寺内直子著  岩波書店  2011年
(請求記号768.2/Te65g 資料番号9110489960)
 
雅楽とはアジア諸国の楽と日本古楽の歌舞が混ざり合い生まれたものであり、1300年以上の歴史を持つ音楽です。
この本では、雅楽の過去から現代までの流れを基礎知識の説明とともに、現代の雅楽の5つの場(京都御所、春日大社の若宮おん祭り、大阪天王寺、宮内庁式部職楽部、国立劇場)を通して案内しています。
五感を通して聴く雅楽。ゆったりした時間が流れ、音風景が広がります。
アートライブラリーにも、雅楽のCDがあります。この本とともにお聴きください。
どんな音風景が広がるでしょうか?
(ライブラリースタッフE.I)

 

 

 

 

2310-4.jpg『ショパン&リスト エチュード集 
―プレイエル&エラールピアノによる―』
小倉貴久子フォルテピアノ 浜松市楽器博物館
コジマ録音 2010年
(請求記号C1シ/オ  資料番号9310197648)

今年生誕200年を迎えたフランツ・リストのCDです。演奏に使われたのは、浜松市楽器博物館が所蔵する19世紀パリを代表する2台のフォルテピアノ。ショパンとプレイエル。リストとエラール。二人が愛したそれぞれのピアノの音色の違いを、ぜひ聴き比べてみてください。そしてCDとともに、ピアノ演奏者小倉貴久子さんの著書『ピアノの歴史』 (河出書房新社 資料番号:9110477501)をご覧になってはいかがでしょうか。使用された2台のピアノの構造の違いについても、詳しく知ることができます。他にも見た目にも美しいたくさんのピアノの写真が掲載されており、お勧めです。   (ライブラリースタッフA.I)
 

2011年は「ピアノの魔術師」とも呼ばれるフランツ・リスト(1811-1886)の生誕200年の記念年です。アートプラザでは、昨年の「ショパン展」に続き、民音音楽博物館の作成したパネルを借用し、「リスト展」を開催しています。
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リストは、ロマン派の大作曲家で、当時ヨーロッパで最も賞賛された名ピアニストでもあります。数多くのピアノ曲などを作曲・編曲し、後世に多くの影響を与えました。
今回のパネルでは、「リストの年表」、「旅するヴィルトゥオーゾ・リスト」、「ワイマールでのリスト」、「晩年のリスト」等と題し、リストの生涯をわかりやすく紹介しています。
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リストは、「ピアノの魔術師」とも呼ばれるように、超絶技巧の持ち主です。
パネルの風刺画にも8本の手で演奏しているように描かれています。また、その情熱的な演奏は特に女性に人気がありました。熱狂的なファンが、リストを取り囲みました。演奏が始まると気絶する人、リストの髪の毛を拾う女性、忘れていった手袋を奪いあう貴婦人たちなど。彼は、ヨーロッパ中を演奏旅行するのですが、各地で熱狂的な歓迎を受けます。今のロック・スターのようなものですね。リストに熱狂する人は「リストマニア」と呼ばれました。華やかな演奏活動、スキャンダルな異性関係、晩年のカトリック聖職者への帰依など波乱万丈の生涯を送りました。
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パネルでは、他にもリストに影響を与えた作曲家(ベートーヴェン、チェルニー、ワグナー、ベルリオーズなど)やロマン派を代表する作曲家も紹介しています。
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さらに、ブレンデル、グールド、フランソワ、キーシン、アラウ、内田光子などの名ピアニストたちの映像も毎日、ビデオルームで上映しています。あわせてご覧ください。

なお、10月22日(土)14時から「トーク&ミニコンサート リスト&ショパン ―名曲に聴く二人の個性― 」が同会場で開催されます。音楽学者の中村ゆかりさんが、リストとショパンの出会いや違いなどをお話し、ピアニストの金澤みなつさんがピアノによる名曲を演奏します。10月9日まで往復はがきによる申込を受け付けています。詳細はホームページをご覧ください。 ※受付終了しました

(A.M)