2012年04月123456789101112131415161718192021222324252627282930

 県美術館の「魔術/美術」展に関連して、アートプラザ・ビデオルームで「魔法とオペラ・バレエ」ビデオ上映会を開催しています。「魔術」「魔法使い」「悪魔」「魔女」「妖精」など「魔法」に関わるオペラ・ビデオをに集めました。

 「魔法」に関するオペラ・ビデオが意外に多いことにびっくりし、リストアップした作品はもっと多かったのですが、できるだけ有名な演目を選びました。
最も有名な作品はモーツァルト(1756-1791)の「魔笛」ですね。モーツァルトの死の3ヶ月前に完成した作品です。透明で美しい音楽と愉悦感に満ち溢れ、生きる喜びと力を与えてくれます。
なお、モーツァルトは「フリーメイソン」(会員同士の親睦を目的とした友愛団体・秘密結社)に加入しており、この作品にはフリーメイソンのさまざまなシンボルや教義に基づく歌詞や儀式が用いられていることが知られています。
フリーメイソンとの関わりを覚えながら、この作品を見ると新しい発見があるかもしれません。

 魔術1.jpg
「魔笛」初演200年記念切手(DBP1991)


 
魔術2.jpg
フリーメイソンの入会儀式の一部(1800年頃)

 

 今回「魔笛」の4種類の映像を用意しました。この中でユニークなものはベルイマン監督による映画版「魔笛」です。ベルイマン(1918-2007)はスウェーデン出身で映画界の鬼才とも呼ばれ、難解な作品も多いのですが、これはメルヘン的で素朴な雰囲気をよく表現しています。小劇場で上映されているという設定で、出演者がくつろいでいたり、幕の隙間から観客席を覗く光景などもあります。映像は「サクリファイス」のスヴェン・ニイクヴィストによるもので、夢幻的な映像美が、愛と夢の世界を美しく描いています。オペラと映画が見事に融合した作品です。なお、歌唱はスウェーデン語です。
 魔術3.jpg
 「野いちご」撮影中のベルイマン(1957)

 

 「魔笛」のほかに、「シンデレラ」「真夏の夜の夢」では異なる作曲家によるオペラとバレエの2種類の作品が楽しめます。比較して観賞するのもおもしろいでしょう。

 なお、これらの作品は一部を除き、上映会終了後にアートライブラリーで見ることができます。今年3月からビデオブースの機器を入れ替えるとともに、観賞席も4ブースから6ブースへと増やしました。こちらもどうぞご利用ください。

(A.M)

3月28日(水)に「第69回 フレッシュコンサート」を2階フォーラム大ホール前で開催しました。

『モーツァルトとその時代の音楽-トロンボーン四重奏-』と題した、モーツァルト200メモリアルの5人による演奏を、170名以上の来場者にお楽しみいただきました。

FC69-1.jpg

【左側から、司会役の熊崎雅芳さん、杉浦順三さん、川口茜さん、照喜名有希子さんと古井成三さんです】

 

 ◎今回の演奏曲
アンコール曲を含めて、6曲を演奏していただきました。

 

モーツァルト200メモリアルの主宰の熊崎雅芳さんが進行司会を行い、メンバー紹介と演奏曲の説明をしました。
説明の中で、『大ホール前のフォーラムは最上階まで吹き抜けになっているため、残響がとても豊かで、オーストリアのザルツブルクの大聖堂(モーツァルトがここで洗礼を受け、オルガン奏者も務めた)のようで、演奏していて大変気持ちがいい。』とのお話がありました。

最初に、モーツァルトと言えばこの曲、といわれる有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」より第1楽章アレグロを演奏しました。

続いて、熊崎さんから、モーツァルトと関係があった作曲家で「ハイドン」と「ベートーヴェン」の紹介がありました。
ハイドンとの関係は、弦楽四重奏を一緒に演奏するなどの交流があったこと、ベートーヴェンはハイドンに弟子入りしていたことなどのお話がありました。

2曲目はハイドン作曲のオラトリオで有名な『天地創造』より「大いなる偉業が成し遂げられた」を演奏しました。天地創造を果たした神をたたえる合唱をアレンジしたものです。
トロンボーンは人間の声の音域に近く、合奏により荘厳なハーモニーを奏でるため「神の楽器」として教会音楽でよく使われました。

FC69-2.jpg

 

3曲目はベートーヴェン作曲のトロンボーン四重奏のオリジナル作品「3つのエクアーレ」を演奏しました。3曲とも荘重でハーモニーが美しい曲です。

4曲目は、モーツァルト作曲の歌劇『魔笛』より「ザラストロのアリア」と「僧侶の行進」を演奏しました。バス・トロンボーンの高貴な威厳あるメロディを聴き、オペラ「魔笛」の中の神官ザラストロや僧侶たちの姿が目に浮かんできました。

終わりは、モーツァルト作曲の「アヴェ・ヴェルム・コルプス(おお、まことのからだよ)」を演奏していただきました。この曲は、モーツァルトが最晩年に作曲した最も美しい曲の一つです。トロンボーンの美しいハーモニーが、天上から降り下ってくるかのように感動的でした。


アンコール曲は、演奏者古井さんが楽譜を整理している中で偶然に見つけた曲で、曲名のない楽譜であるがこの曲は間違いなくモーツァルトの曲であるということで演奏していただきました。軽やかで、フレッシュな気持ちにさせる曲でした。 


音域に幅のあるトロンボーンの荘重な演奏に静かに聴き入るコンサートでした。

 

来場の皆さんからは…
◎ 今回が初めての方々から
・『素晴らしいです。吹奏楽でチューバの経験があり、改めてトロンボーン、かっこいいな♪と思いました。』《50歳台の男性》
・『とても素晴らしかった。ホールが高く、音色の響きがとてもよかった。』《50歳台、女性》
・『歩き疲れたときに聞こえるトロンボーンの音に引きつられ、静かな心にしみる演奏で気持ちよかった。これからも続けて。』《60歳台、女性》

◎ いつも来られる方々から
・『トロンボーン四重奏は 初めて聴きますが、深い感銘を受けた。モーツァルトの有名な曲、素人にも馴染みのある曲の演奏、よかったです。』《70歳以上、男性》
・『厳かな雰囲気の「エクアーレ」はパイプオルガンを聴いているようでした。午後のひととき、身が引き締まりました。』《70歳以上、女性》
 

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。

 

≪出演後のメッセージ≫
古井 成三さん
私たちトロンボーン四重奏の演奏楽しんでいただけましたでしょうか?
モーツァルトとその周辺の作曲家、ということで選曲面での苦労はありましたが、そのぶんトロンボーンという楽器の素晴らしさを伝えることが少なからずお伝えすることが出来たのではないかと思います。
それは、この楽器の特徴を最大限生かせる場所を提供して戴いたフレッシュコンサートのスタッフの皆様のおかげと思っております。
そしてそこから生まれた音楽を聴いて戴いた皆々様に、改めて深く御礼申し上げます。

川口 茜さん
大聖堂を思わせるような響きのある場所でモーツァルトを演奏させていただけたこと、聴いてくださる方々のお顔が見える距離でしたので、ホールでの演奏とは違う、
貴重な経験をさせていただけたこと、とても感謝しております。
ありがとうございました。 

照喜名 有希子さん
たくさんのお客様に聞いていただき、ありがとうございました。
ホールとはまた違った雰囲気でしたが、響きがとても心地よく、気持ちよく演奏させていただきました。
また、プログラムも、モーツァルトにちなんだ作品ということで、あの響きにあった作品ばかりだったように思います。
少しでもトロンボーンの魅力を伝えられていれば幸いです。
終演後も、お客様からあたたかい言葉をかけていただいたり、質問していただいたり、と嬉しかったです。ありがとうございました!

杉浦 順三さん
この度はフレッシュコンサートにお越しいただき、誠にありがとうございました。
トロンボーンによって演奏されたモーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンに普段とはまた違った魅力を感じていただけたら幸いです。 

モーツァルト200メモリアル 主宰 熊崎 雅芳さん
当日、司会者の時計が遅れていたこと、マイクにうまく声をのせられなかったことで、進行に支障をきたしましたこと、お詫び申し上げます。
解説については、内容を記載したものをお客様にお配りして、音楽の時間をより多くするようにいたします。
多数の方にお聞きいただきありがとうございました。

 

さて、第70回は、4月25日(水)のお昼(12:15-12:45)に2階フォーラムで開催予定です。


『姉妹の奏でる癒しのハーモニー ライア(竪琴)&オカリナ&歌によるコンサート』と題して、プチ・フレーズの大竹由紀子さんと浅井満里子さんの姉妹による演奏をお届けします。


当日、皆さんと会場でお会いできることを楽しみにしています。

 

◎お知らせです◎ ※受付終了しました
平成24年10月から25年3月までの「フレッシュコンサート出演者」の募集締め切りは、6月25日(月)となっています。ご応募をお待ちしています。

 (M.K)