第75回 フレッシュコンサートを9月26日(水)にフォーラム(2階)で開催しました。
『きれいに響くコンサート 独創津軽三味線』と題して、津軽三味線デュオ弦天の徳山弦泉さんと徳山天泉さんに、演奏をしていただき、170名以上の来場者にお楽しみいただきました。
【徳山天泉(左)さんと徳山弦泉さん】
◎今回の演奏曲
アンコールを含めて、10曲を演奏していただきました。
最初の曲は、師匠である徳山弦泉さんが「さくら(作曲不詳)」のイントロを弾かれ、続いて徳山天泉さんとお二人で弾きました。
2曲目は、「昔は血豆ができても弾く練習で、バチが使えなければ、自分の“爪”で弾く」との弦泉さんからお話があり、実際に「風雪ながれ旅(作曲船村徹)」を爪で弾いていただきました。
3曲目は、映画『ゴットファーザー』より「愛のテーマ(作曲ニーノ・ロータ)」を弾きました。昨年、ドイツ・ミュンヘンで開かれた東北支援「日本の祭典」で弾いた曲だそうです。
4曲目は、「曲弾き」をされました。演奏者が自由に弾くことができ、感性と技量の見せところである民謡「津軽じょんがら節」のイントロに始まり、弦泉さんが作曲された「A B」と「ドナウ川のさざなみ(作曲ヨシフ・イヴァノヴィチ)」を編曲され、演奏しました。シャープなメロディーが多く、徐々にすっきりしたメロディーに移行していきました。
5曲目は、「旧あいや節(青森民謡)」を弾きました。
初代高橋竹山さんがよく弾く曲で激しい弾きであったが、お二人は静かな三味線の音色で、「ホイ」「ハイ」と掛け声を発しながら、弾かれました。
6曲目は、天泉さんが選んだ曲「ゲゲゲの鬼太郎(作曲いずみたく)」を弾きました。
7曲目は、プログラムにはありませんが、「うれしいひなまつり(作曲河村光陽)」、映画『禁じられた遊び』より「愛のロマンス(スペイン民謡)」、わらべうたの「とおりゃんせ」の3曲を曲弾きで演奏しました。
8曲目は、幼稚園、小学校、老人ホームを訪ねた時に、よく好まれる「もみじ(作曲岡野貞一)」を弾きました。
9曲目は、「斎太郎節(宮城県民謡)」。1コーラスを津軽三味線のデュオで、2コーラス目をご来場の皆さんに「松島のサーヨ?…」と一緒に歌っていただきました。
アンコールはやらないと仰られていましたが、ご来場の皆さんの温かい拍手に応えられ、弦泉さんが作られた曲「長良川」を弾いてくださいました。
来場の皆さんからは…‥
◎今回が初めての方々から
・『津軽三味線を久しぶりに聴きました。三味線、それも津軽、あの激しい音をイメージしていたものですから、1曲1曲が短くされていたのが、残念でした。』《50歳台、女性》
・『リハーサルのときから聴いていました。本番はとても素晴らしかったです。』《60歳台、女性》
◎いつも来られる方々から
・『津軽三味線のいろいろな音色も、声も聴き応えがありました。親しみやすい曲を選んでくださって、うれしいです。』《年齢不詳、女性》
・『懐かしい民謡、三味線の音色、掛け声は日本人の心にぴったり。心が癒された一時。ご両人のユーモアも楽しみさせていただきました。邦楽、その他のコンサートもこれからもまたお願いします。』《60歳台、男性》
・『津軽三味線のダイナッミクな音色、バチ捌きに身体が熱くなりしました。「禁じられた遊び」は良かった。普通のコンサートにない、楽しいものでした。』《70歳以上、女性》
など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。
≪ 徳山天泉さんからの出演後のメッセージ ≫
明るく綺麗なフォーラム、音の響くステージ。沢山のお客様。
演奏に感激して泣いてくださった、おばあちゃん。
トークに対しての 温かい反応もいただきました。
全てスタッフの皆様のお陰です。
また、三味線としては 初めて採用していただき、嬉しさひとしおです。
さらに、スタッフの皆様には、本当に、親切にして頂き、感謝しています。
アンケート用紙、とても楽しく、また大変勉強になりました。
全て 感謝致します。
なにかの折に思い出して頂き、別件でお声をかけて頂ければ光栄です。
徳山天泉
さて、第76回フレッシュコンサートは10月24日(水)のお昼(午後0時15分?0時45分)にフォーラム?(2階)で開催予定です。
『日本語による日本人のための“泣き歌”』と題して、声楽(テノール)の山崎英明さんと、ピアノ伴奏の時松亮さんでお届けします。
◎○◎ お知らせです ◎○◎ ※受付終了しました平成25年4月から9月までの「フレッシュコンサート出演者」の募集締め切りは、平成24年12月17日(月)となっています。ご応募をお待ちしています。
(M.K)
“つながるヒト・つながるマチ”をキャッチコピーにして、東海地域とゆかりのある映画を、個性的で活気ある商店街として全国的にも知られる大須の街で上映しようという「大須映画祭2012」が、10月13日(土)・14日(日)に開催される運びとなりました。
第1回目となる今回、愛知芸術文化センターが20年間継続してきた「オリジナル映像作品」シリーズからもぜひ出品してほしいと声が掛かりました。
第1回ということにちなみ、この機会にシリーズ初期作品を集めて上映し、原点を振り返ってみようと思います。上映作品は『T-CITY』(監督:勅使川原三郎、1993年)、『トワイライツ』(監督:天野天街、1994年)、『KAZUO OHNO』(監督:ダニエル・シュミット、出演:大野一雄、1995年)の3本です。
“身体”をテーマに、映像表現の新たな可能性を切り開くような、実験的な作品を制作することがこの企画のコンセプトでしたが、パフォーミング・アーツとの関わりが深いこれらの作品には、身体と映像の関係が、非常にピュアな形で考察されていたといえるのではないでしょうか。
上映は14日(日)15:40より、会場は第1アメ横ビル4階第3会議室です。
また19:05より、シアターカフェにて、制作担当学芸員によるトークも行われます。
【天野天街『トワイライツ』(1994年、Photo:羽鳥直志)】
パフォーミング・アーツと映像の関係ということでは、引き続き愛知芸術文化センター12階アートスペースAで、アリアンス・フランセーズ愛知フランス協会との共同主催により「ダンス・フィルム・フェスティバル2012」を開催します。
この企画はDVDコレクション「コンテンポラリー・ダンスのランドスケープ」(2007年)をまとまった形で紹介するものですが、フランスのダンサー・振付家のみならず、フランスが評価する作り手も選出されており、現代におけるダンスの先端的な動向を俯瞰的に知ることができる、絶好の機会です。
昨年、当センターで公演し鮮烈な印象を残したジョセフ.・ナジが監督した『ジョセフ・ナジ、最後の風景』(2006年)や、アンジュラン・プレルジョカージュが振付を担当した『ブラック・パビリオン』(監督:ピエール・クーリブフ、2006年)の他、『ドミニク・メルシー、ピナ・.バウシュを踊る』(レジス・オバディア監督、2003年)、ウィリアム・フォーサイス振付による『One flat thing, reproduced』(監督:ティエリー・ドゥ・メイ、2006年)、『勅使川原三郎?不可視のダンス』(エリザベット・コロネル監督、2005年)等々、ダンス・ファンなら見逃せないラインナップです。
近年、ダンスと映像とは密接な関わりがあり、映像作品として見ても優れたものが少なくなく、映画ファンの方にも楽しんでいただけるでしょう。
上映プログラム等の詳細は、当センターHPをご覧ください。皆様のご来場をお待ちしています。
(T.E)
1912年は、有名な指揮者が生誕した当たり年とも言われ、セルジュ・チェリビダッケ、サー・ゲオルグ・ショルティ、ギュンター・ヴァント、イゴール・マルケヴィチ、クルト・ザンデルリンクなど20世紀を代表する巨匠たちが誕生した年です。
その中でも、「20世紀最後の巨匠」と言われ、晩年、絶大な人気を集めたのは、ルーマニアで生まれドイツで活躍したセルジュ・チェリビダッケSergiu Celibidache(1912-1996)です。「チェリ」(愛称)とも呼ばれ、レコーディングを嫌い、「幻の指揮者」と呼ばれたこともあります。
チェリは、終戦直後のベルリン・フィルを再建しました。首席指揮者のヴィルヘルム・フルトヴェングラーが戦犯容疑で演奏禁止となったため、チェリが400回以上の演奏を行ったのです。しかし、フルトヴェングラー没後、ベルリン・フィルが首席指揮者に選んだのは、ヘルベルト・フォン・カラヤンです。チェリの厳しいリハーサルや激しい性格に団員が反発をしたとか、カラヤンの方がレコーディングなどのビジネスが期待できるから、と言われており、その結果、チェリはベルリンを追い出されました(後年、インタビューで、チェリは「カラヤンはコークのごとし」と発言し、話題を呼びました。)。
チェリは、その後、ヨーロッパ各地で活躍し、晩年にはミュンヘン・フィルの音楽総監督及びミュンヘン市の芸術監督として、素晴らしい演奏を繰り広げ、愛知県芸術劇場コンサートホールでもミュンヘン・フィルを指揮し、聴衆に大きな感銘を与えています。
読売ランドにて1978年3月(石原良也氏撮影)
オーチャードホールにて1990年10月(石原良也氏撮影)
さて、今回の上映会では、チェリの多くのライブ映像とドキュメントをお楽しみいただけます。その中では、特に、次の2つの映像がお勧めです。
一つは、映画「チェリビダッケの庭」です。長男のイオアン・チェレビダーキ(チェリビダッケの別発音)監督によるもので、最晩年のチェリの音楽への情熱が伝わってくる映像です。
もう一つは、チェリが37年ぶりにベルリン・フィルに復帰したドキュメント「勝利の帰還」です。チェリは、この世界一プライドが高いオーケストラに向かって、長々と講釈を垂れ、1小節ずつ細かい指示を与えています。すさまじいリハーサル風景で、必見です。
さらに、今回は、石原良也氏からチェリの自筆手紙、写真、プログラム、ベルリンの新聞記事など貴重な資料を多く借用し、アートプラザ内に展示しています。特に、自筆手紙は、チェリの肉筆が間近に見られ、この機会を逃がすともう見られないでしょう。なお、石原氏は、チェリとの親交が深く、映画「チェリビダッケの庭」の日本語字幕の作成や、チェリに関する著作の翻訳、CD解説なども行い、チェリ研究の第一人者として知られています。
BERINER MORGENPOST(1992年4月2日付) チェリビダッケのベルリン復帰の記事
展示風景
チェリビダッケ自筆手紙
チェリのビデオは、アートライブラリーに多く所蔵していますので、上映会終了後にビデオブースでぜひご覧ください。
(A.M)