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「パリ・オペラ座バレエ団の日本公演にちなみ、2013年5月25日(土)、芸術監督のブリジット・ルフェーブル氏がバレエの魅力について講演します。」


 と、講演会のご案内を始めたところ、早々と熱心なバレエ、中でもパリ・オペラ座のファンから聴講希望のお申込みが連日届きました。パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督ご本人が公演開始直前に、しかも無料で、講演会に応じていただけるとは!全くもって、パリ・オペラ座ファンには大変貴重かつこの上ない贅沢な機会を設けられるとは、我々も予想外でした。本拠地・パリに住んでいたとしても、今回のように、かなり近い距離で聞けるようなことは稀だと思います。その点だけでも、幸運でした。
 お申込みの往復はがきは、地元愛知県はもとより、関東や関西、それに岡山県からもいただきました。聴講券としてお渡しという従来の方式ですが、近頃では、こうした催事の申込みもインターネットを利用することが増え、「往復はがき」という応募方法も少なくなりました。中には、懐かしい5桁の郵便番号時代の葉書などもあり、大切に手元に保管されていたと偲ばれ、ものを大切にすることを今一度思い出させていただきました(余談ですが)。
 さて、いよいよ当日。開場前から葉書を手にされたお客様が会場のアートスペースAの前に並ばれましたが、混乱もなく皆さま開始時刻までに順次お入りになられ、中には未来のエトワール?!というような可憐な少女たちの姿も見られました。 
ほぼ満席の状態でいざ、開演。拍手で迎えられたルフェーブル氏は、やはり舞台人、いざ檀上に登れば、さながら貴婦人のようなポーズでつつましくご挨拶。

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 内容は、ルイ14世がヴェルサイユ宮殿を舞台に自らも踊るほどの熱の入れようであったことが、今日のバレエの大きな礎になり、また、同時にこうしたことを通じて「規律」への道筋となっていたということから始まりました。と、通訳と並んで座していたはずのルフェーブル氏は、さすがは元ダンサー、おもむろに立ち上がり、ポーズやステップを披露。言葉を介するより、何より実演による解説は、解りやすく伝わっていました。

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 身振り手振りを交えながらバレエ史を、コスチュームの変移や名だたる振付家たちの試行によりどのようにして進化し、変遷を遂げてきたかについて語られました。パリ・オペラ座といえば、殿堂として古典を重視し、伝統を守る体制のようにとらえられそうですが、否、実は常に新しいものにも門戸を開き、吸収し進化し続けているということを(用意されていたビデオを見ながら)、熱く語られたかったようです。時代とともにその都度、体制や才能や力量に優劣はあれるけれど、国境を越えて優れた人材や作品が交流し発展するべきであると。パリ・オペラ座が歴史あるバレエの世界で、現在においても君臨し続けていられるのは、こうした取組がなされていればこそだと改めて納得させられました。
 今回の『天井桟敷の人々』は、フランスの名画として確固たる人気を誇り続けている映画のバレエ作品化という挑戦でした。芸術監督として就任以来20年間、常に「20世紀から21世紀に向けて道を開くこと」を自身の役割とかかげていました。そのため、今回も苦心はありつつも、スペイン系フランス人であるジョゼ・マルティネス氏によって、パリ・オペラ座の素晴らしい作品がまた一つ創出出来たことに感謝していました。
2014年9月から後任の芸術監督に就任予定のベンジャミン・ミルピエ氏については、「好奇心があり、優秀でオープンで信頼のおける人物」と紹介し、また、パリ・オペラ座に新しい風が吹き込むことに期待していました。

 予定していた時間をオーバーし、聴講されていた皆さんも本公演の開場も気になるし、けれどもっと話を聞きたいといったご様子で、席を立つにも躊躇されていました。質疑応答の時間も予定していたのですが、一時間では熱い思いは収まりきれませんでした。講演会終了と同時に、急いで大ホールへ向かわれる方ばかりかと思っていたら、なんと、ルフェーブル氏はファンに囲まれ、さながら握手会、写真撮影会の様になっていました。ようやくその後、皆さんから拍手で送られたルフェーブル氏は、温かい見送りに喜びながら会場を後にされていきました。
(K・Y)
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ブリジット・ルフェーブル Brigitte Lefèvre
8歳でパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、16歳でパリ・オペラ座バレエ団入団。1970年に初の振付作品「ミクロコスモス」を手がけ、アヴィニョン・フェスティバルで高い評価を受ける。72年にオペラ座を離れ、ジャック・ガルニエと共に“テアトル・デュ・シランス”を設立、74年-85年、ラロシェルを拠点に活動した。85年、フランス文化庁のダンス監督官に着任。94年パリ・オペラ座総理事に就任。95年8月からパリ・オペ ラ座バレエ団芸術監督。
 

プーシキン美術館展「フランス絵画300年」関連企画として、絵画と同様に17世紀半ばから20世紀半ばまでのフランス音楽の歩みをたどるビデオ上映会をアートプラザ・ビデオルームにて開催しています。
(6月23日(日)まで)

西洋音楽の本場と言えば、「音楽の都」ウィーンを思い浮かべる方が多いと思いますが、フランスも負けてはいません。「芸術の都」であるパリは、ヨーロッパ隋一の大都市として、多くの芸術家が集まってきました。音楽の分野では、17世紀からロココ風の華やかなフランス宮廷音楽が栄え、フランス音楽の基礎を築きます。19世紀にはスペクタクルな見せ場を持つグランドオペラも盛んに上演されるようになりました。

19世紀後半から20世紀初頭にかけてのパリは、数回の万国博覧会が開催され、世界各地から多彩な文化が集まります。そういう中で、時代の最先端を走る芸術家たちが活躍します。当時は、音楽や美術、文学、舞台芸術が、互いに影響し合い、時に共同で作品をつくり上げる成熟した文化活動が行なわれていました。

ルノワール(1841-1919)、モネ(1840-1926)、ドニ(1870-1943)などの印象派の画家たちと交流があった代表的な作曲家はクロード・ドビュッシー(1862-1918)です。ドビュッシーは同時代に活躍した画家や詩人から得たインスピレーションを作風に反映しています。代表作の『牧神の午後への前奏曲』(1892-94年)は、象徴派の詩人マラルメ(1842-1898)の「牧神の午後」(1876年)に感銘を受けて生まれました。また、印象派、象徴派の画家たちからの影響は、ピアノ曲「版画」(1903年)や「映像」(1905-12年)といった視覚芸術を想起させる作品にも反映されています。

今回の上映会ではドビュッシーの代表作であるオペラ「ペレアスとメリザンド」(1902年初演)を取り上げています。大変繊細で美しいオペラで、感覚的な音楽表現により美しい情景を描写しています。近代オペラ最高傑作の一つです。

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ドビュッシー                                     ルノワール(1875年頃)
 
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モネ(1899年)                                         ドニ

 


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マラルメ(1896)

他に画家との関わりのある作曲家に、フランシス・プーランク(1899-1963)がいます。プーランクは、バレエ・リュスを主宰するセルゲイ・ディアギレフからの委嘱によってバレエ『牝鹿』を作曲しますが、そのときの舞台・衣装はマリー・ローランサン(1883-1956)が作っています。
今回上映するプーランクのオペラ『カルメル会修道女の対話』(1956年初演)は、フランス革命時における修道女たちの処刑を描いたもので、大変美しく、味わい深い作品です。最後に修道女たちが聖歌を歌いながらギロチンにかかって死んでいくシーンは衝撃的で、涙を誘います。


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プーランクとワンダ・ランドフスカ                         マリー・ローランサン(1932年)

フランス音楽を聴いた後に、フランス美術を見ると、描かれた当時の時代の雰囲気がより理解できるのではないでしょうか。

なお、6月13日(木)の朝日新聞夕刊(9面)にも「もっと!プーシキン美術館展 画家と作曲家の交流感じて」と題して、今回の上映会の紹介がされています。
フランス音楽8.jpgのサムネール画像
朝日新聞名古屋本社転載許諾済

(A.M)
 

「第83回 フレッシュコンサート」を5月22日(水)にフォーラムI(2階)で開催しました。

『クラリネットとモーツァルト』と題して、モーツァルト200メモリアルの石井梨恵子(いしい りえこ)さん、工藤雄司(くどう ゆうじ)さん、船渡美歩(ふなと みほ)さん、水野沙織(みずの さおり)さんによるクラリネット四重奏の演奏に、熊崎雅芳さんの演奏曲等の説明が加わり、170名以上の方にお楽しみいただきました。


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【 左から、熊崎雅芳さん、石井梨恵子さん、工藤雄司さん、船渡美歩さん、水野沙織さん 】

◎ 今回の演奏曲は…‥
演奏曲はアンコールを含め6曲の演奏でした。
熊崎さんから、「プログラムを少し変更し、モーツァルトのサプライズ曲を加えて演奏します。」とのお話がありました。併せて、メンバーの紹介も行ないました。

第1曲目と2曲目は、クレーア・グランドマン(1913-1996)作曲の「BAGATELLE(バガテル)」と「CAPRICE(カプリース)」でした。
「バガテル」はフランス語で「つまらないこと、ささいなこと」を意味しますが、小品曲を表し、ベートーヴェンはピアノの小品に好んでこの名をつけています。演奏は春らしい軽快なメロディーでした。
「カプリース」はイタリア語では「カプリチオ」と言い、「気まぐれな、気ままな」意味で、形式に縛られない自由で気まぐれな性格を現す小品に名づけられます。リズミカルな、つい飛び跳ねたくなるような曲でした。

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続いて、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756.1.27‐1791.12.5)の3曲を演奏しました。
3曲目は、サプライズの曲として、「クラリネット五重奏曲 イ長調 KV581第2楽章、第4楽章」を演奏しました。
この曲は、モーツァルトの死の2年前に完成し、友人のバセットホルン奏者であるアントン・シュタートラーのために作曲されました。モーツァルトの作曲した最も美しい曲の一つです。
音楽評論家の故吉田秀和氏は、ブラームスのクラリネット五重奏曲と比べ「神のようなモーツァルトという言葉が、つい口元まで出かかってしまう。」と言っています。クラリネット四本のための編曲でしたが、天国のような美しいモーツァルトの世界が繰り広げられました。

熊崎さんから「クラリネットは、18世紀の初めに発明され、バセットホルン(※現代では、代用としてF管のアルトクラリネットを用いられる。)はホルンの名が付いていますが、クラリネット属の木管楽器である。」との説明がありました。


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4曲目は、「Adagio in F (Fragment) KV580a(Anh.94)アダージョヘ長調(断片)」を演奏しました。
 
5曲目は、カールス・N・スミス編曲の「LULLABY(ララバイ)」を演奏しました。
この「子守歌」は、「モーツァルトの子守歌」として親しまれていた曲ですが、その後の研究で、モーツァルトと同時代の医師ベルンハルト・フリースの作曲であることが判明し、モーツァルト作品から除外されました。
親しみやすい、ゆったりとしたメロディーに観客の皆さんは、うっとりと聴きほれていました。


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アンコールは、「Eine kleine Nachtmusik(アイネ・クライネ・ナハトムジーク)ト長調KV525」を熊崎雅芳さんによるパロディー編曲バージョンで演奏しました。サブタイトルは「Dies ist Mozart! Das Leben seiner großen!(モーツァルト!彼の偉大な人生!)ということです。

とても楽しく、リズミカルな演奏と編曲で観客の皆さんは、楽しんで聴いておられました。

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≪  ものしりあれこれ    ケッヘル番号(KV)とは…  ≫
「ケッヘル番号」とは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの作品を時系列的に配列した番号で、この作業を最初にルートヴィヒ・フォン・ケッヘルが行い、1862年に「モーツァルト全作品目録」を出版したことから「ケッヘル番号」と呼ばれている。番号はKV1からKV626まである。
表記は、オペラ『フィガロの結婚』の場合、ドイツ語圏では「KV429」、英語圏では「K.429」と表記されている。
ケッヘル番号は何度か改訂され、1937年にアルフレート・アイシュタインの第3版、1964年にフランツ・ギーグリンク、ゲルト・ジーベルス、アレクサンダー・ワイマンによる第6版では大幅な訂正が行なわれた。最新のものは第8版となっている。

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来場の皆さんからは…‥
◎ 今回が初めての方々から
・『大変、珍しい曲を聴きました。アダージョ(断片)の曲は初めて聴きました。』《70歳以上、男性》
・『曲も、演奏も素晴らしかったです。やわらかい音色が心地よかったです。今の爽やかな季節にあっていると思いました。』《40歳台、女性》

◎ いつも来られる方々から
・『グランドマンの曲は初めて聴きました。軽快な楽しい曲でした。モーツァルトは、クラリネットの音色が美しかったです。』《40歳台、性別未回答》 
・ 『演奏者の表情が見えて、とてもよかったです。また来たいです。』《60歳、男性》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。

<<出演後のメッセージは……>>

石井
 この度はフレッシュコンサートに出演させて頂きありがとうございました。
とても響きも良く、たくさんのお客様にお聴き頂いて素敵なひとときを過ごせました。
未完成の4重奏は今回私たちも初めて存在を知っての演奏でした。未完成ではあってもモーツァルトがこの曲をクラリネットのために手がけてくれていた事に感謝します。次回は是非バセットホルンで挑戦したいです!

工藤
 コメント:とても響きの良い場所で、そしてたくさんのお客さまの前で演奏でき、とても有意義なひとときでした!ありがとうございました。またの機会、楽しみにしています。

船渡
 この度は出演させていただきありがとうございます。
たくさんのお客さまとモーツァルトの音楽を共有することができ、とても幸せでした。
モーツァルトはまだまだ奥の深い作曲家です。素敵な曲がたくさんありますので、またいつか皆さまの前で演奏できることを楽しみにしております。

水野
 モーツァルトの素晴らしさ、面白さがクラリネットを通して少しでもお伝え出来ていましたら、幸いです。皆様と暖かい時間を共有できたことをとても嬉しく思います。ありがとうございました。


熊崎
 はじめに、バセットホルンで演奏できなかったこと、お詫び申し上げます。モーツァルトが亡くなって222年になりますが、企画し演奏してみて、時空をこえた彼の不滅の音楽を実感しました。われわれの演奏を最後まで聞いてくださってありがとうございました。また、コンサートでお会いするのを楽しみにしています。
 
 

さて、次回は、第84回フレッシュコンサートを、平成25年6月26日水曜日のお昼(午後0時15分-0時45分)にフォーラムII(2階)で開催を予定しています。
『弦楽四重奏の魅力』と題して、Quartet “A”nimare(クァルテットアニマーレ)の糸原彩香さん、荒巻理恵さん、橋本歩さん、阿曽沼裕司さんによる演奏で、「ハイドン、チャイコフスキー、メンデルスゾーン作曲の『弦楽四重奏曲』の魅力(聴き比べ)」を楽しんでいただきます。
 


◎ ○ ◎ お知らせです ◎ ○ ◎  ※受付終了しました
平成25年度下半期(平成25年10月から26年3月まで)の「愛知芸術文化センター フレッシュコンサート出演者」を募集しています。ご応募は、平成25年6月24日(月)までに「フレッシュコンサート出演申込書」をご提出ください。
多くのご応募をお待ちしています。

 (M.K)
 

パリ・オペラ座バレエ団は、世界最古かつ世界最高峰のバレエ団です。そのバレエ団(総勢約120名)が5年ぶりに愛知県芸術劇場にやってきました。(公演日5月25日(土)、26日(日))
演目は、「天井桟敷の人々」です。1945年公開されたフランス映画の名作で、「愛し合う者同士にはパリも狭い」といった名台詞を生み出したジャック・プレヴェールの脚本でも知られています。
また、パントマイム役者・バチスト、シェークスピア俳優・フレデリック、無頼詩人・ラスネールは、実在の人物をモデルにしています。日本でも1980年、キネマ旬報日本公開映画外国映画史上ベストワンに選ばれ、大変人気がある映画です。
今回のバレエは、この映画をバレエ化したもので、元エトワールのジョセ・マルティネスが振り付けました。ストーリーも映画にほぼ忠実で、華やかなダンスにいきいきとした音楽が加わり、感動的な作品になりました。
なお、オーケストラは名フィルが担当し、パリの雰囲気を見事に奏でました。

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映画「天井桟敷の人々」のワンシーン

さて、今回の公演では、観客に舞台の中に迷い込んだかのような錯覚を感じさせる、様々なおもしろい仕掛けがありました。最も注目を集めたのは、休憩時に行われた劇中劇「オテロ」です。パリ・オペラ座(ガルニエ)では豪華な正面の大階段を使ってパフォーマンスを行っていますが、当劇場大ホールのロビーは狭く、実施するには危険が伴うので、特別に、ホールの入口前にあるフォーラムという吹き抜けの場所を使うこととしました。
なお、東京公演会場の東京文化会館では、ロビーの階段で実施しています。

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パリ・オペラ座(ガルニエ)大階段

公演の前半終了時に、客席の上の方から、「オテロ」のちらしが降ってきました。ロビーでは黒装束のパフォーマーがフォーラムへとお客様を誘導していました。フォーラムでは4階へのスロープまでお客様が埋め尽くす中、ヴァイオリン奏者が演奏を始め、美しい女性ダンサー(シャルロッテ・ランソン:デスデモーナ役)が踊り始めます。その後に、男性ダンサー(カール・パケット:オテロ役)が加わり、二人の情熱的な愛のデュエットを経て、最後にはオテロが愛するデズテモーナの首をしめ、殺してしまいます。
10分弱の短いパフォーマンスでしたが、悲しげで美しい音楽とあでやかな衣装、情熱的なダンス、そして開放的な空間があいまって、劇場で見るのとは違った感動を呼び起こし、出演者は拍手喝采を受けていました。

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劇中劇「オテロ」のちらし
 
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カール・パケット(男性)とシャルロッテ・ランソン(女性)

裏話ですが、今回の劇中劇のパフォーマンスについては、様々なトラブルを想定(コンサートホールのお客様の退場時間と重なった場合の大混雑、その混雑で劇中劇が見られないお客様からのクレームなど)しながら、対策を講じていましたが、結果として混乱もなく終了し、お客様にも十分に楽しんでいただき、一同ほっとしたところです。
次回のパリ・オペラ座バレエ団はどんな演目を持ってくるのか楽しみですね。(A.M)
 

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   「映像アート90年史」&「イメージフォーラム・フェスティバル2013」を開催!!

 

 67()より、「映像アート90年史」が始まります。この上映会は、昨年、同時期に開催した「ビデオ・アートから映像アートへ」の発展形ともいえる企画です。昨年は197080年代のビデオ・アート作品を基点に、今日、現代美術の領域でも映像メディアを使用した作品を多く目にするようになったことを受けて、こうした動向の源流をそこに見出そう、という主旨で開催します。

 今回の「映像アート90年史」では、昨年の上映会が、愛知県文化情報センターの所蔵するビデオ・アートやオリジナル映像作品によりプログラムを構成していたのに対し、ルネ・クレール『幕間』(1924)など、アートライブラリーが所蔵する1920年代の古典的なアヴァンギャルド映画も加えています。これによって、戦前のアヴァンギャルドから、戦後のアンダーグラウンド映画、そして、それを引き受けつつ、ビデオという新しいメディアを用いることで、そのさらなる展開と、表現としての高度な達成を遂げたビデオ・アートに到る歴史的な流れを、6日間の会期で凝縮してプログラミングすることが出来ました。

 ライブラリー所蔵映像の上映を快諾していただいた関係各位に、厚くお礼申し上げます。

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さらに現代のヴィヴィッドな映像表現の動向を反映させるべく、9()には「第6回愛知デジタルコンテンツコンテスト」受賞・入選作品と愛知特別プログラム「愛知の新世代たち」の、2つのプログラムを加えています。前者は、デジタルコンテンツに関わる若手人材の育成と、優れた才能の発掘を目的とするものですが、その中には知事賞グランプリを受賞した、東郷拓郎、金本有里彩『suger coat(2012)のように、約3分という短い時間の中に、短編映画と呼んでも差し支えないほどのストーリー的な展開や起伏を盛り込んだ、凝縮力ある作品も生み出されています。この機会に、多くの方々に鑑賞していただければ、と思っている次第です。

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また、後者は、612()より開催する「イメージフォーラム・フェスティバル2013」(IFF2013)のジャパントゥモロウ(一般公募部門)に応募された、愛知県在住・在学の作り手たちの作品を集めたプログラムです。実験的なアニメーションから、ハイ・クオリティのCG作品、さらにはドラマ的な実験を志向するものまで、その表現は幅広くバラエティに富んでおり、映像表現の現在の状況を知る、良い機会になるものと思っています。

 映像アートの祭典として、映像表現の実験的な動向を紹介する、国内最大級の映像フェスティバルと評される「イメージフォーラム・フェスティバル2013」と併せて鑑賞すれば、「映像アート90年史」では歴史の流れという縦糸に、「IFF2013」では表現の広がりという横糸に、同時に触れることが出来る、絶好の機会となるでしょう。

 皆様のご来場をお待ちしています。(T.E

 

上映作品、スケジュール等の詳細は、下記のサイトをご覧ください。

「映像アート90年史」

http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/2013/13jyoei/index.html

 

「イメージフォーラム・フェスティバル2013

http://imageforumfestival.com/