アートライブラリー9月の新着図書・CDをご紹介します。
『現代美術をみる技術』
江藤光紀著 東洋書店 2010年
(請求記号702.07/E78g 資料番号9110488470)
「技術がなければ現代美術はみれないのか」と身構えてしまうタイトルです。私などは、現代美術は雰囲気で楽しめばいいじゃないとも思うのですが、そういう人にこそこの本は最適かと。
読者は「ピカソから村上隆へ、ゲーテからサイードへ、ベートーヴェンからケージへ」とあるようにアート、思想、音楽の歴史をたどることになります。歴史的な流れを幅広い視点で見ることによって、それまでわからなかった現代美術も「みえてくる」でしょう。
雰囲気で楽しむのもいいけれど、本書を読んだらもう一歩、踏み出せるはずです。
(ライブラリースタッフA.U)
『音楽のカルチュラル・スタディーズ』
マーティン・クレイトンほか編
アルテス・パブリッシング 2011年
(請求記号760.4/O65a 資料番号9110489244)
音楽は従来、音楽理論や音楽史、音響学といった視点から研究されるものでした。しかし、その枠を超え、あらゆる文脈から音楽を捉えようとするのが、「音楽のカルチュラル・スタディーズ」です。ここでは「音楽がうるさいわけ」とか「なぜもうからないのに音楽家は減らないのか」等、刺激的なテーマが並びます。そして取り扱われる音楽はバッハ、民族音楽、エミネムなど多岐に渡ります。気付かないうちに私たち自身に刷り込まれた、“音楽とはこういうもの”という思い込みを打ち破ってくれる一冊です。
(ライブラリースタッフA.K)
『音楽の366日話題事典』
朝川博著,水島昭男著 東京堂出版 2011年
(請求記号760.4/A84o 資料番号9110488560)
唱歌「一月一日」から、大晦日の定番ヨハン・シュトラウスの「こうもり」の話題まで。
この本では1年366日、それぞれの日にまつわる音楽の話題が紹介されています。
「みつばちの日」や「幽霊の日」など、音楽とは直接関わりのない記念日と関連付けた話題も興味深いです。
このような「366日本」は他にもあるかな?と、探して見つかったのがこちら↓の一冊。
『音楽・切手の366日』 平林敏彦著 薬事日報社 2006年
(請求記号:762.8/H63o 資料番号:9110457948)
366日の音楽に関わる事柄と共に、それにちなんだ美しいデザインの音楽切手を楽しめます。
(ライブラリースタッフA.I)
『伊福部昭ピアノ作品集 第2集』
山田令子ほか演奏,ゼール音楽事務所,2010年
(請求記号C1イ/ヤ 資料番号9310197719)
「プロメテの火」全曲(2台ピアノ版)と「ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」(第2ピアノ:オーケストラリダクション版)が収められている1枚です。
「プロメテの火」は1950年初演、ギリシャの神話時代が舞台のバレエ音楽。
2台ピアノ4手ですが、十分に情景が浮かび、迫力たっぷりです。重々しい雰囲気のなかで、底から響くような力強さが格好良くもあり、美しくもあります。
「ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」は、原曲のオーケストラ版のCDも所蔵しておりますので、聴きくらべなどしてみてはいかがでしょうか。
(ライブラリースタッフW.N)
9月10日(土)18時から、第5回AACサウンドパフォーマンス道場プレゼンテーション2を行いました。
「プレゼンテーション1」は、書類選考で入選となった4組のアーティスト自身が直接自分の作品について説明し作品のデモンストレーションを行ったのに対し、2回目となる今回は、本公演の会場である小ホールでの、いわばテスト上演です。
それに対して、やはり、選考委員が質問をしたり、感想や可能性や評価する点を述べました。
【選考委員のみなさんです】
道場プロジェクトの醍醐味は、書類選考で選ばれた入選作品がどんどんかわっていくところ。
今回のプレゼンテーションでは、1回目のプレゼンテーションで話した通りの作品を小ホールという劇場のサイズに合わせて上演する人もいれば、指摘されたところなど一部を変更してくる人、そして根本的に練り直してしまう人など。
今回も、それぞれの出演者が上演した後、選考委員から出された様々な意見も取り入れながら、これから約3週間をかけて、出演者は最後のブラッシュアップを行って作品の完成度を高めていきます。
最終的にどんな形に仕上がるのか、どうぞお楽しみに!!
本公演は10月2日(日)13:30から。
観客の皆様にも「オーディエンス賞」を選んでいただきます。
チケットは当日券のみの1000円です。
ぜひ若いアーティストの表現を応援しに来てください!!
左上:井藤雄一『fmiseq』 右上:堀江俊行『ずれ木魚』
左下:ヒッチハイカー(島本和秀×浜田洋輔)『ヒッチハイク』 右下:垣尾優×高村聡子『一撃1200』
(A.F)
8月24日(水)に「第62回 フレッシュコンサート」を開催しました。
今回は、『テルミンで奏でる懐かしい歌』と題して、「Unit Leono(ユニット レオノ)」の高 扶美枝さんの「テルミン」と、保富洋子さんの「ピアノ」の二重奏をお楽しみいただきました。
また、小型テルミン「マトリョミン」による『ともしび』の演奏もしていただきました。
「Unit Leono」のお二人は、テルミンとピアノという編成で、ロビー、レストランなどでの演奏や、カフェや雑貨店での体験教室などのイベントで、電子楽器テルミンの独特な音色の魅力について、普及活動をされています。
【左側から、高 扶美枝さんと保富洋子さん。高さんが手にしているのが『マトリョミン』】
◎楽器「テルミン」のお話
「テルミン」とは、楽器本体に手を触れず、左右の手を2本のアンテナに近づけたり、遠ざけたりすることで演奏を行うもので、ロシアのレフ・テルミンにより発明された電子楽器です。
「マトリョミン」とは、テルミン奏者の竹内正美さんが開発されたもので、マトリョーシカ人形の中にテルミンを内蔵した小型テルミンです。
◎今回の演奏曲
当日は160名を超える方が、テルミンの音色とピアノの演奏を楽しまれました。
最初の3曲は、懐かしく聴き馴染みのある曲
「この道/山田耕筰作曲」
「椰子の実/大中寅二作曲」
「リンゴ追分/米山正夫作曲」
を演奏されました。
4曲目は、「マトリョミン」によるロシア民謡「ともしび」を演奏していただきました。
このとき演奏される前に、前席の方に「マトリョミン」の演奏を体験していただき、体験された方は不思議そうな顔をなさっていました。
【左:「マトリョミン」へ手を差し伸べ、音色を確かめられている様子
右:「マトリョミン」で『ともしび』を演奏する高さん】
5曲目は、バンドネオン奏者のアストル・ピアソラの作曲、「Oblivion(オブリヴィオン:忘却)」を演奏していただきました。
6曲目は、ロルフ・ラヴランド作曲の「You Raise Me up(ユー・レイズ・ミー・アップ)」を演奏していただきました。
この曲は多くのアーティストがカバーしており、『ケルティック・ウーマン』によるカバー曲は、2006年トリノ・オリンピックの金メダリスト、荒川静香さんが同年のエキシビションで使われていました。
アンコールでは、坂本九さんの歌「上を向いて歩こう」を演奏されました。
来場の皆さんからの感想は…
◎今回が初めての方々から
・『テルミンという楽器を初めて知ったことがうれしかった。お二人の息の合った、心温まる演奏でした。高さんの指、手の動きがとても面白い。踊りを見ているみたいだ。』《60歳台、男性》
・『マトリョミン、初めて見ました。音の糸を紡ぐような演奏者の細緻な手の動きに見とれました。ピアノの音色も素敵。有難うございます。』《50歳台、女性》
◎いつも来られる方々から
・初めて聴きました。どうやって出しているか、とても不思議で、温かみのある不思議な音色に見せられた。音の高さ、強さを2つのアンテナへの距離で作るとの説明があり、納得。詳しい原理を知りたくなった。 微妙な指使いで人の声のような滑らかな変化が生まれるのに驚きました。テルミン、高さん、保富さんに感謝、感謝、感謝。《60歳台、男性》
・アートライブラリーを利用して、今日はフレッシュコンサートの日、と気づいて嬉しかった。「You Raise Me up」が本当に美しかった。《20歳台以下、女性》
など、様々な感想をいただきました。ありがとうございます。
≪「Unit Leono」の高 扶美枝さんからの出演後のメッセージ≫
お暑い中、貴重なお昼のひとときの時間、私達の演奏に耳を傾けて下さって、ありがとうございました。
「テルミン」、「マトリョミン」という楽器については、多くの方が初めてご覧になるとのことでしたが、 大変興味をお持ちくださったようです。
熱心に聴いて下さる空気を強く感じ、演奏後にも沢山のご質問をいただきとても嬉しく思っています。
かたちや演奏方法の特殊なこともさることながら、表現する楽器としてもとても奥が深いテルミンの魅力を、伝えていきたいと思っています。
機会があればまたどこかの街角でお会いできると幸いです。
スタッフの皆様にも大変お世話になりました。
フレッシュコンサートコンサートに出演させていただきましたことに、心より感謝申し上げます。
【写真は「テルミン」に興味津々な来場の皆さんに説明する高さん】
さて、次回の「愛知芸術文化センター フレッシュコンサート」は、9月28日水曜日のお昼(12:15-12:45)に2階フォーラムで開催予定です。
『テノールとソプラノの競演』と題して、テノールの大久保 亮さん、ソプラノの柴田 智加さんとピアノの高羽 加奈子さんでお届けします。
当日、皆さんと会場でお会いできることを楽しみにしています。
◎◎ お知らせです ◎◎ ※受付終了しました
平成24年4月から9月までの「フレッシュコンサート出演者」を募集しています。
↓詳細はこちら↓
(一番下の「フレッシュコンサート<出演者募集中>」)をご覧ください。
http://www.aac.pref.aichi.jp/frame.html?bosyu/index.html
(M.K)