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中世ルネッサンス古楽奏集団ウンガレスカのリハーサルが行われました

2010年10月04日

  「ルネッサンス・バロック音楽関連映像上映会」<10月19日― 11月5日、アートプラザビデオルーム>の関連事業として、10月30日(土)14時からウンガレスカのミニライブが開催されます。
 ウンガレスカは愛知県を中心に主に中世ルネサンス時代のヨーロッパの音楽を演奏する古楽奏集団です。ウンガレスカという名前は、マイネリオ作曲の「ウンガレスカとサルタレロ」という曲をよく演奏していたところからつけられたとのこと。ウンガレスカは、ハンガリーの舞曲でもあるようです。

 ウンガレスカホームページ ↓
 http://ungarescha.untokosho.com/index.html

 このウンガレスカのリハーサルが10月3日、芸術文化センターで行われました。メンバーが5人集まり、様々な珍しい楽器をたくさん持ってきて練習しました。初めて見る楽器ばかりで、どんな音がするのでしょうか。興味津々でした。その楽器の一部を紹介しましょう。

ハーディー・ガーディー.jpg◇ハーディー・ガーディー Hurdy gurdy

別名手廻しヴァイオリン。弓の代わりにハンドルを回すと木の円盤で弦を擦り、ボタンのような鍵盤で弦を押さえて旋律を鳴らせます、時にリズミックなノイズを出し伴奏します。バグパイプのような音を出します。放浪の大道芸人がよく使用したとのことです。今でもフランス、ハンガリーなどの国の伝統楽器として使用されることが多いです。

ハンマー・ダルシマー.jpg◇ハンマー・ダルシマー Hammer dulcimer
箱型の共鳴体に張られた多数の金属製の弦を、ばちで打って演奏します。金属製の弦を打って音を出す点や、音色の類似性から「ピアノの先祖」と呼ばれることもあります。同系の楽器として、西南アジアのサントゥール、ハンガリーのツィンバロムなどがあります。音の減衰が長く、繊細で美しいのが特色。

ゴシック・ハープ.jpg◇ゴシック・ハープ Gothic harp
中世のハープ。現在のハープと異なり、音を換えるペダルはありません。またアイリッシュハープのように半音を換える器具もありません。とても繊細で音の立ち上がりがクリアで、音の形をそのまま再現します。






 

 まだまだ、いろいろ珍しい楽器がありましたが、ライブでのお楽しみといたしましょう。

 筆者もリハーサルの一部を見学させていただきました。
 「聖母マリアの賛歌」では、民衆のマリアへの敬虔な思いが伝わってきました。カトリックの聖職者が歌うグレゴリア聖歌のような静的なものではなく、動的であり、踊りたくなってくる音楽です。民衆の素朴な思いが感じられますね。中世の農村生活が思い浮かぶような心地がしました。
 「シチリアーノ」では、美しく懐かしいメロディーが、ゴシック・ハープ、ハーディー・ガーディーとリコーダーで奏でられ、余りの懐かしさと美しさにうっとりしてしまいました。これはどこの民謡だったのだろうかと考えていたら、レスピ―ギ作曲の「リュートのための古風な舞曲とアリア」第3番の曲ということを思い出しました。レスピーギは16世紀イタリアの作者不詳のリュート曲から編曲したのですね。この曲はTVCMでも流れたことがあります。また、平原綾香さんも編曲して歌っていますね。なお、シチリアーノとは、ルネサンスからバロック音楽に遡る舞曲の一つで、ためらいがちにたゆとう曲想と付点リズムが特徴的です。

ウンガレスカ.jpg
リハーサル風景

 ライブでは、この他にも、ドゥクチア、ヴォルタなども演奏されます。
古楽器の演奏を聴くと、現代の楽器から失われてしまった何かを強く感じます。懐かしさというか、素朴な暖かさが心の中に蘇ってきます。
 めったに聴く事ができない貴重な演奏ですので、ぜひお楽しみください。なお、会場の都合で、先着30名となっていますので、ご理解いただききますようお願いします。
 さらに、上記の上映会期間中には、ウンガレスカが普段使っている珍しい古楽器も展示いたします。こちらもお楽しみください。

(A.M.)