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第77回フレッシュコンサートを11月28日(水)にフォーラム?(2階)で開催しました。

『Happy 150th Birth year, Debussy! 弦楽四重奏』と題して、Quatre-Couleurs(キャトルクルール)4名の皆さんの演奏を、190名以上の方にお楽しみいただきました。


fc77-1.jpg【左側から安田祥子さん、波馬朝光さん、波多和馬さんと田中千尋さん】


◎今回の演奏曲

フランスの作曲家クロード・ドビュッシーは1862年8月22日生まれで、今年、生誕150年を迎えました。これに因んで、ドビュッシー唯一の「弦楽四重奏曲」ハイドンの「弦楽四重奏曲第79番第2楽章」、そして、アンコールを演奏していただきました。

キャトルクルールのメンバーは、第1ヴァイオリンの安田祥子さん、第2ヴァイオリンの波馬朝光さん、ヴィオラの田中千尋さんとチェロの波多和馬さんです。

開演の曲は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン作曲『弦楽四重奏曲第79番二長調 作品76‐5』より「第2楽章 Largo. Cantabile e mesto(ラルゴ、悲しく歌うように)」を演奏しました。
とても静かなロマンの香りに満ちた演奏で、心が満たされる思いがしました。

その後、メンバーの黒一点である波多和馬さんから、最初の曲は、「弦楽四重奏の父」と呼ばれるハイドン(1732?1809)の曲であること、そのハイドン誕生から130年後の1862年に生まれ、今年、生誕150年を迎えたドビュッシー唯一の「弦楽四重奏曲」の第1楽章、第2楽章と第4楽章を演奏するとの紹介がありました。
 

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≪ものしりあれこれ・1≫ 作品76の弦楽四重奏曲について

ハイドン作曲の「作品76」は、6つからなる弦楽四重奏曲で構成され、1797年にヨーゼフ・エルデーディ伯爵(当時、ウィーンの音楽愛好貴族の一人)に献呈されたことから、「エルデーディ四重奏曲」と呼ばれる。6曲中4曲に『五度』、『皇帝』、『日の出』、『ラルゴ』と呼び名が付けられている。
1 弦楽四重奏曲第75番 ト長調 作品76-1
2 弦楽四重奏曲第76番 ニ短調 作品76-2『五度』
3 弦楽四重奏曲第77番 ハ長調 作品76-3『皇帝』
4 弦楽四重奏曲第78番 変ロ長調 作品76-4『日の出』
5 弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 作品76-5『ラルゴ』
  第1楽章 Allegretto-Allegro
  第2楽章 Largo. Cantabile e mesto
  第3楽章 Menuet. allegro
  第4楽章 Finale. presto
6 弦楽四重奏曲第80番 変ホ長調 作品76-6
                                                       <出典 フリー百科事典>
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2曲目は、クロード・ドビュッシー作曲『弦楽四重奏曲 ト短調 作品10』より「第1楽章、第2楽章、第4楽章」を演奏しました。

各楽章は、「ものしりあれこれ・2」のとおりです。

Quatre-Couleursの皆さんは、ドビュッシーの斬新な響きを見事に表現しました。
艶やかで澄んだ音色と情熱的なカンタービレが多くのお客様の心をとらえ、終演後は盛大な拍手が贈られました。
 

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≪ものしりあれこれ・2≫ 『弦楽四重奏曲 ト短調 作品10』について

第1楽章 Animé et très decidé(活き活きと、きわめて決然として) 
第2楽章 Assez vif et bien rythmé(かなり急速に、とてもリズミカルに)
第4楽章 Tres modere - Tres mouvemente - En animant peu a peu - Tres mouvemente et avec passion
(きわめて穏やかに - きわめて躍動して - 少しずつ動きを付けて - きわめて躍動して、かつ情熱的に) 
なお、演奏しなかった第3楽章は、「Andantino, doucement expressif(アンダンティーノ、甘く表情豊かに) 」です。
                                                       <出典 フリー百科事典>

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アンコールは、もちろん、ドビュッシー作曲で、『ピアノのための前奏曲』の24曲の中から「亜麻色の髪の乙女(1910年作曲)」を弦楽四重奏による編曲で演奏していただきました。
夢見るような美しい演奏で、お客様も帰るのが名残り惜しい様子でした。 

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来場の皆さんからは…

◎今回が初めての方々から
・『皆さんが真摯に向き合っていらっしゃるのが音楽から伝わって来ました。外部の人の声が気になりました。』《20歳台の女性》
・『とても良かった。お昼のひと時を心地よい気分で聴きました。2月11日の演奏(キャトルクルールリサイタル)を楽しみにしています。』《50歳以上の女性》


◎いつも来られる方々から
・『とても良かったです。素晴らしい演奏ありがとうございました。子どもも、とても喜んでいました。』《30歳以上、女性》 
・『今日は軽い内容、ドビュッシーの「弦四」ということで聴きに来ました。今後も、弦楽四重奏曲を取り上げていただければ必ず聴きに来ます。』《40歳台、女性》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。


≪Quatre-Couleursの出演後のメッセージ≫
安田祥子さん
あれだけたくさんのお客様に聴いていただく機会もなかなかないので、とても良い経験になりました。
お客様もスタッフの皆様も暖かく迎えてくださり、良い緊張感の中演奏することができたと思います。
今回の経験を生かし、またこれからも4人で色彩豊かな音楽を作っていきたいと思います!
ありがとうございました!!


1月の第79回フレッシュコンサートは、1月23日(水)のお昼(午後0時15分?0時45分)にフォーラム?(2階)で開催予定です。
『中低音域の魅力! メゾソプラノとバリトンによる真冬の熱々デュエット』と題して、歌劇、童謡などの歌曲を予定しています。


◎ ○ ◎ お知らせです ◎ ○ ◎ ※受付終了しました
平成25年度下半期(平成25年10月から平成26年3月まで)の「愛知芸術文化センター フレッシュコンサート出演者」を募集しています。
ご応募される方は、平成25年6月24日(月)までに「フレッシュコンサート出演申込書」をご提出ください。
多くのご応募をお待ちしています。


(M.K)

 いよいよクリスマスですね。ただいまアートプラザでは、クリスマスにちなんだ作品を上映しています。
「クリスマス」は、サンタクロースが子どもたちにプレゼントし、恋人が愛を語らい、家族が集まり団欒するなど、1年で最も楽しい日ですが、本来は「キリストのミサ」という意味で、キリストの降誕を祝うものです。

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「羊飼いにキリストの誕生を告げる天使たち」(Govert Flinck 1639)

 今回の上映会では、「クリスマスキャロル」をメインに取り上げました。「クリスマスキャロル」とは、キリストの誕生を祝い、誕生にまつわる様々な場面や逸話を歌詞にした歌をいいます。「きよしこの夜」「あらのの果てに」「もろびとこぞりて」などの歌は、誰でも知っていますね。これらの素朴な歌をパバロッティやカレーラス、プライなどの大歌手が歌っているのはとてもゴージャスな体験です。
 また、イギリスのキングス・カレッジやライプチッヒの聖トーマス教会(J.S.バッハが音楽監督を勤めた)の少年聖歌隊が礼拝堂で賛美する映像もあり、その透き通るような少年の声は、まさに天使の歌声のようで、心が清らかにされる思いがします。
クリスマス2.JPG photo: Ardfern
キングス・カレッジ・チャペル(ケンブリッジ)

 

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聖トーマス教会のバッハウインドウ

 クリスマスのオペラといえば「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディング作曲)、バレエといえば「くるみ割り人形」(チャイコフスキー作曲)が定番ですね。子どもたちも一緒に見て楽しむことができます。
 なお、オペラ「ラ・ボエーム」(プッチーニ作曲)は、前半がパリのクリスマス・イブの設定なので、選びました。特に第2幕は、ゼッフィレッリ演出によるゴージャスなパリのクリスマスの雰囲気が味わえます。
 一方、オラトリオ(宗教的音楽劇)では、「クリスマスオラトリオ」(J.S.バッハ作曲)と「メサイア」(ヘンデル作曲)が定番です。前者は、クリスマスの喜びに満ちあふれた作品で、当時のルター派教会での礼拝用の作品です。後者は、「ハレルヤコーラス」で有名で、キリストの生涯を音楽でたたえます。

 クリスマス4.JPG photo: Benutzer:Flyout
くるみ割り人形

 

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ヘンゼルとグレーテル(アーサー・ラッカムによる挿絵1908年)

 さらに今回は、ベートーベンの「第九」(交響曲第9番「合唱つき」)も特集しています。トスカニーニ、クレンペラー、カラヤン、バーンスタインなど9人の大指揮者による異なった演奏を楽しむことができます。「第九」は、人類の音楽の最高傑作の一つです。第4楽章の合唱の歌詞には、シラーの『歓喜に寄す』が用いられ、その主題は『歓喜の歌』としても親しまれています。欧州連合では、ヨーロッパの統一性を象徴する「欧州の歌」として歌われています。
 日本では、毎年年末になると「第九」があちこちで演奏・歌唱され、風物詩のようになっていますが、欧米では、「第九」は、劇場のこけら落としや国際的なイベントなど、特別の行事の時に演奏されます。近年では、ベルリンの壁崩壊を祝うイベントでバーンスタインが東西のオーケストラの団員を集めて演奏し、世界中に感動を与えました。その映像とドキュメンタリーが今回上映されますのでぜひご覧ください。バーンスタインの「自由への思い」が伝わってくる熱演です。
クリスマス6.JPG photo: Allan warren
レナード・バーンスタイン(1918-1990)

 なお、「第九」の自筆譜のファクシミリと、ベートーベンの傑作の一つで同時期に書かれた「ミサ・ソレムニス」の自筆譜のファクシミリを愛知県立芸術大学芸術資料館から借用し、展示しています。ベートーベンの大胆で荒々しい筆致が味わえます。
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(A.M)
 

 アートライブラリーでは、現在、「あなたの一曲何ですか?」と題してCDのテーマ展示を行っています。
アンケートで利用者の皆様から「年末年始に聴きたくなる曲」というテーマで曲やコメントを募り、それらの曲を、寄せられたコメントとライブラリー所蔵のCD(ケース)とともに紹介しています。

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↑こんな感じ。

 約1か月の募集期間に100件近くの投稿がありました。皆様、ご協力ありがとうございました!
 集まった曲はまさに十人十色で幅広く(やはり人気なのは第九)、コメントも曲に対する情熱的なものから温かい思い出話など、楽しい展示に仕上がりました。

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展示開始時点ではひっそりとしていたスペースも今はにぎやかです。

 展示されているCDは通常どおりご利用いただけます。忙しくて聴く時間がないよという方は、皆様からのコメントを読むだけでも興味深いので、是非お越しいただき、たくさんの曲と人との出会いをお楽しみください。
 

【展示場所】アートライブラリー カウンター、オーディオコーナー入口付近
【展示期間】2013(平成25)年1月14日(月・祝)まで
※2012(平成24)年12月28日(金)から2013(平成25)年1月3日(木)は休館します。

(ライブラリースタッフ A.U)
 

[ 映像 ]

愛知芸術文化センター12階のアートスペースAでは、現在「第17回アートフィルム・フェスティバル」を開催中です(12月16日(日)まで)。
例年に比べ寒さが厳しい中、連日、熱心なお客様に足を運んでいただいており、スタッフ一同、大変嬉しく思うとともに、映画館では上映が難しいアート系の作品を集中的に紹介するこの上映会が、名古屋の冬の風物詩として定着しているのだな、という実感を得ています。


前半に行った「特集1 フランス・ドキュメンタリー・セレクション2012」は、アリアンス・フランセーズ愛知フランス協会の協力により、フランス本国のアンスティチュ・フランセから、直接DVDを送ってもらい、上映を行いました。そのため大半の作品がフランス語原語、英語字幕付きという形での上映になりました。
一部、言語的なハンディがあるので内容が十分に理解できない、というご指摘もいただきましたが、今回は映画の他、ダンス、音楽、美術など、芸術に関するアート系ドキュメンタリーをセレクトしたこともあり、画面を追っていればほぼ内容が伝わってくる作品が多く、大半の観客の方々から非常にいい反応をいただきました。


特に作品制作の現場を記録した作品は、画面に登場する人物たちのやり取りから、そこで何が起こっているか、言葉の壁を越えて伝わってくるものがあったといえるでしょう。
例えば、ゴダールやトリフォーらとともに、ヌーベルヴァーグと呼ばれる一群の作家たちの一人に数えられるエリック・ロメールの、『夏物語』(1996年)の制作過程を時系列に即して記録したジャン=アンドレ・フィエスキの『「夏物語」ができるまで』(2005年)では、撮影時に合図を送る小道具のカチンコを用いず、柔らかな感触で手を叩くことでスタートを指示する様が記録されていました。
ロメール作品の極めて自然な画面のニュアンスは、こんなところから生まれていたのだなと思うと、その創作の秘密の一端に触れた驚きと喜びが観る者に訪れます。


続く「特集2 松本俊夫「蟷螂の斧」三部作一挙上映+初期ビデオ・アート探求」では、日本において映像表現の先端的な動向を常に切り開いてきた松本俊夫が、オムニバス形式の映画に新たな可能性を探るべく挑んだ「蟷螂の斧」三部作が今年、完結したことを受けて、これを一挙上映する愛知初となる上映の機会でしたが、松本俊夫の久々の新作への関心はもちろん、当センターが所蔵する1970?90年代の代表的な作品7本を上映するプログラム「松本俊夫作品集」にも、熱心な観客の方々にお越しいただけたことも、嬉しい反応でした。
また、これも初上映となる瀧健太郎監督のドキュメンタリー『キカイデミルコト ?日本のビデオアートの先駆者たち?』(2012年)は、日本のビデオ・アートの歴史を考察する映像作品という、これまでに類例のなかった企画で、国内のみならずアメリカ、ドイツ、韓国といった海外にも取材の足を伸ばしたこの労作は、9日(日)の上映終了時には、来場した瀧監督に向け観客から拍手が巻き起こるという、嬉しい光景も見られました。


引き続き行われるプログラムでは、15日(土)、牧野貴監督『2012』(2012年)ライブ上映で、牧野監督から今回、3D上映を試みたい、という提案がありました。牧野作品は過剰なまでに多重露光を行うことによって、画面自体に奥行き感といったものがありますが、3D効果によってそれがどのように深められてゆくのか、興味を惹かれます。この貴重な機会を、ぜひお見逃し無く!

2012.jpgなお、「第17回アートフィルム・フェスティバル」が終了した翌週、22日(土)には、学生による選りすぐりの優秀作を集めた「インター・カレッジ・アニメーション・フェスティバル2012 名古屋特別上映」が開催される運びとなりました。年末の慌ただしい時期となりますが、こちらにも足をお運びください。


(T.E)