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テーマ上映会「映像の学校II」を開催します

2011年06月10日
[ 映像 ]

 テーマ上映会「映像の学校II」が始まります(会期:6月10日(金)-12日(日)、21日(火)-23日(木))。


 タイトルに「II」と付いているのは、昨年「映像の学校」を開催し、その好評を受けた第二弾として企画したためです。
 愛知芸術文化センターでは、実験映画やビデオ・アートに代表される、先端的な映像作品を軸に映像事業を行ってきましたが、実験映画の源流をたどると、歴史的に、その始まりが1910-20年代の前衛映画(アヴァンギャルド映画)にあることが分かります。
 このサイレント映画(無声映画)の時代は、映画の黎明期であったため、アヴァンギャルドに限らず、映画それ自体が大いなる実験の渦中にあったといっても言い過ぎではありません。


 サイレント映画では、昨年に続き、今日の劇映画のフォーマットを作り上げたD.W.グリフィスと、チャップリン、ロイドと並ぶ三大喜劇王の一人バスター・キートンを取り上げます。
 
 グリフィスの『イントレランス』(1916年)は、サイレント映画における最大級の大作であるとともに、最も実験的ともいえる作品です。
 今回上映するプリントが16mmフィルムのサウンド版であるので、11日(土)14:00はサイレント映画本来の映写スピード1秒間18コマで、21日(火)18:30には現在のサウンド映画のスピード1秒間24コマで、計2回上映を行います。サイレントとサウンド版の違いをスクリーンで体験できる、貴重な機会です。
 

 イントレランス(ブログ用).jpg

 (D.W.グリフィス『イントレランス』(1916年))

 
 キートン『キートンの恋愛三代記』(1923年、共同監督:エディ・クライン)は、『イントレランス』のパロディとして作られたという説もある作品で、キートンが短編から長編へ進出するターニング・ポイントになったという意味でも重要です(上映は、10日(金)19:30)。


 映像表現の新たな可能性を探り、革新しようという試みは、現代にもつながっているものです。
 この上映会では、愛知芸術文化センターが制作する実験的な映像作品のシリーズ「オリジナル映像作品」より、映画監督が通常の劇映画の枠組みを離れて取り組んだ意欲作を中心に上映作品をセレクトしました。

 『愛のむきだし』(2008年)や『冷たい熱帯魚』(2010年)などの作品で近年、注目を集めている園子温の『うつしみ』(1999年、シリーズ第8弾)は、園監督の自主制作映画時代の集大成という評価もある作品で、彼のフィルモグラフィーを語る上で欠くことのできないものともいえるでしょう。この作品はまた、『イントレランス』が試みた映画の構造的な実験を継承している、という側面も持っています。

 昨年のプレミエ上映で、音を体感する新しいタイプの作品として高い評価を得た、柴田剛『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』(2010年、シリーズ第19弾)のアンコール上映や、七里圭『ホッテントットエプロン-スケッチ』(2005年、シリーズ第14弾)を2011年サウンド・リミックス版で上映することなど、音楽や音に関心を持つ方にも楽しめるでしょう。

 ダンス・ファンには、昨年6月に逝去された舞踏家・大野一雄のドキュメンタリー『KAZUO OHNO』(1995年、シリーズ第4弾、監督:ダニエル・シュミット)は必見ですが、『イントレランス』〈バビロン編〉の祝祭的な群舞シーンで、アメリカ・モダンダンスの先駆者の一人、ルース・セント・デニスが出演している点も(出演場面自体は短いながらも)注目です。


 来場者には、スタンプ・サービスも行います。
 スタンプを3つ集めると、広報誌「AAC」や、イメージフォーラム提供による「イメージフォーラム・フェスティバル」カタログのバックナンバーなど、貴重な資料をプレゼント致します。

 
 皆様のご来場をお待ちしております。


(T.E)