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カラヤンビデオ上映会開催中

2012年03月19日

 ただいま、アートプラザ・ビデオルームでカラヤンのドキュメンタリーやコンサートのビデオを上映しています。(3月25日(日)まで)

カラヤンってどんな人
ヘルベルト・フォン・カラヤンは20世紀で最も有名で人気のあった指揮者です。
カラヤンは1908年にオーストリアのザルツブルクに生まれました。第2次大戦前・中はウルムやアーヘンといったドイツの中小オペラハウスで頭角を現し、ベルリン国立歌劇場でも活躍しました。戦後はナチ入党のため一時演奏禁止となりますが、ウィーン国立歌劇場、フィルハーモニア管弦楽団(ロンドン)、ベルリン・フィル、ミラノ・スカラ座、パリ管弦楽団などの首席指揮者や音楽監督を務め、「音楽界の帝王」とも呼ばれました。多くの録音や映像も残し、世界中でベストセラーとなります。クラシック音楽の大衆化に貢献しました。
 私生活でも話題を呼びます。3番目の夫人エリエッテはディオールのトップ・モデル、自家用ジェット機を自ら操縦し、世界を飛び回り、スポーツカーやヨットを乗り回すスター指揮者でした。
 若い演奏家の発掘や育成にも熱心でした。小澤征爾もカラヤンに弟子入りしていました。
日本にも11回も来日し、多くのファンを集めました。筆者も日本公演を聴きに行きたかったのですが、チケット代があまりに高かったので断念してしまいました。今では後悔しています・・・。
 カラヤン上映会1.jpg
カラヤン(1938年)

 

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カラヤンとロストロポーヴィチ(1968)

 

今回のビデオの見どころ
○ヴェルディ「レクイエム」が必見です。これは映画監督として有名でフランスのヒッチコックとも称されたアンリ=ジョルジュ・クルーゾー(1907 - 1977)による1967年に制作された映像です。カラヤンの意図を正確に演出し、冴えた編集で見事な映像作品にしあげています。すべてが終わったとき、カラヤンはクルーゾーに「心の底からの、千回もの感謝」を捧げたという逸話が残っています。ミラノ・スカラ座の演奏や若き日のパヴァロッティの映像も貴重です。
カラヤン上映会3.jpg 
アンリ=ジョルジュ・クルーゾー


○ベートーヴェン/交響曲全集も実験的な映像です。凝ったカメラ・アングルやコラージュなど様々な映像演出が施されています。曲によってオーケストラ配置も3ブロックに分けたり、照明も曲想に合わせて変化させたり、演奏者の顔ではなく楽器だけを撮影したり、やりたい放題です。「音楽をいかに視覚化するか」という命題に対するカラヤンの苦心とアイデアが随所にうかがえます。当時としては画期的だったのですが、現在ではこのような手法はほとんど使われなくなっています。

 カラヤンの映像・録音はアートライブラリーにたくさんあります。また、書籍も数冊あります。書籍では特に「カラヤンとともに生きた日々/エリエッテ・フォン・カラヤン著,松田暁子訳」と「素顔のカラヤン/眞鍋圭子著」がお勧めです。前者は夫人の見たカラヤンが描かれ、冷たくて独裁者的なイメージのする彼が家庭では優しいパパであることがわかり衝撃でした。後者も人間味あふれるカラヤンの姿が描かれています。ぜひお読みください。

(A.M)