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親子で楽しむアニメーション 「アート・アニメーション・フェスティバル2011」 の見どころ

2011年08月19日
[ 映像 ]

 8月23日(火)より「アート・アニメーション・フェスティバル2011」を開催します(28日(日)まで、於:12階アートスペースA)。2007年に始まったこの上映会も通算で5回目を数えるので、既に夏の恒例行事となった感もあります。今回は「レゾルーメント・アニメ -フランスが自信を持っておすすめするアニメ作品集」5プログラム、「東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻作品集」4プログラム、「第4回愛知デジタルコンテンツコンテスト一次審査通過作品」1プログラムの、計10プログラム、119作品を上映します。

 短いものでは1分程度、長くても15分くらいの短編作品(平均的な上映時間はおよそ7分)を集めたプログラムなので、6日間で100本を越える作品を上映することになるのですが、これだけ本数があると、どれを観たらいいのか判らない、何を観ればいいか教えてほしい、という声を耳にするのも確かです。

 一人一人の人間の顔が違い、一人一人に個性があるように、作品には一本ずつ、それぞれの持ち味や見どころ、面白さがあるので、できるだけ多くの作品を観て、自分が気に入ったものを見つけ出すのが、この種の特集上映会や映画祭の楽しみであるのですが、そうは言っても、作家の名前もタイトルも始めて聞くような作品が並んでいると、途方に暮れてしまう、という気持ちになるも分かります。

 アニメーションという言葉から思い起こすのは、子供の頃から親しんでいるTVアニメであるからか、アニメーションは子供向きの表現というイメージがあります。確かにアニメーションには、本来動かないはずの絵が動く視覚的な驚きや面白さがあるので、子供も楽しめる映像表現である、という側面もあるでしょう。今回上映する作品は、子供向けであることを前提に作られている訳ではありませんが、夏休みの時期でもありますし、子供と一緒にご覧になることを考えられている方も少なくないのではと思い、親子での鑑賞をお薦めできるプログラムを紹介しましょう。


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 【 『 待ちこがれる雨のダンス 』 ( 監督:ヴィジャヤ・クマール・アルムーガン、2006年 ) 】

 まず、「レゾルーメント・アニメ」のAプログラム「子供の楽しみ」が挙げられます。『待ちこがれる雨のダンス』(監督:ヴィジャヤ・クマール・アルムーガン、2006年)のように、子供が主役級のキャラクターとして登場したり、『「侍」対「侍」』(監督:フランソワ・カフィオ、ロマン・ノエル、トマ・サラ、2005年)や『血を吸う悪魔』(アドリアン・バルビエ、ラム・ル・タン、アドリアン・アネスレイ、2005年)のように、往年の漫画映画に似た味わいを持つ作品、『宇宙のハーモニー』(監督:ジャン=マルク・ロアル、2005年)のように純粋な視覚的な美しさを追求した作品などを多く集めています。また手描きの線や人形を用い、手作り的な暖かみを持つ「東京藝術大学」の作品や、1分前後のコンピューター・グラフィックス(CG)ながら、ストーリー性に富んだ作品に特色のある「愛知デジタルコンテンツコンテスト」も、親子での鑑賞に向いているでしょう。

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 【 『 「侍」対「侍」 』 ( 監督:フランソワ・カフィオ、ロマン・ノエル、トマ・サラ、2005年 ) 】


 もちろん、作品によっては社会的なメッセージ性が強いハードなものや、ブラックな味わいを持つものなどもあり、ちょっと子供にはハードルが高いかも、と思われる場合があるかもしれません。でも単純に楽しく面白いだけではない、いろいろなタイプの作品を観て、価値観の多様性に触れることもまた重要なのではないでしょうか。アニメーションの愛好家はもちろんですが、一般の映画ファンも満足できる深みのある作品を鑑賞できる貴重な機会です。多くの方々にお越しいただければ幸いです。皆様のご来場をお待ちしております。

(T.E)