2010年12月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

ショパン名曲ミニコンサートが開催されました

2010年12月07日

2010年はショパン生誕200年。この記念年にアートプラザでは「ピアノの詩人ショパン展」を開催しています。今回関連イベントとして電子ピアノによるコンサートを開催しました。
関本コンサート1.jpg
 
演奏は関本淑乃(しゅくの)さん。関本さんは愛知県立芸術大学音楽学部の出身で、現在は文化情報センター職員です。関本さんは県芸大ではフランツ・リストを研究されていたとのこと。本人はピアニストと呼ばれるのを嫌がっていますが、腕前はなかなかのもの。今回は、大好きなショパンの曲ということで、しっかりと準備をされていました。
 関本コンサート2.jpg
 

当日は、ダン・タイ・ソン(ショパンコンクール優勝者)のコンサートと時間が重なってしまいました。しかし、中日新聞に紹介されたこともあり、約40名もの方々に来ていただき、ビデオルームは満席になってしまいました。ショパンの時代でも、貴族のサロンではこうした小さな空間で演奏されていたのですね。ショパンのパネルに囲まれながら、美しいピアノの音色に至福の一時を過ごされたことと思います。
関本コンサート3.jpg


さて、演奏はまず、『華麗なる大円舞曲』と『子犬のワルツ』という対照的な2曲のワルツから始まります。ワルツといってもショパンのものは踊るためというよりは聴くためのものですね。前者では華やかな舞踏会の雰囲気が、後者では子犬が自分の尻尾を追い掛け回しているかわいい情景が浮かんできます。関本コンサート4.jpg
 

次は練習曲(エチュード)を4曲演奏しました。のだめカンタービレでも有名になったOp.10-4、右手が黒鍵ばかりを弾く『黒鍵』、ショパンの祖国であるポーランドのワルシャワが陥落した怒りと悲しみが込められた『革命』、大きくうねる感じの『大洋』と、スケールの大きい曲が続きます。ショパンの激しい情熱を関本さんは的確に表現していました。
 関本コンサート5.jpg
エンゲルマン作 1831年ワルシャワ蜂起の石版画

最後のプログラムは『幻想即興曲』です。この曲はショパンの最もロマンティックな曲の一つですね。筆者がぜひともとリクエストしました。関本さんの解説によると、一拍を左手は6つ、右手は8つと両手が異なるリズム刻むので難しいとのこと。ジャーンという衝撃的な音から始まり、ざわめくような左手の分散和音と右手の情熱的な美しい旋律で始まるこの曲は、聴くものをしびれされる力がありますね。関本さんの演奏もとてもロマンティックでした。

盛大な拍手にこたえてのアンコールは『別れのワルツ』です。この曲は恋人マリア・ヴォジンスカに捧げられたのですが、2人は結局結ばれませんでした。この曲はショパンの死後に発見されました。ショパンは生涯自分一人の大事な思い出として胸の中にしまいこんでいたのですね。少し哀愁を帯びたとても美しい曲です。

 関本コンサート6.jpg
マリア・ヴォジンスカ(1819‐1896)

あっという間に終わってしまったコンサートですが、聴きながら筆者が改めて感じたのは、ショパンはとても繊細で孤独な作曲家であったのではないかということです。彼の39歳という短い生涯は、幸福な一生ではありませんでしたが、心の中にある満たされない思いが、このような素晴らしい作品を作り上げたように思うのです。

ショパン展は12月22日まで開催しています。皆様ぜひお越しください。次回のブログではショパン展の展示内容についてお知らせします。
(A.M)