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マーラー「大地の歌」&ローザス ビデオ上映会が始まりました

2010年09月29日

マーラー「大地の歌」とローザス
 重厚壮大な「マーラー」の音楽と斬新でポップなコンテンポラリーダンス・カンパニーの「ローザス」、この2つはどういう関係なのか、首をひねる方もいらっしゃると思います。この企画はあいちトリエンナーレの最後を飾るパフォーミングアーツ『3Abschied(3つの別れ)』の関連事業なのですね。『3 Abschied』では、マーラーの大作「大地の歌」の終楽章「告別」が生演奏され、ローザスを率いるアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル他によるダンスが加わるコラボレーション作品です。さらに、演奏は現代音楽を得意とするアンサンブル・イクトゥスです。日本初演となる記念すべきこの公演もぜひご覧ください。(この公演の詳細は次のホームページをご覧ください。)

 http://aichitriennale.jp/artists/performing-arts/-anne-teresa-de-keersmaeker-jerome-bel-ictus.html


マーラー1.jpg生誕150年のマーラーと「大地の歌」
 グスタフ・マーラー(1860年―1911年)は今年、生誕150年、さらに来年は没後100年という2年連続のアニバーサリー作曲家です。マーラーは後期ロマン派の作曲家で100人以上の編成による大規模な交響曲を11曲書きました。(第10番は未完に終わりました。)
 この「大地の歌」は1908年に書かれた9番目の交響曲です。6楽章からなり、テノールとアルトが交互に独唱をつとめています。歌詞は李白らによる唐詩に基づき、ドイツの詩人・翻訳家のベートゲが自由に翻訳した詩集『中国の笛』に基づいています。色彩的で耽美的な表現や漂う東洋的な無常観、厭世観のゆえにマーラーの作品の中でも人気の高い曲となっています。
 全6楽章のうち終楽章「告別」は約30分かかる大曲です。前半が孟浩然の詩、後半が王維の詩によっています。現世との別れ、生への告別を扱ったもので、「死」という厳粛なテーマを扱ったものと言えるでしょう。
なお、今回の「3Abschied」の公演では、シェーンベルクが編曲した室内楽バージョンでの演奏ですので、
原曲 の大オーケストラ演奏の重厚さとは異なる演奏となりますので印象が異なると思います。

 

「大地の歌」のビデオ
 今回は、バーンスタイン指揮とデイヴィス指揮の2種類の映像をお楽しみいただきますが、特にマーラーを得意とするバーンスタイン/イスラエルフィルの演奏は圧倒的です。マーラーと同じユダヤ人の血が流れているためか、全身全霊をこめた感動的な演奏となっています。

ジャケット.jpg

「大地の歌」ジャケットも展示しています
LPやLDという名前を聞いて懐かしく思われる方もいると思います。今では、CDやDVDに媒体が変わってしまいました。昔のLPジャケットはデザイナーが丁寧に工夫をこらして作成しており、一つのアートとも言えるでしょう。今回、「大地の歌」の12枚のジャケットを展示しています。(一部愛知県立芸術大学から資料提供いただきました。)中国の風景や写真をイメージしたもの、指揮者をクローズアップしたものなど様々です。ジャケットから何かが見えてくるかもしれません。


(A.M)