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あいちトリエンナーレ2010 デルガド・フッシュ「桃色のズボンと赤いヌバックの先の尖ったハイヒールをはいて、襟ぐりが緩んだセーターの上に着た空色のウールのロングコート」

2010年09月17日
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突然、いや、あまりにも自然に舞台は始まった。メトロノームのような音、装置はラジカセが1台というシンプルな舞台。水色のブリーフ姿のマルコと、ピンクのブラジャーとショーツを身につけたナディーンが登場し、準備体操にしては怪しいポーズで、腕や股関節をならしていく。

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おそらく、朝。恋人たちがベッドから這い出し、洋服を着て、仕事に出かける。夜はナイトクラブでダンスを楽しみ、激しく愛し合う・・・。それを身体だけで表現する二人。奇妙な動作に、筋肉がうねる。アクロバティックに交わる恋人たちの、最高の瞬間。腰を絡めたまま客席に向かって腕を広げ、無表情に場内を見渡す二人。その決めポーズが笑いを誘う。

私たちの日常の動作には、類型化されたものと、意味のない個性的なものがある。身体だけを浮かび上がらせてみると、こんなにも滑稽で愛しいとは!

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ラストシーンでは、ポラロイドカメラと、二人の全身写真から顔の部分を切り抜いた記念撮影用パネルを残して会場を去ったマルコ。日本初来日というのに、意外なポイントで日本人の習慣をとらえていた。彼らの視点のユニークさが、こんなところでも強調されていたように思う。

(アートマネジメント実践講座研修生 A.Y)