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「フランス音楽300年」ビデオ上映会開催中

2013年06月18日

プーシキン美術館展「フランス絵画300年」関連企画として、絵画と同様に17世紀半ばから20世紀半ばまでのフランス音楽の歩みをたどるビデオ上映会をアートプラザ・ビデオルームにて開催しています。
(6月23日(日)まで)

西洋音楽の本場と言えば、「音楽の都」ウィーンを思い浮かべる方が多いと思いますが、フランスも負けてはいません。「芸術の都」であるパリは、ヨーロッパ隋一の大都市として、多くの芸術家が集まってきました。音楽の分野では、17世紀からロココ風の華やかなフランス宮廷音楽が栄え、フランス音楽の基礎を築きます。19世紀にはスペクタクルな見せ場を持つグランドオペラも盛んに上演されるようになりました。

19世紀後半から20世紀初頭にかけてのパリは、数回の万国博覧会が開催され、世界各地から多彩な文化が集まります。そういう中で、時代の最先端を走る芸術家たちが活躍します。当時は、音楽や美術、文学、舞台芸術が、互いに影響し合い、時に共同で作品をつくり上げる成熟した文化活動が行なわれていました。

ルノワール(1841-1919)、モネ(1840-1926)、ドニ(1870-1943)などの印象派の画家たちと交流があった代表的な作曲家はクロード・ドビュッシー(1862-1918)です。ドビュッシーは同時代に活躍した画家や詩人から得たインスピレーションを作風に反映しています。代表作の『牧神の午後への前奏曲』(1892-94年)は、象徴派の詩人マラルメ(1842-1898)の「牧神の午後」(1876年)に感銘を受けて生まれました。また、印象派、象徴派の画家たちからの影響は、ピアノ曲「版画」(1903年)や「映像」(1905-12年)といった視覚芸術を想起させる作品にも反映されています。

今回の上映会ではドビュッシーの代表作であるオペラ「ペレアスとメリザンド」(1902年初演)を取り上げています。大変繊細で美しいオペラで、感覚的な音楽表現により美しい情景を描写しています。近代オペラ最高傑作の一つです。

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ドビュッシー                                     ルノワール(1875年頃)
 
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モネ(1899年)                                         ドニ

 


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マラルメ(1896)

他に画家との関わりのある作曲家に、フランシス・プーランク(1899-1963)がいます。プーランクは、バレエ・リュスを主宰するセルゲイ・ディアギレフからの委嘱によってバレエ『牝鹿』を作曲しますが、そのときの舞台・衣装はマリー・ローランサン(1883-1956)が作っています。
今回上映するプーランクのオペラ『カルメル会修道女の対話』(1956年初演)は、フランス革命時における修道女たちの処刑を描いたもので、大変美しく、味わい深い作品です。最後に修道女たちが聖歌を歌いながらギロチンにかかって死んでいくシーンは衝撃的で、涙を誘います。


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プーランクとワンダ・ランドフスカ                         マリー・ローランサン(1932年)

フランス音楽を聴いた後に、フランス美術を見ると、描かれた当時の時代の雰囲気がより理解できるのではないでしょうか。

なお、6月13日(木)の朝日新聞夕刊(9面)にも「もっと!プーシキン美術館展 画家と作曲家の交流感じて」と題して、今回の上映会の紹介がされています。
フランス音楽8.jpgのサムネール画像
朝日新聞名古屋本社転載許諾済

(A.M)