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パリ・オペラ座バレエ団による劇中劇「オテロ」が2階フォーラムで開催されました

2013年06月07日

パリ・オペラ座バレエ団は、世界最古かつ世界最高峰のバレエ団です。そのバレエ団(総勢約120名)が5年ぶりに愛知県芸術劇場にやってきました。(公演日5月25日(土)、26日(日))
演目は、「天井桟敷の人々」です。1945年公開されたフランス映画の名作で、「愛し合う者同士にはパリも狭い」といった名台詞を生み出したジャック・プレヴェールの脚本でも知られています。
また、パントマイム役者・バチスト、シェークスピア俳優・フレデリック、無頼詩人・ラスネールは、実在の人物をモデルにしています。日本でも1980年、キネマ旬報日本公開映画外国映画史上ベストワンに選ばれ、大変人気がある映画です。
今回のバレエは、この映画をバレエ化したもので、元エトワールのジョセ・マルティネスが振り付けました。ストーリーも映画にほぼ忠実で、華やかなダンスにいきいきとした音楽が加わり、感動的な作品になりました。
なお、オーケストラは名フィルが担当し、パリの雰囲気を見事に奏でました。

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映画「天井桟敷の人々」のワンシーン

さて、今回の公演では、観客に舞台の中に迷い込んだかのような錯覚を感じさせる、様々なおもしろい仕掛けがありました。最も注目を集めたのは、休憩時に行われた劇中劇「オテロ」です。パリ・オペラ座(ガルニエ)では豪華な正面の大階段を使ってパフォーマンスを行っていますが、当劇場大ホールのロビーは狭く、実施するには危険が伴うので、特別に、ホールの入口前にあるフォーラムという吹き抜けの場所を使うこととしました。
なお、東京公演会場の東京文化会館では、ロビーの階段で実施しています。

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パリ・オペラ座(ガルニエ)大階段

公演の前半終了時に、客席の上の方から、「オテロ」のちらしが降ってきました。ロビーでは黒装束のパフォーマーがフォーラムへとお客様を誘導していました。フォーラムでは4階へのスロープまでお客様が埋め尽くす中、ヴァイオリン奏者が演奏を始め、美しい女性ダンサー(シャルロッテ・ランソン:デスデモーナ役)が踊り始めます。その後に、男性ダンサー(カール・パケット:オテロ役)が加わり、二人の情熱的な愛のデュエットを経て、最後にはオテロが愛するデズテモーナの首をしめ、殺してしまいます。
10分弱の短いパフォーマンスでしたが、悲しげで美しい音楽とあでやかな衣装、情熱的なダンス、そして開放的な空間があいまって、劇場で見るのとは違った感動を呼び起こし、出演者は拍手喝采を受けていました。

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劇中劇「オテロ」のちらし
 
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カール・パケット(男性)とシャルロッテ・ランソン(女性)

裏話ですが、今回の劇中劇のパフォーマンスについては、様々なトラブルを想定(コンサートホールのお客様の退場時間と重なった場合の大混雑、その混雑で劇中劇が見られないお客様からのクレームなど)しながら、対策を講じていましたが、結果として混乱もなく終了し、お客様にも十分に楽しんでいただき、一同ほっとしたところです。
次回のパリ・オペラ座バレエ団はどんな演目を持ってくるのか楽しみですね。(A.M)