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「グレン・グールド・コレクション」ビデオ上映会開催中

2012年06月20日

 2012年は、ピアニストのグレン・グールド(Glenn Gould 1932-1982)の生誕80年及び没後30年の記念の年となることから、ビデオ上映会を企画しました(6月24日までアートプラザ・ビデオルームで開催中)。

 数々の伝説に彩られた、カナダが生んだ孤高の天才ピアニストであるグールドは、20世紀の芸術家の中で、最も人気のあったピアニストの一人です。クラシック愛好家だけでなく、ジャズやロックの愛好家にまで幅広い層から愛されました。特に日本での人気は大変高いものでした。彼の演奏は、クラシック音楽の約束事にはこだわらないことから、評価は大きく分かれますが、自由奔放な解釈や疾走しスイングする音楽やリズムが多くの人の心を掴んだといえますね。グールドの研究家の宮澤淳一氏は、「グールドはクラシックの音楽家ではない」とまで言っています。

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 グールドは、デビュー・アルバムとしてバッハの「ゴールドベルク変奏曲」を1955年に録音し、世界中に衝撃を与え、それまでのバッハの演奏概念を大きく変えました。日本では評価が低かったのですが、先日亡くなられた音楽評論家の吉田秀和氏は、この盤を聴き、グールドの素晴らしさを絶賛しています。日本でグールドの真価を広く伝えたのは吉田秀和氏の功績です。その後カラヤン、バーンスタイン、セルなど一流の指揮者と共演し、名声を築きますが、1964年31歳の時に全てのステージから引退するいわゆる「コンサート・ドロップアウト」を行い、以後はレコーディングと音楽の創作、著作活動に専念しました。1982年に亡くなりますが、その直後にリリースされたのが「ゴールドベルク変奏曲」の再録音盤です。地下2階オアシス連絡通路のポスターケースにゴールドベルク変奏曲の新旧LPジャケットが展示してありますので、是非ご覧ください。
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 「ゴールドベルク変奏曲」ジャケット(左は再録音版、右が初録音版)

 

 今回の「グレン・グールド・コレクション」は、1954年から77年までにカナダ放送協会(CBC)で放映されたテレビ番組をフランスの映像作家B.モンサンジョンが12のプログラムにまとめ直したもので、グールドの演奏だけでなく、名ヴァイオリニストのメニューインとの対話やラジオ番組のためのテレビCMなどが盛り沢山です。類まれなる天才ピアニストの多彩な姿をとらえたグールド・ファン必見の映像作品をお楽しみください。

 

 さらに、グールドのLPレコードジャケットもビデオルームに多数展示していますので、ジャケット・アートもお楽しみください(LPジャケットの多くは、愛知県立芸術大学の図書館から借用したものです。)。

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 なお、今回のビデオを見逃した方は、1階アートライブラリー・ビデオブースにて視聴できますので、どうぞご利用ください。
(A.M)