5月26日(土)の午後、美術館ロビーにモーツァルトの美しい弦楽四重奏が響き渡りました。演奏したのは、モーツァルト200メモリアルの皆様で、舘奈緒さん(第1ヴァイオリン)、荒川芳子さん(第2ヴァイオリン)、小川克子さん(ヴィオラ)、深谷展晃さん(チェロ)の4人によるカルテットです。
モーツァルト200メモリアル(主宰:熊崎雅芳)は、モーツァルト没後200年の1991年に創設された団体で、モーツァルトの様々な曲の演奏会を開催しています。愛知芸術文化センター主催のフレッシュコンサートでも何度も素晴らしい演奏を披露いただいております。
さて、魔術展とモーツァルトとは一体、何の関係があるのかと思われる方もあるでしょう。魔術や魔法といった世界は、西欧の音楽やオペラでもよく描かれています。モーツァルトもオペラ「魔笛」で、魔法の世界を楽しくメルヘンのように描いています。
今回のメイン曲である「不協和音」は、第1楽章の冒頭に、作曲当時としては、極めて大胆な和声効果を持つ序奏が置かれていることから、こう呼ばれています。序奏の後は、モーツァルトらしい、明快な曲が始まります。美しい旋律と転調の妙が、弦楽四重奏というがっちりとした形式の中に完全に調和した作品です。室内楽の最高傑作の一つです。
4人の演奏は、4つの声部がある時は調和して一つとなったり、ある時は親密に対話したり、ある時は対決したり、カルテットの醍醐味が味わえる名演で、あっという間の30分でした。
最後は、誰でも知っている名曲中の名曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク(小夜曲)」の第1楽章でした。とても優雅で美しい演奏に、観客の皆様も満足そうな表情でした。
ロビーには吉本直子さんの《白の棺》なども展示してあり、観客の皆様は美術作品を観ながらのコンサートで、他では味わえない時空を超えた感動を覚えられたことと思います。
左から荒川芳子さん(2nd Vn)、 舘奈緒さん(1st Vn)、熊崎雅芳さん、深谷展亮さん(Vc)、小川克子さん(Va)。
(A.M)