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ミニトーク 「シェーンベルクとカンディンスキー」が開催されました

2011年03月23日

ミニトーク 「シェーンベルクとカンディンスキー」が開催されました。
  --絵画《印象III(コンサート)》から聴こえる青騎士の響き--

皆様は愛知県美術館の「カンディンスキーと青騎士」展はご覧になりましたか?
カンディンスキーの絵を見ていると音楽が聴こえてくるような不思議な気がしませんか。さて、3月12日にこの展覧会の関連事業として、絵と音楽との関わりについてミニトークを開催しました。講師は愛知県立芸術大学の非常勤講師の中村ゆかり先生(専門は西洋音楽史)でした。中村先生は宗次ホールやNHK文化センターで「恋する作曲家」シリーズなどでわかりやすくクラシック音楽を解説しています。また、3年前ですが愛知県文化振興事業団主催の愛知の未来を紡ぐコンサートで「バッハ万華鏡=バッハを愛した作曲家たちの響宴」という素晴らしい企画をプロデュースしていただいています。

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 トークはシェーンベルクの生きた19世紀後半から20世紀前半までの音楽を概観し、その後、彼の作品を紹介しました。彼はブラームスとワグナーから大きな影響を受け、初期の「調性音楽の時代」には、『グレの歌』や『浄夜』などとてもロマンティックな曲を書いていますが、次第に「無調音楽の時代」(『月に憑かれたピエロ』など)へ移り、そして「12音音楽の時代」(『モーゼとアロン』など)へと向かっていきます。

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シェーンベルクと息子ゲオルグ(1911)


今回のカンディンスキーが聴いたシェーンベルクコンサート(1911.1.2)での演奏曲では、『弦楽四重奏曲第2番』は調性音楽時代の最後に、『3つのピアノ曲』は無調音楽の時代の初めに当たります。トークでは、特に弦楽四重奏曲第2番について、各楽章の主題やモチーフとその関連についてわかりやすく、美しい声で歌いながら解説いただきました。特に第4楽章は無調音楽でできているとのことで、空中に浮遊するようなとても不思議な音楽です。
なお、このコンサートの当日のプログラムも紹介していただきました。演奏はロゼ・クァルテット(ヴァイオリンのアーノルト・ロゼはウィーンフィルのコンサートマスターでマーラーの妹のユスティーネと結婚)、ソプラノはマリー・グートハイル=ショーダー(ウィーンで活躍した著名なオペラ歌手で、同時代の音楽も歌う。)ピアノはエッタ・ヴェンドルフです。会場はミュンヘンのヤーレスツァイテンザール(現在もホテル・ケンピンスキー・フィア・ヤーレスツァイテンの中にケルビーニザールと名を変えて残っているようです。)


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シェーンベルクコンサートのプログラム(1911.1.2)

 トークの後では、このコンサートの曲の再現をCDとスライドで聴いていただきましたが、中村先生の解説を聴いた後ですので、曲の理解がより深まったことと思います。
なお、当日の記事が中日新聞(3月13日朝刊)に掲載されました。
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中日新聞社許諾済 許諾番号 20110323-9453


(A.M)