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マーラー交響曲ビデオ上映会が開催中です。

2011年03月01日

今年はグスタフ・マーラー(1860-1911)の没後100年の記念年。昨年も生誕150年でしたので2年連続の記念年となりますね。今回、レナード・バーンスタインの指揮でマーラーの交響曲を全曲お楽しみいただきます。

マーラーの魅力
 マーラーは交響曲作曲家として有名です。生涯に11の交響曲を書きました。(『大地の歌』含む。第10番は未完)いずれも後期ロマン派を代表する作品で、大オーケストラの醍醐味を味わうことのできる名作ばかりです。(特に第8番「千人の交響曲」は、合唱団、ソリストを含め千人に及ぶ演奏家が必要となる大曲です。)
マーラーの音楽には人間の感情のすべてが含まれているように思います。恋のときめき、失恋、愛と嫉妬、絶望、怒り、自然、信仰、死への恐怖、陶酔、酩酊、来世へのあこがれ・・・
交響曲は1時間を超えるものも多くとても長いのですが、最初から最後までが一つのドラマとなっています。そのドラマの中に身を置くと、自分の中の感情を追体験でき、とても深い感動を覚えることが出来ます。

  マーラー交響曲1.jpgグスタフ・マーラー 1909年 

 

マーラー交響曲2.jpgアルマ・マーラー1879-1964

「やがて私の時代が来る」
 マーラーの有名な言葉です。マーラーはウィーン国立歌劇場などの指揮者を務め、当時は作曲家というより指揮者として華やかな活躍をしていました。マーラーの巨大な音楽が当時の聴衆には十分理解できなかったかもしれませんね。特にナチスの時代には、マーラーはユダヤ人のため、冷遇されました。ユダヤ人作曲家の曲は演奏禁止となり、3M(メンデルスゾーン、マイヤベーア、マーラー)の曲はしばらくの間演奏されませんでした。元妻のアルマ・マーラーもアメリカへの亡命を余儀なくされています。
マーラー復活は戦後になってからで、特にステレオが発明されてからは、レコードによりその音楽の素晴らしさに多くの人が気付いたのですね。マーラーの予言通り、「私の時代」がやってきたのです。今では、世界中で演奏されています。ここ名古屋でもマーラーが盛り上がっています。名古屋マーラー音楽祭が1月から始まり、愛知県芸術劇場コンサートホールでアマチュアのオーケストラと合唱団が交響曲全曲演奏に取り組んでいます。

バーンスタインの映像
 レナード・バーンスタインは「ウエストサイド物語」の作曲家としても有名ですが、指揮者としても、ヘルベルト・フォン・カラヤンと並んで世界中で活躍しました。バーンスタインはユダヤ人ですので、同じユダヤ人のマーラーに深く共感するのでしょうか、若い時からマーラーの伝道師として、積極的に取り上げてきました。現在のマーラー・ブームも彼の働きによるものが大きいでしょう。
今回の映像も彼が50代の最も精力的な時期のもので、大変貴重なものです。演奏はほとんどがマーラーも指揮者を務めたウィーンフィル。まさに最高の演奏ですね。彼は、いつも全身全霊を込めて指揮をするので、見ているだけでとても感動的です。まさにマーラーが乗り移ったかのような白熱的な演奏です。
 
マーラー交響曲3.jpgレナード・バーンスタイン(1918-1990)

マーラーに関する映画もお楽しみください
最終日には2本の映画を上映します。映画「ベニスに死す」はイタリアのルキノ・ビスコンティ監督の名作です。トーマス・マンの原作では主人公は老作家としていたのを、ビスコンティは音楽家に変え、マーラーらしい人物にしています。また、シェーンベルクらしい人物も登場します。テーマ音楽はマーラーの交響曲第5番第4楽章アダージェットで、この映画により大変有名となりました。とても美しい映画です。
映画「マーラー」はイギリスの監督ケン・ラッセルによる伝記映画です。単純な伝記ではなく、幻想的なシーンも多く、内容は相当エキセントリックなものとなっていますのですので、ご覧になる場合はびっくりされないよう。
 
今回見逃した方もアートライブラリーで見ることができます。

 
マーラー交響曲4.jpgルキノ・ビスコンティ(1907-1976)  

マーラー交響曲5.jpgケン・ラッセル(1927-)
(C)Ken Russell
 

マーラーLPジャケット展示中
 マーラーの交響曲のLPも展示しています。昔のLPジャケットは美しいものが多く、眺めるだけでも新しい世界に触れる気がしますね。筆者も若いころはせっせとLPを集めていましたので、一枚一枚に深い愛着を感じます。CDになってからはジャケットも小さくなり、インパクトがなくなってしまいとても残念ですね。

 マーラー交響曲6.jpg

(A.M)