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ニューイヤーは魅惑のウィンナ・オペレッタで楽しみましょう

2011年01月11日

 新年のウィーンはウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで始まります。このコンサートでは毎年楽しいJ.シュトラウス父子のワルツ・ポルカなどが中心に演奏されますね。これからの寒い季節、ウィーンは舞踏会シーズンです。ウィンナ・オペレッタでもワルツや舞踏会が欠かせません。今回、ニューイヤーということで「ウィンナ・オペレッタ映像特集」を企画しました。どうぞお楽しみください。
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ニューイヤーコンサート会場(ウィーン・ムジークフェライン大ホール)

オペレッタとオペラ、ミュージカルはどう違うのでしょうか
 オペレッタは「喜歌劇」とも訳され、歌・芝居・踊りが三位一体となった音楽劇です。オペラは音楽中心で作られるのに対して、オペレッタはセリフが非常に多く、演劇的な要素が大きいのが特徴です。また、内容も演じ方も、オペラに比べよりリアルなのでわかりやすく、初めてみる方でも理屈抜きに楽しめるものばかりです。19世紀から20世紀前半までが全盛期で、この後、ミュージカルが取って代わります。ミュージカルはマイクを通じて歌い演じますが、オペレッタは基本的には伝統的なオペラ歌手と同じテクニックを用いて、「ナマ」の声で歌い演じるという違いがあります。

ウィンナ・オペレッタの魅力
 「ウィンナ・オペレッタ」には独特の魅力があります。美しく甘いメロディ、心躍るリズム、ウィンナワルツやチャールダッシュ,フレンチカンカンなどの楽しい踊りにあふれています。また、テーマのほとんどは「愛」。何種類もの愛が同時に進行します。あらゆる種類の愛が一杯あふれ、愛の百科事典とも言えるでしょう。観客は舞台の登場人物との一体を求めて、一喜一憂しながら、最後はハッピーエンドに終わるのです。見ればどんなに疲れていてもたちまちハッピーとなる不思議な魅力にあふれていますね。まさに夢の世界です。

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ウィルヘルム・ローズ『ホーフブルクの宮中舞踏会』、1900年   チャールダッシュ

 ウィンナ・オペレッタは、歴史的には終わったとされていますが、今でもウィーンでは生き生きと息づいています。その中心がオぺレッタの殿堂ウィーン・フォルクスオーパーです。世界トップレベルのウィーン・シュターツオーパー(小澤征爾が最近まで音楽監督を務めた)とは違い、より庶民的なオペレッタ劇場です。筆者も20数年前の来日公演で初めて接しましたが、その魅力にすっかりはまってしまいました。現地にも行きましたが、独特の雰囲気があり、劇場がウィーンの日常生活に溶け込んでいるという感じがしました。
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ウィーン・フォルクスオーパー

 今回は、ウィンナ・オペレッタの「黄金の時代」と呼ばれるJ.シュトラウス2世、「白銀の時代」と言われるレハールやカールマンの作品を中心にお楽しみいただきます。気品のあるJ.シュトラウスからハンガリー的な色彩が色濃く出たレハール、ミュージカルに近づいているカールマンまでウィンナ・オペレッタの変遷をたどることができるでしょう。

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J.シュトラウス2世(1825-1899)       フランツ・レハール(1870-1948)   エメリヒ・カールマン(1882-1953)

今回の上映会の見どころ
 今回の映像はユニテル制作の映画がほとんどを占めています。映画ですので、舞台上演では見られないような現地の農村の風景や宮廷の情景、豪華な衣装、大変豪華でリアルなセットが見どころです。演技も歌も踊りも上手な美男・美女が登場するのも楽しみですよ。
 入門向けの作品としては、「こうもり」「メリー・ウィドゥ」「チャールダッシュの女王」がお勧めです。「こうもり」では、伝説的な指揮者、カルロス・クライバーの華麗な指揮ぶりも楽しめます。クライバーも下積みではオペレッタを多く振り、オペレッタで指揮者デビューを果たしています。オットー・シェンク演出のこの映像はスタンダードとなっています。「メリー・ウィドゥ」はワルツが有名で誰でも知っています。美しいメロディと踊りにあふれています。ドイツ語版(オリジナル)とフランス語版の2種類お楽しみください。
オペレッタでは、原語にこだわらず、現地の国の言葉で演じ歌われることが多いです。
 「チャールダッシュの女王」はストーリーも面白く、最高傑作の一つです。むせび泣くかのようなヴァイオリン、もの憂いジプシーの響き、そして激しいダンスは大変魅力的です。モッフォ、コロといった人気キャストと素晴らしいアンサンブルも見どころです。
 オペレッタの魅力に目覚めた方には、「ウィーン気質」「ルクセンブルク伯爵」「マリッツァ伯爵夫人」などはいかがでしょうか。美しいメロディは口ずさみたくなってきます。また、日本ではめったに上演されない演目には「オペラ舞踏会」「ドルの女王」「サーカスの女王」などがあります。いずれも豪華な映像でとても楽しめるものばかりです。
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「こうもり」挿絵                                「ロシアの皇太子」挿絵

 今回の上映を見逃した方も、アートライブラリーで視聴できますのでぜひご覧ください。

(A.M)