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シューマン夫妻の愛を描いた映画を上映します。

2010年11月08日

2010年は、ロベルト・シューマン生誕200年です。アートライブラリーでは、「ロベルト&クララ・シューマン展」を11月28日まで開催しています。今回、関連イベントとしてシューマンに関する映画の上映会をアートプラザビデオルームにて開催します。
 シューマン上映1.jpg
ロベルトとクララ

ロベルトとクララ・シューマンのラヴストーリーは大変有名ですね。この題材を扱った映画作品を今回2つ紹介します。

上演日時 平成22年11月13日(土) 
  1. 映画「愛の調べ」 13時から
  2. 映画「哀愁のトロイメライ」 10時30分からと15時30分からの2回

今回の上映映画の配役等のデータは次のとおりです。シューマン上映2.jpg


 シューマン上映3.jpg
キャサリン・ヘップバーン

シューマン上映4.jpg (C)Sportsforpeace
ナスターシャ・キンスキー

さて、この映画を見るための参考となる情報をお知らせします。
(1)素晴らしい音楽を楽しんでください。
音楽映画ですので全編にわたり、シューマンの音楽に満ちています。「愛の調べ」では、世紀の名ピアニストのアルトゥール・ルビンシュタイン(1887-1982)が演奏を吹き替えています。また、「哀愁のトロイメライ」でもフィッシャー・ディスカウ、ポコレッチ、ケンプ、サバリッシュなど名演奏家の演奏がたくさん。特に名ヴァイオリニストのギドン・クレーメルがパガニーニ役で出演しているのは驚きです。

 シューマン上映5.jpg(C)Carl Van Vechten
アルトゥール・ルビンシュタイン


(2)ロマンティックな愛の歌「献呈」
映画「愛の調べ」では「献呈」がテーマで、夫婦の愛を確かめる音楽となっています。「献呈」は、ロベルトの歌曲集「ミルテの花」の第1曲目で、クララとの結婚式の前日にミルテの花を添えてクララに献呈された曲です。ミルテの花は、美の女神ビーナスと愛を象徴する花とされ、結婚の花です。この曲はシューマンの曲の中で最もロマンティックな曲ですね。最も幸せな時代に作曲されました。聴いているだけでうっとりとしてしまいます。また、歌詞はリュッケルトによるもので、恥ずかしくなるくらいの熱愛のラブレターです。紹介しましょう。
「君こそ僕の魂、僕の心。
君こそ僕の喜び、僕の苦しみ。
君こそ僕の生きる世界。
君こそ僕の目指す天国。
ああ、君の中に僕は悩みを永遠に埋めてしまった。
君こそ憩い、君こそ安らぎ。
君こそ天から授けられた人。
君の愛は僕の誉れ。
君に見つめられ、僕は輝く。
君に愛されて僕は価値あるものとなる。
君は僕の天使、僕以上の僕。」
なお、映画では、歌ではなくピアノ(リスト編曲)で演奏されますが、ぜひ歌で聴いて欲しいと思います。
 
シューマン上映6.jpg(C)Forest & Kim Starr
ミルテの花(和名 ギンバイカ)


(3)映画と史実との違い
この映画はシューマン夫妻を題材としたフィクションで、ドキュメンタリーではありません。一部、史実に忠実ではない部分もありますのでご注意を。アートライブリーにはシューマンの伝記などもありますので、関心を持たれた方はぜひご利用いただき、正しい情報を入手いただきたいと思います。
「哀愁のトロイメライ」はドイツ映画で史実に近く、当時のドイツの美しい街並みや郊外の風景なども楽しむことができます。一方、「愛の調べ」はモノクロで、かなり創作が入っていますが、アメリカ映画らしく娯楽性に富み楽しめます。
(4)クララ対決
新旧の名女優、キャサリン・ヘップバーン(1907-2003)とナスターシャ・キンスキー(1961-)がクララを熱演しています。ヘップバーンは飾り気のないスタイルと個性的な魅力、比類なき演技力で万人から愛された演技派大女優でした。一方、キンスキーは当代一の国際派女優で、気品と透明感あるある美貌で人気を博しています。
皆さんはどちらのクララを選びますか。筆者はキンスキーの魔性的な魅力に惹かれながらも危険を感ずるのですが・・・。
(5)ストーリー
「哀愁のトロイメライ」はロベルトがヴィーク家に弟子入りして、天才少女クララと出会い、クララの父親の猛反対を押し切りめでたく結婚するというストーリー。
一方、「愛の調べ」は、めでたく結婚したロベルトとクララの幸福な結婚生活、家庭生活が、ロベルトの精神異常から破綻して、ロベルトは急死。家族のようにしていたブラームスはクララに求愛するが、ロベルトへの愛を守るというストーリー。
両映画は時代的にほとんど重なっていないので、続けて鑑賞すると2人の生涯が見えてきます。

なお、両作品は上映会終了後、アートライブラリー資料として受入を予定しています。

(A.M)