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粟國淳のミニトークが開催されました

2010年08月15日

8月15日(日)、トリエンナーレオペラ「ホフマン物語」を演出する粟國淳氏がアートプラザ・ビデオルームに来場されました。そこでオペラについての楽しいトークをしていただきました。

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粟國氏は日本を代表する若手オペラ演出家の筆頭です。日本とイタリアの各地で幅広く活躍しています。愛知県芸術劇場でも、愛知県文化振興事業団主催で、ローマ歌劇場の初来日のときのスタッフとしての活動以来、「椿姫」、「ラ・ボエーム」での演出において豪華で感動的な舞台を繰り広げたのは記憶に新しいものです。イタリアでの生活も長く、日本語よりもイタリア語の方がうまいとか・・・。ちょうど「ホフマン物語」の稽古が大リハーサル室で始まっていて、忙しい合間をぬって来ていただきました。

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 さて、粟國氏のお話は、とても表情豊かで、オペラの様々な作曲家や作品のお話をはじめ、歌やせりふも飛び出すとても楽しいものでした。以下、講演の一部をお伝えします。

・オペラは作曲家だけではなく、台本づくりの作家と一緒になって創られます。プッチーニは、言葉とストーリーの助けなしに作曲はできないと言っています。
・オペラはドラマです。ヴェルディは、オペラのドラマ性を重視し、人間のストーリーを描きました。特に歌手の発音の明瞭化を重視し、キーになる言葉(たとえば「愛」、「死」、「復讐」など)をいかに、観客の耳にストレートに入れるかを工夫しています。
・オペラは時代の遺産であるが博物館の所蔵品ではありません。100年前のものであっても、できたときは現代アートでした。「椿姫」も、初演された当時は、内容が同時代の出来事で、衝撃的なテーマであったに違いありません。
・オペラは娯楽であり、楽しいものです。今で言う「映画」と同じようなもので、スペクタクルな要素もあります。
・オペラ歌手は、体が楽器であり、歌が歌えるのは当然で、さらに演技も要求され、大変です。オペラ歌手は喉の油分がとれてしまうため、幕間のウーロン茶は禁物です。
・「ホフマン物語」はオペレッタの神様とも言われるオッフェンバックが書いたとてもドラマティックな作品で、ミステリアスであり、悪魔が出てきたりしてダークな部分もあるホラー映画のようなところもあります。
 
 その他にも多くのお話をいただきました。当初予定の30分を超えてのトークでしたが、あっという間に時間がたってしまった感じです。また、機会があればじっくりお話を伺いたいですね。9月18日と20日の本公演ではどのような楽しい舞台を見せてくれるのでしょうか、とても楽しみです。
 ビデオ上映会も20日まで開催しています。また、アートライブラリーでは、「ホフマン物語」特別展示を行っていますので、ぜひ足をお運びください。
(A.M)