2010年08月12345678910111213141516171819202122232425262728293031

オペラ「ホフマン物語」ビデオ上映会(第2弾)が始まりました!

2010年08月11日

オペラ「ホフマン物語」ビデオ上映会(第2弾)が始まりました!
―フランスオペラの本場新旧パリ・オペラ座の上演をお楽しみください―

 

 パリ・オペラ座には2つのオペラハウスがあります
 「ホフマン物語」は、フランスオペラの珠玉の傑作です。フランスオペラ最高峰のパリ・オペラ座での上演こそ、最も作曲家の意図を現しているのではないでしょうか。

ガルニエ.jpg←ガルニエ宮
 さて、パリ・オペラ座には二つのオペラハウスがあることはご存知でしょうか。オペラ座というとミュージカル「オペラ座の怪人」で有名ですね。これはこの劇場が舞台です。設計者のシャルル・ガルニエの名から「ガルニエ宮」とも呼ばれ、1875年に落成しました。ネオバロック様式の劇場はあっと驚くほど豪華絢爛であり、劇場の天井にはマルク・シャガールの幻想的な絵が描かれ、とっても素敵です。(客席は2,167)
 

バスティーユ.jpg←オペラ・バスティーユ
 一方のオペラ・バスティーユはフランス革命200年を記念して、バスティーユ広場に建てられたもので1989年に落成しました。外観はガラス張りのモダンな建築で、舞台装置はコンピューター制御でなんと世界最大の9面舞台、客席は2,703です。(ちなみに愛知県芸術劇場大ホールは3面舞台)
現在では、バスティーユがオペラ上演で多く使われ、ガルニエは主にバレエで使われています。日本には、オペラ座のバレエ団は何度も来ていますが、合唱、オーケストラを含めたオペラ集団としては2008年に初来日しました。

 

「ホフマン物語」は上演ごとに内容が異なります
 この新旧パリ・オペラ座の映像はそれぞれかなり異なっています。30年近く時代が離れていますので、画質や演出が異なるのは当然ですが、最も大きな違いは幕の構成です。旧が第1幕ジュリエッタ⇒第2幕オランピア⇒第3幕アントニアと進むのに対し、新がオランピア⇒ジュリエッタ⇒アントニアと進みます。また、ニコラウスは通常は女性が男性役として歌うのですが(ズボン役といいます)、旧では男性がそのまま歌っています。不思議ですね。実は、作曲家のオッフェンバックは「ホフマン物語」を完成させずに亡くなったのです。エルネスト・ギローがアレンジを加えて完成させたのですが、初演時(1881年)の楽譜が消失してしまったので、それ以降、自筆譜の一部が新たに発見されたりして、さまざまな版が現れているのです。今回のあいちトリエンナーレはどのような版によるのでしょうか。

 

 特別プログラム(8/15)では伝説の映像を上演します
 8月15日(日曜日)には、特別にフェルゼンシュタイン演出による伝説的の映像「ホフマン物語」を上演します。 

フェルゼンシュタイン.jpg←ワルター・フェルゼンシュタイン(1901-75)
フェルゼンシュタインはドイツの演出家で、オッフェンバックを再評価し、オペラ界に衝撃を与えました。また、第2次大戦後は、東ベルリンにコーミッシュ・オーパーを創設し、オペラのなかのドラマの部分に光をあてた「ムジークテアター(音楽劇)論」を展開しました。オペラに「演出の時代」をつくった功労者です。今回は、ドイツ語による上演で、いつものフランスオペラの雰囲気とは違いますが、とても演劇的な内容で、人間の真実が素直に力強く伝わってきます。
さらに、同日11時からは、あいちトリエンナーレオペラで演出を担当する粟國淳さんに会場に来ていただき、ミニトークをしていただきます。オペラは演出によってメッセージや感動も異なってきます。粟國さんがどのような演出をされるかとても楽しみです。

(A.M)

※ あいちトリエンナーレ2010プロデュースオペラ「ホフマン物語」の詳細は下記の特別サイトへ  http://www.aac.pref.aichi.jp/sinkou/event/hoffmann2010/index.html