10月31日に行われた長者町パフォーミング街をご紹介します。
来年行われる『あいちトリエンナーレ2010』のプレイベントとして、
トリエンナーレ会場の一つである<名古屋市 長者町地区>の様々な場所を舞台にし、
ダンサーやミュージシャンが、同時多発的にパフォーマンスを繰り広げました!
トップバッターは「めんどルズ×THE PONDORS」
モリリン(株)の荷受所という繊維街独特な雰囲気の中で、
まずはTHE PONDORSがオリジナル楽曲を披露。
観客の皆さんも、段々と世界感に溶け込んできた頃、
めんどルズがそれに合わせて踊りだします。
レトロな雰囲気とダンスが調和し、不思議で楽しい空間です。
同時に、オープンしたての画廊STANDING PINE cubeにて、
「鈴村由紀」らが、太鼓や、声に合わせて、即興ダンスで魅せます。
男性顔負けの激しさは観客の皆さんも感心していました。
次は「魂宮時(タクジ)」。
ストリート出身ながらも、優しさや繊細さを兼ね備えた耽美なダンサー。
豊島ビル公開空地を舞台に、音も使わず、舞台装置も使わず、
まさにダンスのみで観客の心をつかんで離さないといったところです。舞台をモリリン(株)荷受場に戻し、「afterimage(アフターイマージュ)」の公演です。
この男性だけのダンスカンパニーは、面白さ、いわゆるお笑い的要素も散りばめながら、
「キモチイイダンス」を提供し、お客さんは笑いながら、
afterimageワールドにはまっていました。
再び画廊STANDING PINE cubeでは、「コマツアイ」が生ギターと、
詩の朗読に合わせて、切なく優しいダンスを踊っていました。
寂しさの中に温かさを感じる作品が印象的でした。
そんな中、長者町の路上では謎の白塗り男「二足歩行クララ」が出現!
音の鳴る小さな車イスを曳きながら、あの名作のあのシーンをオマージュしたり、
アコーディオンとセッションしたりと、街をゆく人たちは不思議な踊りに驚きながらも、段々とその周りには人だかりが溢れていきました。
ゑびすビルパート?屋上では「CAKRA DANCE COMPANY」の公演がありました。
彼ら「CAKRA DANCE COMPANY」は現役のストリートダンサーでありながら、
前衛的な作品を提供し続けている舞踊団。
最初は人形のように微動だにしないダンサーが、観客の拍手をきっかけに踊りだすのですが、なぜか彼らが動く度に体から機械音がし、いくつかのビルに潜んでいた10人くらいのダンサーが徐々に掛け合いながら、群舞になり終わるという、時空の狂ったような、近未来的な作品に拍手が止まりませんでした。
場所は戻って豊島ビル 公開空地。
「田中三奈代」は布を使ったり、三味線とコラボレーションしたり、
さらには、お客さんを巻き込んでと、楽しいダンスをこれでもかというくらい魅せてくれます!
しかもその会場には、あのパフォーマンス・インスタレーション集団「クロノズ」が!
存在するだけでも異質な雰囲気が漂ってます。
最後は、東京からのゲスト「東野祥子×カジワラトシオ」
お二人とも世界からも注目を浴びるパフォーマーだけあって、
会場のモリリン?荷受場は、音、照明、演出、そしてダンス・・・
全てが今までとは全く違う雰囲気に!
エレベータ、トラック、蛍光灯など、その場にある【モノ】も、
即興で【舞台効果】に変えてしまうそのセンスは、さすが一流の表現者!と感服してしまいました。
その退廃的な狂気をも含んだような耽美な舞台に、観客の皆さんも心を奪われたように
見入っていました。
全ての演目が終わった後、出演者の皆さんで即興セッションが行われました。
ミュージシャンとダンサーが渾然一体となり、不思議で楽しい雰囲気で、
【長者町パフォーミング街(どおり)】は締めくくられました。
『レトロ×コンテンポラリー』というコンセプトのもと、
[懐古]的な長者町に、[同時代]性のパフォーマンスはぴったりマッチしていました。
あいちトリエンナーレ2010に向けて、長者町や、ダンスの魅力を再発見することができました!
(文中の呼称は敬称略です)
(Y.U.)