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恵比寿映像祭で三宅流『究竟の地』を上映

2009年02月27日

 2月20日(金)、東京都写真美術館で「恵比寿映像祭」が始まりました。「映画祭」ではなく「映像祭」をタイトルに掲げていることから分かる通り、この企画は上映プログラムとともに、美術館全館を使って、映像を用いたインスタレーション作品などの展示が行われ、立体的な構成となっています。

 都会で起こる男女の出会いを字幕のみで物語るチョン・ヨンヘ重工業の映像作品や、ミニチュアの映画館の中で起こる事件を鑑賞者がのぞき見するように目撃するジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー『ミリュエル湖事件』(1999年)、著名人の表情を固定カメラで撮影した、絵画と映画の中間に位置するようなアンディ・ウォーホル『スクリーン・テスト』(1964年より開始した連作)などの展示作品を観ると、1960年代から映像を用いる手法は多用化し、表現は多彩となって、今日、映像が単純に映画やTVといったメディアのみに留まるものではなくなっていることが体感できるでしょう。

 21日(土)には、愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品より大山慶監督『HAND SOAP』(2008年、シリーズ第17弾)など、アニメーションの手法を用いた3作品が上映されました。上映に先立つ形でトークも行われ、上映終了後には、観客が監督に駆け付け、写真をコラージュして作られた画面の独特な質感について尋ねるなど、熱い反応がありました。

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 そしていよいよ、会期の最終日となる3月1日(日)には、三宅流監督『究竟の地 ― 岩崎鬼剣舞の一年』(2007年、シリーズ第16弾)が上映されます。岩手県に伝わる「岩崎鬼剣舞」の一年の営みを取材したこのドキュメンタリーでは、地域社会が一体となってこの民俗芸能を楽しみ、育んでいる、人間たちの濃密な関係に触れることが出来ます。21日のプログラムと併せると、“身体”を統一テーマに設定することから生まれた、シリーズの持つ広がりと奥行きも感じられるでしょう。東京圏にお住まいの皆様、この機会にぜひご鑑賞ください!

(T.E.)