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第92回  フレッシュコンサートを開催しました ♯♪♭

2014年03月20日

「第92回 フレッシュコンサート」を2月26日(水)にフォーラムI(2階)で開催しました。

『オーボエとピアノ、フルートで紡ぐ愛の調べ』と題して、オーボエの坂内紘子(さかうち ひろこ)さん、ピアノの中山恵(なかやま けい)さんとフルートの遠藤佳奈子(えんどう かなこ)さんによるアンサンブルを200名以上の方にお楽しみいただきました。

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【 左から、中山恵さん、遠藤佳奈子さん、坂内紘子さん 】

◎ 今回のコンサートは…‥
歌劇のアリア、シャンソンなどの愛をめぐる名曲やテレビドラマのオープニング曲などの7曲でした。

1曲目は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791年)が1786年に作曲した歌劇『フィガロの結婚』第二幕からアリア「恋はどんなものかしら」をオーボエ、ピアノ、フルートにより編曲した演奏でした。
この『フィガロの結婚』は、フランスの劇作家カロン・ド・ボーマルシェが1784年に書いた戯曲をモーツァルトが30歳の時に作曲したオペラです。「恋はどんなものかしら」は、第二幕で、ケルビーノ(伯爵の小姓)が恋する伯爵夫人に歌う歌です。
三人のアンサンブルは、恋への憧れや情熱を美しく演奏しました。
 

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演奏後、坂内紘子さんからメンバー三人の自己紹介がありました。
「私たちは、中山恵さんが岡山県出身、遠藤佳奈子さんが千葉県出身、そして、私が愛知県の出身です。昨年、中山さんと遠藤さんが愛知県に引っ越しされ、桐朋学園大学の学友による演奏の場を探していました。愛知芸術文化センターが開催するフレッシュコンサートを知り、出演を募集しましたところ、今日、演奏の機会を得ることができました。また、遠藤さんは、来月、出産を控えています。<会場の皆さんから大きな拍手> 出産前の最後の演奏となります。気持ちを込めてやらせていただきます。」とお話がありました。

2曲目は、トンマーゾ・ジョルダーニ(1730 -1806年)が作曲した「カロ・ミオ・ベン」をオーボエとピアノの演奏でした。
トンマーゾ・ジョルダーニは、イタリアのナポリの生まれで、イギリスのロンドンに居住して声楽曲や器楽曲などを多く作曲しました。「カロ・ミオ・ベン」とは、イタリア語で、『いとしい女よ』という意味で、愛する女性に対して自分のことを思ってくれるよう願う歌です。声楽を志す多くの人たちが歌う有名な曲です。高等学校の音楽教科書にも収録されています。
なお、この曲は、以前はジュゼッペ・ジョルダーノ(1751 -1798年)作曲とされていましたが、最近の研究では誤りとされています。  
オーボエとピアノから弾かれる優しいメロディーとゆったりとした続く響きに聴衆の皆さんは、おっとりとした気持ちで聴いていました。
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3曲目は、カッチーニの「アヴェ・マリア」と言われる曲を三人で演奏しました。
この曲は、旧ソ連の作曲家ウラディーミル・ヴァヴィロフ(1925-1973年)が1970年頃に作曲した歌曲ですが、ジュリオ・カッチーニ(1545年頃-1615年)作曲として広まったとされています。
哀愁に満ちた美しいメロディーとオーボエとピアノとフルートが絡み合いながら歌い上げ、心に染み入るような感動を覚えました。

演奏後、坂内さんから、「遠藤さんは、ここで少し休息していただきます。」とのお話の後に、「オーボエは、『オーボー(英語読み)』、『オーボワ(仏語読み)』とも言われます。私のオ?ボエの管は、木材からできています。何の木からできているか分かりますか…。材質は、『黒檀』という木からできています。オーボエは、温度の変化に敏感であることから気温が低いと管の内径(ボア)に水滴が付きやすくなります。これからオーボエのお手入れ(掃除)、のマジックショーをお見せします。この布(スワブ)を管に挿入してボアの水滴を拭き取ります。吹く息が温かく、その水蒸気が管にたまりますと音が出難くなるため、掃除をしました。」とお話しながらお手入れされていました。


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続いて、「とても有名な『シャンソン』を2曲演奏します。」の紹介があり、2曲ともオーボエとピアノの演奏でした。
4曲目は、テノール歌手のアントワール・ルナールが1866年に作曲した「さくらんぼの実る頃」です。
この曲の作詞は、ジャン=バティスト・クレマンです。サクランボの実る頃の儚い恋と失恋の悲しみを歌ったシャンソンを代表する歌の一つです。日本では、スタジオジブリの宮崎駿監督によるアニメーション映画『紅の豚(くれないのぶた)』(1992年製作)の挿入歌に用いられました。

5曲目は、マルグリッド・モノー(1903-1961年)が1950年に作曲した「愛の賛歌」です。
この曲の作詞は、シャンソン歌手のエディット・ピアフ(1915-1963年)です。世界中に親しまられているシャンソンを代表する曲です。日本では、岩谷時子(1915-2013年)の訳詞により越路吹雪(1924-1980年)が歌ったものが特に知られています。
マイクを遠藤さんに替わり、「この愛の賛歌は、ソチ冬季オリンピックにおいて、フィギュアスケートの鈴木明子(1985年- )選手がショートプログラム(SP)のプログラム曲に使用しました。」と紹介しました。
お客様は、オーボエの奏でる甘美な愛のメロディーに、愛する人の思いを心に抱いたことでしょう。

プログラム最後の曲は、NHK連続テレビ小説『あすか』(1999年10月-2000年3月放送)のオープニング曲「風笛(かざぶえ)」でした。

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この曲は、大島ミチル(1961年- )が作曲し、宮本文昭(1949年- )がオーボエを奏でました。
大島ミチルは、交響曲「御誦(おらしょ)」、映画音楽(「眉山」、「失楽園」、「陽はまた昇る」など)、テレビドラマ、アニメ、舞台の劇伴作曲や博覧会音楽、校歌などを作曲しています。
3人が奏でる伸びやかで切なさを含んだメロディーは、心温まるような懐かしさを覚え、癒されるような気になりました。

来場の皆さんからの温かい拍手にお応え、坂内さんから「アンコールは、シャンソンの『あなたがほしい』。ご存知の曲と思いますが、楽しく演奏します。お聴きください。」とお話がありました。
この曲は、エリック・サティ(1866-1925年)が1900年に作曲したシャンソンです。
「スローワルツの女王」と呼ばれた人気シャンソン歌手ボーレット・ダルディのために書かれたものですが、現在では、ピアノソロでよく演奏されます。
フランスのエスプリを感じさせるような洗練された演奏で、さわやかな感動とともにコンサートを終えました。本当にありがとうございました。


来場の皆さんからは…‥
◎ 今回が初めての方々から
・『とても、素晴らしかったです。中学校で吹奏楽部だった時を思い出しました。本当に綺麗でした。また、いつか聴きたいです。』《19歳以下、女性》
・『オーボエ、ピアノ、フルートの音色はとても素晴らしいです。やさしい音色と情景が浮かんできました。「さくらんぼの実る頃」が映画「紅の豚」のテーマ曲なんてびっくりしました。遠藤さん、元気な赤ちゃんを、安産でネ。』《60歳台、女性》
・『オーボエの清掃タイム、非常に感動しました。本日の演奏が胎教に一段と良い結果の生ずるものと確信します。』《70歳台、男性》

◎ いつも来られる方々から
・『無料では勿体無いぐらい。大変質の高い音楽が聴けて幸せです。』《70歳以上、男性》 
・『フィガロの結婚の「恋とはどんなものかしら」はあまりにも親しまられている曲で美しい旋律はいつ聴いても心地よい曲です。オーボエの美しさがよく出て素晴らしい演奏でした。「カロ・ミオ・ベン」はオーボエとピアノがよく融合したバランスのとれた静かさの奥行きのある演奏でした。』《70歳以上、男性》 
・『オーボエの音色を聴き、心休まる時間でした。フルートと相まって楽しく聴かせていただきました。』《60歳以上、男性》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。


≪ 3人からのメッセージ ≫
坂内紘子さん、遠藤佳奈子さん、中山恵さん
この度は、第92回フレッシュコンサートにお越しいただきありがとうございました。
立ち見の方々もいらっしゃるほど多くのお客様の前で演奏させていただき、
メンバー一同とても幸せなひとときでした。
出産を直前に控えたフルートの遠藤さんには、コンサート中はもちろん、
アンケートや終演後にも温かな拍手や励みになるお言葉を
いただきありがとうございました。
オーボエの音色も楽しんでいただけてよかったです。
また、どこかで皆様にお会い出来ることを楽しみに、
今後も演奏活動を続けていきたいと思います。

さて、次回の第93回は、愛知芸術文化センターフレッシュコンサートの「ファイナルステージ」となります。
平成26年3月18日水曜日のお昼(午後0時15分?0時45分)にフォーラム?(2階)で開催を予定しています。
『母から子へ 伝えたい名曲』と題して、ソプラノ木崎美和さんとメゾソプラノ後藤志歩さんの歌声に、石川彩子さんのピアノで、モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』から「恋はどんなものかしら」、ブラームスの「子守唄」などの子に伝えたい名曲を楽しんでいただきます。
↓詳細はこちらをご覧ください。↓
http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/fresh/index.html
 (M.K&A.M)