2013年02月12345678910111213141516171819202122232425262728

「追悼 サヴァリッシュ」 上映及びミニ展示開催中

2013年02月25日

 ドイツの名指揮者ウォルフガング・サヴァリッシュ氏が、2月22日、亡くなられました。
サヴァリッシュ氏は、NHK交響楽団の指揮者として長年日本でも活躍したため、日本には馴染が深く、多くのファンがいます。


 サヴァリッシュ氏と愛知県との関わりは、愛知県芸術劇場の杮落としとして、バイエルン国立歌劇場とともに「影のない女」(R.シュトラウス)を3代目市川猿之助演出により上演し、歴史的な出来事となりました。【1992年11月8日、11日】
サヴァリッシュ1.jpg
公演のプログラム(展示品)


 サヴァリッシュ氏は、この作品には特別な力を入れていました。彼は20年以上にわたって続けてきたバイエルン国立歌劇場総監督をこの来日公演の後に退くこととなっていました。その最後の公演の一つとして「影のない女」を取り上げ、演出には市川猿之助氏にお願いしたいと強く希望されたのです。また、建設中の愛知県芸術劇場にも2回も足を運ばれ、新しい劇場にも大きな関心を持っておられました。

 
 このときの公演記録がDVDとして発売されています(アートライブラリーで視聴できます)。そのDVDのライナーノートに寄せて、サヴァリッシュ氏はこのように述べています。
 

「1992年秋のことを思い起こすと、筆舌に尽くしがたい美しい記憶が蘇ってきます。あの時、名古屋では、新しく建てられたオペラ・ハウスの落成がR.シュトラウスの傑作《影のない女》によって祝われ、そして、同時にコンサートホールの杮落としも行われたのでした。・・・」

 

サヴァリッシュ2.jpg
当時の新聞記事スクラップのパネル


 サヴァリッシュ氏にとっては、この時の体験は忘れられないものとなったのでしょう。その後、1996年(フィラデルフィア管弦楽団)と2001年(NHK交響楽団)の2回、愛知県芸術劇場で公演を行っています(愛知県文化振興事業団主催)。1996年の来日公演では、サヴァリッシュが当時の飯島総長に直々に話をし、愛知での公演を実現させたとのことです。この時は、コンサートホールが既に埋まっていたため、オペラの公演が入っている大ホールの利用のない日で実施することとなり、当時の事業団のスタッフは相当の苦労をされたとお聞きしています。


 サヴァリッシュ氏の演奏は、録音で聴くとやや優等生的な感じを受けるのですが、生の演奏は感興豊かでとても素晴らしいものです。音楽そのものの素晴らしさがダイレクトに伝わってきます。マエストロの至芸ですね。ご冥福をお祈りします。

サヴァリッシュ3.jpg
展示風景

 なお、アートプラザでは、2月26日(火)から28日(木)までの3日間、サヴァリッシュのドキュメンタリーを上映するとともにミニ展示を行っています。また、アートライブラリーでは、録音・録画資料や関連書籍もあります。

(A.M)