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「ウィーン・ガラ・コンサート」が華やかに開催されました

2013年02月24日
[ 音楽 ]

 「クリムト展」も終盤に近づいた1月27日(日)の午後、「ウィーン・ガラ・コンサート」が10階愛知県美術館前のフォーラムで開催されました。クリムトがウィーンで活躍したことから「音楽の都ウィーン」をテーマに、ベートーヴェンから映画「第3の男」まで、ウィーンで活躍した作曲家たちの珠玉の名曲を1時間にわたり紹介しました。

 今回は、初めての試みとして、11階の展望回廊への階段の踊り場に電子ピアノを置き、ステージとし、また、電子ピアノにJBLの高級スピーカーをつなげました。
 10階のフォーラムは、天井がそれほど高くないため、ヴァイオリンやオーボエの音色がよく響き、素晴らしい音響効果となりました。庭園がガラス越しに見える素敵な会場は超満員で、立見の方も含め約300人の方に楽しんでいただきました。

 司会は、音楽学者の中村ゆかりさん、演奏は、ピアノの金澤みなつさん、ヴァイオリンの波馬朝加さん、オーボエの柴田祐太さんの3人で、全員、愛知県立芸術大学音楽学部を卒業しています。金澤さんと波馬さんは同大学の大学院博士前期課程を修了し、さらに金澤さんは同後期課程に在学中です。柴田さんは東京芸大大学院の修士課程に在学中で、それぞれ優れた演奏家としても活躍しています。
ウィーンガラ1.jpg司会の中村ゆかりさん


 さて、コンサートは、ベートーヴェン(1770-1827)の「月光ソナタ」が金澤さんのピアノソロで静かに始まりました。会場のざわめきも静まり、美しい音楽の世界に誘われました。続いて、波馬さんの艶やかなヴァイオリンの音色とともにヴァイオリンソナタ「春」が奏でられました。新春にふさわしい清々しい薫りが会場に漂いました。

 シューベルト(1797-1828)の「アヴェ・マリア」は、1回目がオーボエとピアノの二重奏で、2回目はオーボエをイングリッシュホルンに持ち替え、演奏されました。オーボエの演奏はとても大変だそうで、「世界で一番難しい木管楽器」とも言われています。柴田さんの哀愁がこもったオーボエは、心の奥深くに染み入るようでした。

 ブラームス(1833-1897)の作品では、ピアノソロによる「ワルツ第15番」に続き、ピアノ、ヴァイオリン、オーボエによる「ハンガリー舞曲第5番」を演奏しました。ピアノとヴァイオリン、オーボエの編成は大変珍しいものですが、金澤さんの見事な編曲で、3人のアンサンブルは呼吸がぴったり。楽しみながらの演奏で、喜びが伝わってきます。
ウィーンガラ2.jpg
左から金澤さん(Pf)、波馬さん(Vn)、柴田さん(Ob)


 クライスラー(1875-1962)はヴァイオリニストとしても有名ですが、ウィーン情緒あふれる小品も多く書いています。「愛の喜び」はオーボエとピアノ(編曲)、「愛の悲しみ」はヴァイオリンとピアノという編成です。愛する者の心の動きをとても繊細に表現していました。

 次のJ.シュトラウス2世(1825-1899)の「アンネン・ポルカ」「トリッチ・トラッチ・ポルカ」はウィーンのニュー・イヤー・コンサートでもお馴染みです。3人の楽しそうな演奏に、思わず踊りたくなってしまいます。
極め付けは、レハール(1870-1948)のオペレッタ「メリー・ウィドゥ」から「唇は語らずとも」(「メリー・ウィドゥ・ワルツ」としても有名)です。波馬さんの美しいヴァイオリンの音色に導かれ、オーボエを吹きながら階段を下りてくる柴田さんの姿はとても素敵で、二人でワルツを踊りだすかのようにロマンティックな雰囲気でした。オペレッタの舞台では、2人は流れてくるワルツの調べに抗しきれずに踊りだすそうです。

 映画「第3の男」は、ハリー・ライム役のオーソン・ウェルズでも知られていますが、音楽を担当したのはティター奏者のアントン・カラス(1906-1985)です。少しおどけたような音楽が、オーボエとヴァイオリンの2重奏で奏でられました。編曲もとてもおしゃれです。

 アンコールはマーラー(1879-1964)の交響曲第5番から第4楽章の「アダージェット」(ジンガー編)をピアノソロで金澤さんがとても美しく演奏しました。この曲は映画「ベニスに死す」で有名になった、大変、甘美的な音楽です。マーラーとクリムトは親交があり、マーラーの夫人のアルマは、クリムトとも親密な関係にあったと言われています。また、「ベートーヴェン・フリーズ」の黄金の騎士は、マーラーがモデルとも言われています。
ウィーンガラ3.jpg
 「アダージェット」を演奏する金澤さん
 

 曲の間には、中村さんが作曲家や曲の解説を演奏者へのインタビューを交えて楽しくお話しいただき、ウィーンとクリムトに思いを寄せながら、華やかなコンサートは終了しました。

ウィーンガラ4.jpg終演後の記念撮影

(A.M)