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「第18回アートフィルム・フェスティバル」を開催します!

2013年11月27日
[ 映像 ]

 11月30日(土)から12月15日(日)まで、愛知芸術文化センター12階アートスペースAにて、「第18回アートフィルム・フェスティバル」を開催します(月曜休館)。「AFF」の略称でも呼ばれるこの上映会は、映像表現の先端的な動向を、実験映画、ビデオ・アート、ドキュメンタリー、劇映画など、既存のジャンル区分にとらわれない横断的な視点からセレクトして、プログラムを構成しています。例年、11月から12月にかけての、この時期に開催しているので、一種、冬の風物詩として定着してきた感もあり、当センター近辺の画廊や書店といったスポットに、チラシ積み置きのお願いに伺うと、「もう、こんな季節になったのですね。」といった言葉をいただいたりしています。


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 「第18回アートフィルム・フェスティバル」ポスター

今年は、主に4つのプログラムから上映会を構成しています。まず、特集1は、《『ラ・アルヘンチーナ頌』初演(カラー版)初上映&「大野一雄ビデオ・ライブラリー」セレクション》です。「大野一雄ビデオ・ライブラリー」は、大野一雄舞踏研究所が、舞踏研究の資料が広く一般に活用されることを目的に、公演記録や映画、ドキュメンタリー、テレビ番組などから精選したものを公開するプロジェクトで、当センターでは1999年より、上映やビデオ・ライブラリーでの閲覧を行っています。大野一雄の代表作である『ラ・アルヘンチーナ頌』初演の記録は、本ライブラリーの中でも重要な一本といえますが、当センターに収蔵されていたのはモノクロの映像でした。今回、新たにカラー版の映像を収蔵することになったのを受けて、大野一雄の主要な作品や映像記録と併せてプログラミングしています。

 特集2《ビデオ・アート生誕50年:その過去と現在》は、今年が、ナム・ジュン・パイクとヴォルフ・フォステルがTV映像を磁石で歪める実験を行ってから、50年の節目に当たることから、当センターが所蔵するビデオ・アート作品より、初期の傑作『グローバル・グルーブ』(1973年、ナム・ジュン・パイク、ジョン・J・ゴットフリー)や、ビデオが現代アートの領域で注目される切っ掛けとなった国際展「ドクメンタ6」の模様を記録した、「ドクメンタ6・サテライト・テレキャスト」(1973年、ナム・ジュン・パイク、ヨゼフ・ボイス、ダグラス・デービス)、ビル・ヴィオラの初期作品『インフォメーション』(1973年)などを上映します。また、現在、ビデオというメディアに精力的なアプローチを行っている、河合政之や瀧健太郎らが参加した「JAPANESE VIDEO ART 2011」を、併せて上映します。

特集3《濱口竜介+酒井耕、東北を記録する》は、「あいちトリエンナーレ2013」映像プログラムで話題となった、『なみのおと』(2011年)に引き続き撮られた、『なみのこえ 気仙沼』『なみのこえ 新地町』『うたうひと』(いずれも、2013年)の三本を一挙上映します。また、特集4《愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品第22弾 舩橋淳『放射能』プレミエ上映》は、“身体”を統一テーマに設定し、当センターが映像作品の制作を行うシリーズの、最新作を初公開するものです。監督の舩橋淳は、東日本大震災とそれに伴う原発事故で、全町民避難を余儀なくされた福島県双葉町の住民を追ったドキュメンタリー『フタバから遠く離れて』(2012年)で、現在、注目を集めています。『放射能』(2013年)は、人間の目に見えない放射能と、その身体への影響という観点から撮られた作品です。特集3と4は、「揺れる大地」をテーマに据えた「あいちトリエンナーレ2013」とも関連の深いプログラムで、今年の特色の一つといえるでしょう。


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舩橋淳『放射能』(2013年、愛知芸術文化センターオリジナル映像作品第22弾) 

最後に、上映作品変更のお知らせです。11月30日(土)19:50上映の、ピエール・カスト『ル・コルビュジエ、幸福の建築家』(1957年)は、ピエール・シュナル『今日の建築』(1930年、11分)に変更になりました。ル・コルビュジエ財団提供による、サイレント映画時代末期の、建築をテーマとしたドキュメンタリーです。貴重な上映機会となりますので、ぜひご来場ください。皆様のお越しをお待ちしております。(T.E)