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第86回  フレッシュコンサートを開催しました ♯♪♭

2013年10月02日

「第86回 フレッシュコンサート」を8月28日(水)にフォーラムI(2階)で開催しました。

『ソプラノとピアノによる音楽の花束』と題して、ソプラノの神田知里(かんだ ちさと)さんの歌唱と佐藤(さとう)なつみさんのピアノ独奏を190名以上の方にお楽しみいただきました。
 

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【左から、佐藤なつみさん、神田知里さん、】

◎ 今回の演奏会は…‥
日本の唱歌、オペラのアリアとモーツァルト、ショパンのピアノ独奏の6曲でした。

神田さんから、二人の自己紹介とソプラノ独唱とピアノの独奏を最後までお過ごしくださいとのお話から始まりました。

第1曲目は、「この道(北原白秋作詞(1885-1942年)、山田耕筰作曲(1886-1965年))を佐藤さんのピアノ伴奏により、神田さんが歌いました。
この曲は、日本の歌百選にも選ばれた日本歌曲の名曲です、北原白秋が、北海道、札幌の広々とした町に咲くアカシヤの花、白い時計台や福岡県の母の実家(南関町)から柳川までの道の情景を歌った詞です。神田さんの優しい歌声は、一人ひとりの心に母の手に引かれて歩いた懐かしき思い出を起こさせたことでしょう。
 

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続いて、佐藤さんからトルコ行進曲のエピソード「ウィーンへ攻めてきたトルコ軍を打ち破り、トルコ国旗(赤地に白地の三日月と星)の三日月になぞらえたクロワッサンをパン屋さんが焼き上げた。」という伝承のお話の後に、2曲目の、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791年)作曲のピアノソナタ第11番イ長調 K.331 第3楽章「トルコ行進曲」を演奏しました。
当時、ウィーンでは、トルコと呼ばれる「オスマン帝国」の音楽隊の音楽に影響を受け、多くの作曲家がトルコ風の音楽を作曲しています。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンも劇付随音楽『アテネの廃墟』の中で「トルコ行進曲」を作曲しています。
リズミカルで華やかな演奏を観客の皆さんは、楽しみながら聴いていました。


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3曲目は、神田さんが「飛騨高原の早春<はる>(岩間純 (1956-1992年)作詞、小林秀雄(1931年- )作曲」を歌いました。
神田さんは、長野県の車山高原を訪れた際に、この草原に咲く草花、そのお花畑の美しさに惹かれたこと、伊吹山、駒ヶ根の千畳敷などの山登りもされ、山の草花、高山植物を見るたびに心が洗われる中で、「春の喜び、すがすがしさを感じさせるこの曲を知った。」とのお話がありました。
観客の皆さんは、神田さんの歌声に明るい空の下で、一斉に花が開き、小鳥の歌がみどりに映える「春の高原の情景」を思い浮かべていたのではないでしょうか。

4曲目と5曲目は、佐藤さんのピアノ独奏で、フレデリック・ショパン(1810-1849年)作曲の「ノクターン第2番変ホ長調 Op.9-2」と「ワルツ第5番変イ長調 Op.42『大円舞曲』」の2曲を演奏しました。
「ショパンは、ノクターン(夜想曲)を全部で21曲作曲。その中で最もよく耳にする機会の多い『ノクターン第2番』は、ショパンが友達の結婚式のために作曲したもの。また、ワルツ第5番『大円舞曲』は一番好きな曲であり、また、いつまでたっても理想の形に近づけないという個人的に難しい曲。トリル(※1)で始まるワルツは、アルペッジョ(※2)をかけまわったり、濃厚なメロディーを歌ったり、曲想が次々移り変わる気まぐれな雰囲気がうまく表われている。」との紹介がありました。
 

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佐藤さんは、「ピアノの詩人」ともいわれるショパンの繊細で美しく華麗な音楽を見事に表現し、観客の皆さんはうっとりと聴きほれていました。
※1 トリル(trill:英)とは、鳥のさえずりのように主音符と2度上の音とを交互に素早く反復する装飾音の一つ。
※2 アルペッジョ(arpeggio:伊)とは、和音を構成する音を一音ずつ低いものから、また高いものから順番に弾く分散和音の演奏技法の一つ。

プログラム終わりの6曲目は、神田さんが、ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901年)作曲の歌劇『La Traviata(椿姫)』よりヴィオレッタのアリア「Ah, fors'e lui che l'anima (あぁ、そは彼の人か 花から花へ)」を歌いました。
神田さんから、「2013年はヴェルディが誕生してから200年に当たる年、この記念の年にと歌劇『椿姫』を選曲しました。ヴェルディは、『歌劇の王』とも言われ、オペラを26曲も作曲しています。椿姫のヴィオレッタのアリアは、高級娼婦であるヴィオレッタが青年貴族のアルフレードから愛の告白を受けたときには相手にしなかったが、再びアルフレードに純粋な愛を告げられ、ヴィオレッタが椿の花を渡し、『それが枯れるころまた会いましょう。』と別れた。その後、ヴィオレッタはアルフレードに対する愛を打ち消したいと思うときの歌である。」との紹介がありました。


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神田さんのソプラノの歌声は、12階まで吹き抜けるフォーラム?に快く響きわたり、観客の皆さんは、オペラ「椿姫」の舞台が目の前で繰り広げられているかのように楽しまれました。盛大な拍手が送られる中で、コンサートを終了しました。

「音楽の花束」と題されるようにクラシック音楽の名曲が次々と演奏され、聴いている皆さんも昔の思い出、風景や愛の音楽に心が癒されるように感じられたでしょう。


来場の皆さんからは…‥
◎ 今回が初めての方々から
・『トリエンナーレを見た後に、幸運にもコンサートを聴けました。素晴らしい歌声に癒され、ピアノも大変素晴らしかった。こんな場所でコンサートが開かれていると知りませんでした。』《60歳台、女性》
・『ピアノが素晴らしく、良かった。』《30歳台、不詳》

◎ いつも来られる方々から
・『神田さんのソプラノは素晴らしかった。声量もたっぷり、情感もよく表現され、うっとりとさせられた。佐藤さんのピアノも愉しく聴かせていただいた。』《60歳台、男性》 
・『大変素晴らしいコンサートでした。音楽と生活が結びつき、とても心が豊かになりました。こうにいう機会に恵まれないので、大変素敵な時間を過ごさせていただきました。』
《50歳台、女性》
・『彩り豊かな名曲。透き通る歌声。午後のひと時、ありがとう。』《70歳以上、女性》

など、様々な感想をいただきました。ありがとうございました。


≪ 出演者からのメッセージ ≫
神田知里さん
フレッシュコンサートは、2度目の出演でした。
再び、愛知芸術文化センターで歌わせていただけたこと、そして、
あいちトリエンナーレという素晴らしい時期に歌わせていただけたこと、
とても嬉しかったです。
このコンサートを通して、多くの方々に出会い励まされ、
たくさんの貴重な経験をすることができました。
これからも歌える喜び、聴いていただける喜びに感謝しながら、
日々精進してまいりたいと思います。ありがとうございました!

 

佐藤なつみさん
トリエンナーレという芸術のイベントで盛り上がる愛知芸術文化センターで
演奏できたこと、とても幸せでした。
幸いたくさんの方が足を止めてくださり、私の思い入れのある曲や、
大好きな知里さんの歌声をお届けできたこと嬉しく思っています。
このファン多きフレッシュコンサートに出演でき、
これからも名古屋で音楽を頑張りたいと思わせてくださったお客様、
フォローしてくださった職員の方々には、感謝感謝です。


さて、次回は、第88回フレッシュコンサートを、平成25年10月23日水曜日のお昼(午後0時15分?0時45分)にフォーラムI(2階)で開催を予定しています。
『鍵ハモ de 音楽会』と題して、Flying Doctor(フライングドクター)の宇野伊世さん、岩田祐衣子さん、森千紗さん、石田千尋さんのカルテットによる「鍵盤ハーモニカ、ヴァイオリン、ピアノ、カホンetcの楽器によるハーモニー重奏」を楽しんでいただきます。
 (M.K&A.M)