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「クリスマス&第九ビデオ上映会」開催中

2012年12月20日

 いよいよクリスマスですね。ただいまアートプラザでは、クリスマスにちなんだ作品を上映しています。
「クリスマス」は、サンタクロースが子どもたちにプレゼントし、恋人が愛を語らい、家族が集まり団欒するなど、1年で最も楽しい日ですが、本来は「キリストのミサ」という意味で、キリストの降誕を祝うものです。

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「羊飼いにキリストの誕生を告げる天使たち」(Govert Flinck 1639)

 今回の上映会では、「クリスマスキャロル」をメインに取り上げました。「クリスマスキャロル」とは、キリストの誕生を祝い、誕生にまつわる様々な場面や逸話を歌詞にした歌をいいます。「きよしこの夜」「あらのの果てに」「もろびとこぞりて」などの歌は、誰でも知っていますね。これらの素朴な歌をパバロッティやカレーラス、プライなどの大歌手が歌っているのはとてもゴージャスな体験です。
 また、イギリスのキングス・カレッジやライプチッヒの聖トーマス教会(J.S.バッハが音楽監督を勤めた)の少年聖歌隊が礼拝堂で賛美する映像もあり、その透き通るような少年の声は、まさに天使の歌声のようで、心が清らかにされる思いがします。
クリスマス2.JPG photo: Ardfern
キングス・カレッジ・チャペル(ケンブリッジ)

 

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聖トーマス教会のバッハウインドウ

 クリスマスのオペラといえば「ヘンゼルとグレーテル」(フンパーディング作曲)、バレエといえば「くるみ割り人形」(チャイコフスキー作曲)が定番ですね。子どもたちも一緒に見て楽しむことができます。
 なお、オペラ「ラ・ボエーム」(プッチーニ作曲)は、前半がパリのクリスマス・イブの設定なので、選びました。特に第2幕は、ゼッフィレッリ演出によるゴージャスなパリのクリスマスの雰囲気が味わえます。
 一方、オラトリオ(宗教的音楽劇)では、「クリスマスオラトリオ」(J.S.バッハ作曲)と「メサイア」(ヘンデル作曲)が定番です。前者は、クリスマスの喜びに満ちあふれた作品で、当時のルター派教会での礼拝用の作品です。後者は、「ハレルヤコーラス」で有名で、キリストの生涯を音楽でたたえます。

 クリスマス4.JPG photo: Benutzer:Flyout
くるみ割り人形

 

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ヘンゼルとグレーテル(アーサー・ラッカムによる挿絵1908年)

 さらに今回は、ベートーベンの「第九」(交響曲第9番「合唱つき」)も特集しています。トスカニーニ、クレンペラー、カラヤン、バーンスタインなど9人の大指揮者による異なった演奏を楽しむことができます。「第九」は、人類の音楽の最高傑作の一つです。第4楽章の合唱の歌詞には、シラーの『歓喜に寄す』が用いられ、その主題は『歓喜の歌』としても親しまれています。欧州連合では、ヨーロッパの統一性を象徴する「欧州の歌」として歌われています。
 日本では、毎年年末になると「第九」があちこちで演奏・歌唱され、風物詩のようになっていますが、欧米では、「第九」は、劇場のこけら落としや国際的なイベントなど、特別の行事の時に演奏されます。近年では、ベルリンの壁崩壊を祝うイベントでバーンスタインが東西のオーケストラの団員を集めて演奏し、世界中に感動を与えました。その映像とドキュメンタリーが今回上映されますのでぜひご覧ください。バーンスタインの「自由への思い」が伝わってくる熱演です。
クリスマス6.JPG photo: Allan warren
レナード・バーンスタイン(1918-1990)

 なお、「第九」の自筆譜のファクシミリと、ベートーベンの傑作の一つで同時期に書かれた「ミサ・ソレムニス」の自筆譜のファクシミリを愛知県立芸術大学芸術資料館から借用し、展示しています。ベートーベンの大胆で荒々しい筆致が味わえます。
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(A.M)