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「氷上の音楽―フィギュア・スケートのプログラム曲―」開催中です。

2014年01月30日

 冬季オリンピックが2月7日にロシアのソチで開幕します。オリンピックの種目の中で特に注目度が高いのがフィギュア・スケートです。観る競技としてとても華やかで、音楽に乗って演技をするので、リズミカルな動きと鍛錬された技が織り込まれ、観衆を魅了します。

 日本は、シングルでは男女とも3人ずつ代表を送り、団体戦の出場資格もあります。さらに、女子の3選手はいずれも地元愛知出身で現在の練習拠点も県内にあります。

 アートライブラリーでは、音楽に関する資料を多く所蔵しています。地元ゆかりの選手が関係する競技で使われる楽曲を紹介することで、オリンピックを盛り上げるとともに、この機会に是非、アートライブラリーの豊富な録音資料を知っていただければと思っています。

 浅田選手が今回のショートプログラムに使用する「ショパン:ノクターン 第2番変ホ長調」は、7シーズン前の16歳の少女のときに使った曲です。今度は同じ曲で、23歳の大人になって表現力に磨きのかかった演技を見せたいと言っていたのを何かの記事で見ました。今シーズンをスケート人生の集大成と位置付けている彼女のソチでのスケーティングに注目したいものです。なお、この楽曲は地元愛知の生んだ天才ピアノ少年牛田智大君の録音もありますので、他のピアニストの演奏と聴き比べるのもよいでしょう。

 figure2014-1.jpg  (C)David W. Carmichae


 先日、NHKで浅田選手がニューヨークまで行って、元コーチで振付担当のタラソワさんとフリースケーティングに使う曲について相談をして、「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調」に決めたときの模様が放映されました。代表クラスになると、技の構成だけでなく、曲の選択にもいろんなエキスパートの助言を得ているのです。このシーンが示すように、フィギュア・スケートにおいて選曲がいかに大事であるかがうかがえます。

 

 鈴木選手がフリーで使用する「オペラ座の怪人」は音楽の旋律ではなく、物語に強い関心があります。ファントム(怪人)役の長久保コーチの導きで、代表選考の全日本選手権の大舞台で、プリマドンナに成長したクリスティーヌ役を見事に演じきった鈴木選手の姿に感動をおぼえました。「オペラ座の怪人」のストーリー性が、試合のリンクの内外の状況と重なって見えたのは筆者だけではなかったと思います。この作品は、録音資料だけでなく映像資料も所蔵しています。

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(C)David W. Carmichae

 

 村上選手のようにシーズンの途中で使う曲を変更するケースもあります。今シーズンの前半、あまり調子が上がらなかったので、代表選考のかかった全日本選手権の直前にショートプログラムの曲を「川井郁子:ヴァイオリン・ミューズ」に変えました。それがどの程度影響したかわかりませんが、2位となり見事初代表の座をつかみました。

  figure2014-2.jpg  (C)Luu

 

 曲にまつわるエピソードをいくつか紹介しましたが、今回の展示のラインナップは、名曲が多いので音楽として聞いても楽しめます。しかし、どうせならスケーターの華麗な演技を想像しながら聴いて欲しいものです。アートライブラリーでプログラム曲を聴いて、本番のオリンピックで日本選手を応援しましょう。

 なお、アートライブラリーは、注目の女子フィギュアが行われる時期に年に一度の特別整理休館に入ります。休館明けの3月7日(金)には展示内容のパワーアップを予定しており、特に日本人選手が金メダルを獲得したときは、金メダルデコレーションを計画しています。
 

 また、今シーズンは、3月後半に世界選手権が7年ぶりに日本で開催されます。それまで本展示は続けますので、オリンピック後も是非ご覧ください。

 なお、本展示は中日新聞の記事で紹介されました。

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転載許諾番号 20140131-13836

 

(H.K)