1月のおすすめ新着第2弾です。今回は本とCDをご紹介します。まずは、現代音楽の作曲家レイモンド・マリー・シェーファーの著書をご紹介。
『サウンドエデュケーション』新版
R・マリー・シェーファー著 春秋社 2009年出版
(請求記号 760.7/Sc1s 資料番号 9110480230)
この世の中に存在するあらゆる音について、様々な課題を通じて考えるきっかけを作ってくれるのがこの本です。
私たちの聴覚は意外と多くの音を聞き漏らしたり、聞き流したまま忘れてしまったりしています。
たとえば紙を丸めてボールを作り壁に向かって投げたとき、どんな音がするでしょうか。
ボールが壁に当たった瞬間の音を思い浮かべた方が多いのでは?
しかしシェーファーは
(1)腕を上げる音
(2)ボールが手から離れる音
(3)ボールが空中で風を切る音
(4)ボールが壁に当たる音
(5)ボールが床に落ちてはずむ音
という一連の響きが存在していることを教えてくれます。
(とは言え実際に試してみたところ、球速が足りないためか(3)は聞こえませんでしたが・・・)
このような100の課題に取り組むことで音楽を聴いていないときでも、私たちのまわりには常に複雑な音の世界が広がっているのだと気づかされます。
ちなみにこちらは改訂版となっており、改訂前の版も当館で所蔵していますので併せてご利用ください。
(ライブラリースタッフA.K)
次はマルタ・アルゲリッチのCDです。
『マルタ・アルゲリッチ&フレンズ ライヴ・フロム・ザ・ルガノ・フェスティヴァル 2008』
マルタ・アルゲリッチ ピアノ,スティーヴン・コヴァセヴィチ〔ほか〕演奏
イーエムアイ クラシックス 2009年発売
(請求記号 C1*//ア3 資料番号9310195151 )
今回初めて新着CDの紹介文を書くことになり、正直焦りました。元々クラシック音楽に精通している訳でもない私にとって、今月の新着CDのハードルはあまりにも高かった。この中で私が多少なりとも知っていたのは、ピアニストのアルゲリッチだけだったのです。
しかも私の記憶の中のアルゲリッチは、過去のCDジャケットや雑誌なので見かけた若かりし頃のもの…。
今回紹介文を書くためジャケットを拝見した所、そこには白髪のご婦人に変貌していたアルゲリッチの姿がありました。彼女は1941年生まれなので、今年でもう68歳になるんですね。そんなお歳とは知りませんでした。最近では第一線の活動から退き、後進の指導に力を注いでいるようです。
前置きが長くなりましたが、今回で7回目を数える「ルガノ・フェスティヴァル2008」の目玉は、アルゲリッチによるヤナーチェク、ピアソラ、プレトニョフの3人の作曲家作品を演奏したことだそうです。
その中でも私のオススメはピアソラの「3つのタンゴ」。奏者の1人であるエドゥアルド・ウベルトが2台のピアノ用にアレンジしたものですが、力強さと繊細さがミックスされた絶妙な演奏がとにかくカッコいいんです。
もう1曲オススメしたいのはモーツアルト。3人目の旦那さんだったスティーブン・コヴァセヴィチとの連弾なんですが、聴いているだけでは連弾とは全く分からないほどのシンクロ感があります。さすがは元夫婦ですね。
この他、当館には2002年から2005年に開催された「ルガノ・フェスティヴァル」の模様を収録したCDも所蔵しています。是非聴き比べてみてください。
(ライブラリースタッフT.I)
CDは館内でご利用いただけますので、ぜひ聞きにいらしてください。
(ライブラリースタッフT.K)