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ダンスと音楽の親密な関係・・・

2008年12月24日

名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会にお邪魔しました。常任指揮者のティエリー・フィッシャーによって<ツァラトゥストラシリーズ>と題された今年のシーズン、第7回目のテーマは「舞踏の歌」です。
踊りと音楽の発祥はほぼ同時だったのではないかと言われるほど、踊りと音楽の関係は切り離すことができません。踊りには音楽が不可欠なのです。にもかかわらず、これからのクリスマス・シーズンに日本中で上演される『くるみ割り人形』などで有名なチャイコフスキーの三大バレエをはじめ、バレエのために書かれた優れた音楽は沢山ありますが、経費的な理由などでテープ演奏が主流な現在、実際にオーケストラ演奏で上演される機会が少なくてとても残念!ですから有名な音楽からめったに演奏されない音楽まで、充実したラインナップでのこのようなコンサートはとても魅力的です
 

大友さんトーク風景.jpg振り返れば1999年5月、ストラヴィンスキーの『春の祭典』を、名フィルさんと一緒にコンテンポラリーダンスで上演するという新しい試みを行いました。実はこの作品が、バレエのために書かれた音楽であるという歴史的な事実に反して、『春の祭典』が日本で上演される場合、そのほとんどがコンサート形式のものだったのです。(1913年、バレエ・リュスの新作バレエとして、伝説のダンサー、ニジンスキーの振付で上演。この音楽の成功が、ストラヴィンスキーのその後の評価を決定的なものにしたんです。)
当時は、『春の祭典』誕生の当時の生き生きとした世界を体現してみたい、という気持ちで、名フィルさんを中心とした100名を越す音楽家たちと共に舞台を創り上げました。そのときの指揮者が、今回のコンサートと同じ大友直人さんです。


←『春の祭典』出演者によるアフタートークでの大友さん。
(撮影:南部辰雄)

亡き高円宮殿下からのご紹介だったのですが、そのときには大友さんはダンスとの共演、さらに名フィルさんでの指揮は初めてと話しておられました。その後、東京文化会館の音楽監督として、ダンスカンパニー、H・アール・カオスと東京交響楽団による『ボレロ』の企画をされるなど、ぐっとダンスとの距離が身近になられたよう。そして「舞踏の歌」をテーマにした名フィルさんでの演奏会。なんか色々なご縁が、見えない糸で繋がっているようで嬉しいです。

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↑1999年 オーケストラとダンスによるH・アール・カオスの『春の祭典』より(撮影:南部辰雄)
春の祭典2.jpg
↑オーケストラ演奏でのダンス公演は、迫力が違います。(撮影:南部辰雄)
春の祭典展示2.jpg
↑公演と関連して、『春の祭典』初演時の舞台衣装やデザイン画、ピナ・バウシュやモーリス・ベジャール等様々な振付家のバージョンによる『春の祭典』の写真などの展示も行いました。

今回のコンサートは、「剣の舞」で有名なハチャトゥリアンのバレエ『ガイーヌ』、ショスタコーヴィッチの『バレエ組曲』、ルーセルのバレエ『バッカスとアリアーヌ』、ラヴェルの『ボレロ』そして同じくラヴェルの歌曲集『シェエラザード』が演奏されました。特に、『シェエラザード』では、フランスから一時帰国をされたソプラノ歌手の浜田理恵さんが素晴らしい独唱を聞かせてくれました。オーケストラの演奏とコンサートホールに響きわたる歌声、中央で指揮をする大友さんの立ち姿が、踊っているようでしなやかでとても美しかったです。
「また一緒に面白い企画をしたいね」と有難いお言葉をいただきました。

大友さん.jpg
↑コンサート直前の大友直人さん、楽屋にて。

(E.K)