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クリスマス特集ビデオ上映会開催中

2013年12月18日

 いよいよクリスマスです。街中がクリスマスの飾りやキャロルであふれています。クリスマスChristmasは、本来は「キリストChristのミサmass」という意味です。キリストの降誕を祝う祭です。

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The Adoration of the Shepherds(Gerard Honthorst 1590-1656)

 さて、アートプラザ・ビデオルームでの「クリスマス特集上映会」もあと4日間となりました。クリスマスを題材とした音楽、映画、オペラ、バレエなどを上映してきましたが、いよいよオラトリオの傑作、J.S.バッハの「クリスマスオラトリオ」とヘンデルの「メサイア」が登場します。

J.S.バッハとヘンデルは二人とも同年(1685年生まれ)、しかもドイツ東部の生まれですが、活躍場所や作曲内容は大きく異なります。J.S.バッハはアイゼナッハに生まれ、ドイツ東部(ワイマール、ケーテン、ライプチッヒ)で主に教会音楽家として活躍しました。一方、ヘンデルはハレに生まれましたが、イギリスに渡り、オペラ、オラトリオなどの劇場音楽の作曲家として人気を博し、イギリスに帰化しました。ローカルで地味ながら着実な仕事をしたJ.S.バッハに対し、外交的で華やかで国際的な活躍をしたヘンデル。現在では、評価は逆転し、J.S.バッハは「音楽の父」と呼ばれ、後世の作曲家に大きな影響を及ぼしました。ヘンデルの作品の多くは忘れ去られましたが、近年では再評価されています。
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             J.S.バッハ(1685-1750)                                            ヘンデル(1685-1759)

J.S.バッハの「クリスマスオラトリオ」は、「クリスマスの物語」(マリアとヨセフ、馬小屋の飼い葉桶に眠る幼子イエス、天使の群、羊飼いたち、東方3人の博士たちなどが登場)を基に6つの独立したカンタータ(礼拝用の音楽)を一つにまとめたものです。構成は、器楽曲、合唱曲、レチタティーヴォ(話すように言葉の抑揚をつけて歌われる曲)、アリア(旋律的に歌われる 曲)、コラール(ドイツ賛美歌)から成ります。クリスマスの喜びが伝わってくるような輝かしく素晴らしい音楽です。ビデオ作品はオリジナル楽器によるガーディナーの演奏とバッハの権威であるリリングの演奏の2種類を上映します。

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「クリスマスオラトリオ」冒頭(自筆譜)

ヘンデルの「メサイア」は合唱好きの人は誰でも知っている名曲です。「メサイア」とは救世主の意味です。聖書の言葉に基づき、イエス・キリストの生涯を、独唱・重唱・合唱で歌うもので、素晴らしい曲ばかりです。特に、第20曲のアルトのアリア「この方は侮られて」では、ヘンデルが感動のあまり涙を流しながら書いているところを召使が目にしたという説話も残っています。また、第2部最終曲の「ハレルヤ (Hallelujah)」(通称「ハレルヤコーラス」)は特に有名で、1743年、初めてロンドンで演奏された際、国王ジョージ2世が、「ハレルヤ」の途中に感動のあまり起立したため、それ以降“ハレルヤ”のところでは聴衆が立ち上がる習慣ができたといわれています。ビデオ作品は、ホグウッドによるオリジナル楽器による演奏です。
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「ハレルヤコーラス」終結(自筆譜)

この他にも、名歌手や有名合唱団のクリスマス・キャロルも上映しています。本物のクリスマスの喜びを味わっていただければ幸いです。
(A.M)