撮影/igaki photo studio 写真提供/城崎国際アートセンター(豊岡市)
2021年3月に城崎国際アートセンターで行なわれた試演会の様子。
小津安二郎の映画『お早よう』を手掛かりに
「東京」を描く3時間超えの長編作品
『長崎を上演する』や『福島を上演する』など、未曽有の出来事を経験した都市を描いてきた「マレビトの会」。本作は過去の手法を引き継ぎながら、新たな俳優とのクリエーションで生まれた新作となる。8年に及ぶ制作過程とその見どころを紹介。
マレビトの会が手掛ける
長年のプロジェクトが完成!
既存の価値観にとらわれない演劇表現を追求する「マレビトの会」の新作は、都市に暮らす人々を描いた小津安二郎の映画『お早よう』をモチーフに、ニュータウンで起こる連続殺人事件を背景とした市井の人々の生活から「東京」を描く演劇。小道具を一切使わないマイムを中心とした前作『長崎を上演する』などのミニマルな手法を引き継ぎながら、新たな俳優陣と創り上げ、舞台上と戯曲という2つの時空間から「東京」という現実を観客の眼前に映し出す。
本作の発端は『長崎を上演する』の企画が生まれた2013年。複数の作者がひとつの都市をテーマにドラマを書き、5~10分の短編から20~50分の中編の戯曲までの作品をオムニバス上演する形式で劇場の中に“長崎が立ち上がる”様子を探った(16年公演)。それから「マレビトの会」代表の松田は“日本を離れて遠くから日本を見たい”と19年渡独。そこで書き上げた長編戯曲のひとつが今回の『グッドモーニング』だ。20年に帰国後、愛知県芸術劇場でワークショップを行なった後、城崎国際アートセンターで滞在制作し、試演会を実施(21年3月)。更に8月末からの城崎でのブラッシュアップを経ていよいよ本作が完成する。
長期間のクリエーションを経て熟成した作品に乞うご期待!
2020年9月に開催したワークショップ「舞台芸術創造セミナー」の様子。戯曲のクリエーションに関心のある方は「俳優コース」、舞台音響に関心のある方は「音響コース」に分かれ、それぞれ4~5日間かけて行なった。
公演のイメージイラスト。イラストレーション©カナイフユキ
松田正隆 Masataka Matsuda
1962年長崎県生まれ。劇作家/演出家。96年『海と日傘』で岸田國士戯曲賞、97年『月の岬』で読売演劇大賞作品賞、98年『夏の砂の上』で読売文学賞受賞。2003年より演劇の可能性を模索する集団「マレビトの会」を結成。
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愛知県芸術劇場 プロデューサー 山本麦子
松田さんの演出は全体的に削ぎ落として、空間に対して嘘をつかず、異世界を作ろうとしません。しかし、俳優の言葉や最小限の動きから“何か”が見えてきます。小津映画にもたとえられる独特の舞台をぜひ体験いただきたいです。
2021年9月18日(土)・19日(日)開催
マレビトの会 『グッドモーニング』
場所/愛知県芸術劇場小ホール(愛知芸術文化センター地下1階)
時間/14:00~(公演時間は約3時間30分、休憩あり)
料金/一般4,000円、【U25】2,500円、高校生以下1,000円
※【U25】は公演日に25歳以下対象(要証明書)。
※未就学のお子さまは入場できません。19日(日)のみ託児サービスあり(有料・要予約)。
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18日(土)のみ