©Naoshi Hatori

出会いと別れ、その後に残る想い
―若手ダンサーが宮沢賢治『風の又三郎』を舞う!

昨年夏にオーディションで選ばれた地元ダンサー11名を迎えて初演した『風の又三郎』。
今年は、そのうち7名に新メンバーを加えての再演だ。身体表現の原点から見つめ直す稽古を重ねることで、
初演よりさらに厚みが増し、成長を続ける舞台に期待が高まる!

少年との出会いに勇気が湧く
今だからこそ観たい文学作品

宮沢賢治、晩年の代表作『風の又三郎』は、田舎の村に風のようにやってきた少年と楽しく過ごした子どもたちが、お互いに“違い”を感じながらも友情を築き、最後は別れを体験するというストーリー。幾度と宮沢賢治作品を題材にしてきた勅使川原三郎が、演出・振付のみならず、美術、衣装、照明デザイン、音楽編集までを手掛け、群舞によるダイナミックな動きや、美しい舞台装置とダンサーのシルエットを合わせた神秘的なシーンなどを創り上げる。

本作に出演するダンサーはすべてオーディションで選ばれた地元の若手たち。バレエ団やバレエ研究所が多くある愛知の土壌に着目した勅使川原が、昨年の初演では17歳から30歳までの11名をオーディションで選び、今年はそのうち7名が続投。2022年3月にワークショップ形式のオーディションを行い、10代から20代までの新たなメンバーを選出した。

今年行われたオーディションでは、歩くとは何か、どんな思いや気持ちがあり、足の裏は何を感じるかなど、自身への問いかけの答えが動きに現れる一体感や、原始的な動きに立ち返ることで、身体表現の核と改めて向き合った。また、若手ダンサーにとっては、世界的なダンサー・振付家の勅使川原に直接指導を受けることができる稀有な公演。劇場としても、若手ダンサーの成長が『風の又三郎』の成長であり、地域のバレエ団のスキルアップに繋がればという思いだ。

終わりが始まりであり、目に見えなくても心は成長しているということに気づく『風の又三郎』。混沌とした現代社会に生きるすべての人に、若手ならではの勢いと文学作品が持つ強さに出合ってほしいと思える作品だ。

2021年7月24日(土)・25日(日)に行なわれた初演の様子。©Naoshi Hatori

2022年3月より新メンバーを加えた稽古をスタート!

最初は新たなメンバーが加わることで今までになかった新しい風が吹き込むと同時に、戸惑いを感じていた様子。しかし、続投メンバーも自主的に考えてチャレンジすることが増え、新メンバーとともに自身の理解を深めるきっかけにも。若手ダンサーが自主性を持って創り上げる唯一無二の作品をお楽しみに!

2021年5月の稽古より。

2022年3月の稽古より。

昨年の公演を観たお客さまの感想

勅使川原三郎さんならではの照明・音楽・舞台!佐東利穂子さんのダンスや朗読も素晴らしかったが、『風の又三郎』という作品が若いダンサーたちにとても合っていたと思う。(60代・男性)

出演者の息づかいまで聞こえ、生の舞台の醍醐味を感じました。見終わった後、楽しかったと子どもたちが言っていました。子どもたちなりに感じとっていたのではないかと思います。(40代女性)

演出・振付、美術、衣装、照明デザイン、音楽編集を手掛ける勅使川原三郎

©Hiroshi Noguchi(Flowers)

愛知県芸術劇場 プロデューサー 上林元子

初演に出演したダンサーと新規ダンサーがお互いに高め合いながら、メンバー全員で創り上げる作品です。古き良き時代の日本の子どもたちの心象風景を描いた童話を身体で表現したダンス作品は、子どもだけでなく大人も楽しめます。時代を越えて受け継がれる作品の魅力を感じていただけます。

2022年9月3日(土)・4日(日)開催
芸術監督 勅使川原三郎 演出・振付 ダンス『風の又三郎』
場所/愛知県芸術劇場大ホール(愛知芸術文化センター2階)
時間/15:00~(公演時間は各約1時間)
料金/S席4,000円、【U25】2,000円、中学生以下1,000円
A席3,000円、【U25】2,000円、中学生以下1,000円
チケットは7月1日(金)より販売いたします。
※【U25】は公演日に25歳以下対象(要証明書)。
※3歳以下のお子さまは入場できません。
 4日(日)のみ託児サービスあり(有料・要予約)。
※推奨年齢は小学校高学年以上。
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