愛知県芸術劇場芸術監督 勅使川原三郎 が2つの文学作品をダンスで表現

2020年4月から愛知県芸術劇場初代芸術監督に就任した、ダンサー・振付家・演出家の勅使川原三郎。7・8月の2か月連続で発表する待望の2つの新作は、日本が誇る文豪の作品をもとに、それぞれ個性豊かなダンサーとともに創り上げる。世界中から注目される、独創的な作品は必見だ。

新作ダンス公演 『羅生門』

世界的ダンサーとともに高め合う芸術の世界初演作

原作は、芥川龍之介の同名小説「羅生門」。平安時代の京都で飢饉や地震が相次ぎ、荒廃した羅生門の下で、職を失った男が一人の老女に出逢い、物語が始まる。死人の髪の毛を抜いてカツラを作る老女の姿を見て、男は自身の正義感とは裏腹に盗人になろうと決心。善と悪の思いが交差する人物像は、現代の人間にも通じるテーマだ。勅使川原は、この文学作品の言葉遣いに着目し、「羅生門の鬼」の伝説を含ませながら創作する。生きるか死ぬかの状態にある底辺の世界で、どこまでも落ちていくことができる人間の邪悪さや、死生観を描いたストーリーをどのように身体表現するのか注目だ。勅使川原が振付・演出・美術・照明・衣装・音楽構成を担い、出演は自身のほか、アーティスティック・コラボレーターの佐東利穂子、ハンブルク・バレエのアレクサンドル・リアブコ、元NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)のヴァツラフ・クネシュを迎える。リアブコは勅使川原念願のオファーにより、初共演が実現。ハンブルク・バレエ(ドイツ)で20年以上のキャリアを誇る主役級ダンサーで、その優れた技術、演技力は多くのダンスファンを魅了し続ける。クネシュは過去にNDTに所属し、現在はチェコ・プラハを拠点にダンサー・振付家として活動。勅使川原と親交もあり、過去には佐東とデュエットを踊った経験も。世界で活躍中のダンサーたちが創り上げる新作ダンス公演で、勅使川原の今の美意識や感受性を存分に堪能したい。

2021年8月11日(水)開催
勅使川原三郎新作ダンス公演『羅生門』
場所/愛知県芸術劇場大ホール(愛知芸術文化センター2階)
料金/S席7,000円(【U25】3,500円)
   A席5,000円(【U25】2,500円)
   B席3,000円(【U25】1,500円)
※未就学のお子さまは入場できません。託児サービスあり(有料・要予約)。 
※【U25】は公演日に25歳以下対象(要証明書)。
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©Naoshi Hatori

原作 宮沢賢治 ダンス『風の又三郎』

若き才能を開花させる、地元ダンサーとの初挑戦

愛知県にはバレエ団やバレエ研究所が多くあり、優秀なバレエダンサーを多く輩出。その土地柄に着目した勅使川原は、今回のキャストに東海圏の若いダンサーたちを起用した。昨年10月のオーディションで、10代〜20代の11名を選抜。ダンサーには新鮮に物事に向き合える気持ちと身体が求められ、勅使川原の指導のもと稽古を重ねて、全員で転校生がやってきたところからはじまる。転校生と過ごす2学期の12日間は、子どもたちにとって新しい季節の始まりでもある。子どもたちが戸惑い、緊張や葛藤などを抱きながら経験を重ねることで、夏から秋に移り変わる季節のように、子どもたちが変化し、成長していく様を描く。出演者は決められた配役になるだけではなく、景色や心情にもリンク。宮沢賢治特有のオノマトペや、勅使川原が大切にする呼吸を活かし、その時々の感覚をダンスで表現する。子どもになったり、風になったり…。シーンごとに変幻自在に異なるダンサーの動きに注目し、生命力溢れる舞台と一体化するような劇場体験をぜひ。

©Naoshi Hatori

2021年7月24日(土)・25日(日)開催
芸術監督 勅使川原三郎
演出・振付 ダンス『風の又三郎』
場所/愛知県芸術劇場大ホール(愛知芸術文化センター2階)
時間/15:00~(公演時間は約1時間)
料金/S席4,000円(中学生以下2,000円)
   A席3,000円(中学生以下1,500円)
※3歳以下のお子さまは入場できません。 
 25日(日)のみ託児サービスあり(有料・要予約)。
※推奨年齢は小学校高学年以上。
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ファミリー・プログラムとは?

毎年、夏休みを中心に開催する、ファミリーで楽しめる公演やワークショップを集めた「ファミリー・プログラム」。0歳のお子さまからパパ・ママ、家族で気軽に楽しめる内容で、お子さまの初めての劇場体験にぴったり。ファミリー・プログラム2021 特設ページはこちら

愛知県芸術劇場 プロデューサー 唐津 絵理

『羅生門』のアレクサンドル・リアブコは勅使川原監督作品に初参加。また、ヴァツラフ・クネシュは勅使川原作品の経験者で信頼の厚いダンサーです。トップダンサーのパフォーマンスに、笙の宮田まゆみの音楽が重なり、神秘的な唯一無二の世界が出現することでしょう。
「風の又三郎」は、子どもが主役なので小中学生に響くことはもちろん、老若男女、誰もが楽しめる「ファミリー・プログラム」として、世代を問わず、ダンスに興味を示すきっかけとなる作品です。ダンサーたちは稽古を通じて仲良くなり、良いチームが出来上がってきています。

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