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愛知県美術館所蔵作品選

松下春雄 MATSUSHITA Haruo
1903-1933

二人のポーズ
Two Figures Posing
1933年 油彩、麻布 177.0×142.0cm
1933 Oil on canvas 1933

名古屋市に生まれる。1921年上京し、本郷洋画研究所に学んだ。1923年関東大震災のため帰郷、鬼頭鍋三郎、中野安次郎らとともに美術研究グループ〈サンサシオン〉を組織し活動した。翌年再び上京、この年の第5回帝展に水彩画が初入選し、以後15回展まで連続して入選したが、第9回展からは油彩画を出品。第12回展では特選を受賞し、同年の光風会では会員に推挙されるなど中央画壇での活躍には目ざましいものがあった。その一方で郷土・愛知との交流をはかり、一時期愛知社の同人として後進の育成にも尽力した。帝展を中心に活動を展開し、将来を嘱望された作家であったが30歳のとき白血病のため東京で夭折した。その翌年の第15回帝展では遺作が特選を受賞した。
この作品は、椅子に座りポーズをとる裸婦と、その背景でモデルを見つめる着衣の女性を描いたものである。印象としては、モデルとなった女性達の内面にまで迫る描写ではなく、あくまで画面構成に重点を置き、構図、量・質感の描出を第一に意識したものと思われる。骨格のがっしりとした重厚なマティエールによる表現は、当時の帝展系レアリスム絵画の特色を色濃く反映したものと言えよう。そもそも水彩画で画壇へのスタートを切った作者ではあったが、油彩画に転向しても水彩画を手がけていた頃の清新さを失うことなく、むしろ造形面での強靱さが増幅されるなかで、一層の光彩を放っている。亡くなる年に制作されたこの作品は、新古典主義的な描法をベースにしており、作者自身の新たな展開を期したものと思われる。(B.K.)


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