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愛知県美術館所蔵作品選

古賀春江 KOGA Harue
1895-1933

夏山
Mountain in the Summer
1927年 油彩、麻布 89.3×115.5cm
1927 Oil on canvas

福岡県に生まれる。1912年画家を志して上京し、太平洋画会研究所に入った。翌年日本水彩画会研究所に入り石井柏亭に師事した。同年第11回太平洋画会展、第1回日本水彩画会に入選。1917年には第4回二科展に入選した。1921年ころから新興美術に興味を覚え、翌年の第9回二科展にキュビスムの技法を取り入れた《埋葬》等を出品し二科賞を受け、また同年新傾向の美術を信奉する作家たちと〈アクション〉を結成した。1926年ころからクレーに触発された童画風の作品を発表し、1928年からは新興思想への関心が顕著になった翌年にはシュルレアリスムの影響が現れ、精神病者の絵画にも興味を示している。1931年進行性麻痺が発病し、1933年その進行により東京で没。
《埋葬》の二科展入選の後、古賀春江はキュビスムなどの新興美術を積極的に取り入れた実験的な作品を発表し続けた。「風景はちっとも善くない、家の中で空想している方がはるかに綺麗だ、……家の中に居て私は画を拵らへた方がいい様に思ふ、ウソの画が描きたい。出鱈目の画が先人の模倣でもなんでもよいから遊び半分の画がかきたい……」(1921)という彼の言葉には、現実との確実な距離感や親密な関係の喪失から、美的世界へ夢を託そうとする表現主義以降の芸術姿勢との共通性が窺える。クレーの影響が顕著であるが、ここでは気球が表徴し、当時の人々の心を揺さぶり昂揚させたモダンな現代文明と、素朴で平和な土着的な世界とが共存する、古賀に独特の童心に帰ったような夢幻的な世界が描かれている。(H.Ma.)


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