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愛知県美術館所蔵作品選

佐分 真 SABURI Makoto
1898-1936

インドの女
Indian Woman
1930年 油彩、麻布 194.0×112.5cm
1930 Oil on canvas

名古屋市に生まれる。1915年(大正4)上京して川端画学校で学んだ。1922年、東京美術学校西洋画科を卒業。1924年第5回帝展に初入選。1925年、愛知県出身の美術家たちが東京で結成した愛知社に加わり、また白日会会員となった。1927年(昭和2)から1932年まで二度にわたり渡仏、リアリズムに立脚した堅実な画風を築いた。その間、1929年に光風会会員に推挙され、1931年には帝展に出品した《貧しきキャフェーの一隅》が特選となった。帰国後の1933年、翌1934年に連続して帝展特選を受け、同展の有力新人として注目されたが、1935年の帝国美術院改組の際には第二部会に参加せず、光風会も脱退した。1936年、東京の自宅で縊死した。
1920年代のパリ画壇には《秩序への回帰》を求める声が高まり、フランス芸術の伝統である古典主義的精神に根ざしたドランらの作品が称賛を浴びた。佐分真は、フランス留学中にそうした風潮を敏感に受けとめながら自己の画風を形成していった日本人画家たちのひとりである。彼がパリで描いた作品の多くは市井の人々を題材としたものだが、それらはつねに理知的な造形感覚に支えられ、ときに哀愁をただよわせながらも、感傷におぼれることはなかった。この作品においても、ゆったりとした姿勢で立つ骨太のインド女性の存在感、落ち着いた色彩の調和、バランスのとれた明暗の配分などに、秩序と安定を求める彼の意識を感じとることができる。(H.Mu.)


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