台湾映画祭+シンポジウム―侯孝賢の詩学と時間のプリズム―

台湾映画祭+シンポジウム―侯孝賢の詩学と時間のプリズム―


会 期 : 2011年6月25日(土)、26日(日) 

会 場 : 6/25(土)…愛知芸術文化センター12階 アートスペースA〔定員180名〕
      6/26(日)…名古屋大学文系総合館7階カンファレンスホール

料 金 : 無料・事前申込不要





台湾映画祭+シンポジウム―侯孝賢の詩学と時間のプリズム―

6月25日(土)… 台湾を代表する世界的な映画監督・侯孝賢の作品『非情城市』『百年恋歌』の上映と侯孝賢監督及び脚本家朱天文氏を囲む座談会を行います。
*このイベントは東日本大震災のチャリティ事業として開催します。入場の際に募金へのご協力をお願いします。


侯孝賢 『非情城市』
  侯孝賢 『非情城市』 (1989年)
6月26日(日)… 国内外の研究者が集い、講演や研究発表、パネルディスカッション等を行う「国際シンポジウム」を開催します。

スケジュール
6月25日(土)
10:00 ~ 12:15 映画上映『百年恋歌』 (135分)
『百年恋歌』(2005年制作。原題:『最好的時光』、英語題名:Three Times) 1966年、1911年、2005年の3つの異なる時代に生きる男女の交差とすれ違いの機微が、セリフを極端に抑えた映像詩に仕立て上げられているオムニバス作品。3つの時代は、兵役、遊郭、同性愛といった舞台設定に画されながらも、それぞれにどこかやるせなくもはかない情感と美しさを伝えるフレーミング、色、光、音、動きなどを通してやわらかに響き合っている。本作は、侯孝賢詩学の1つの到達点と言える一方で、第2部のサイレント映画は監督の絶え間ない実験精神の現れと見ることもできるだろう。製作は廖慶松と黄文英。脚本、朱天文。撮影、李屏賓。編集、廖慶松。
13:30 ~ 16:10 映画上映『悲情城市』 (159分)
『悲情城市』(1989年制作。原題:『悲情城市』、英語題名:A City of Sadness) 1945年8月15日、台湾北部の港町基隆(キールン)に玉音放送が鳴り響くシーンから始まるこの映画は、1947年に起った2・28事件を中心に、国民党の圧政下に生きた台湾の人々の歴史を、繊細にして多彩に織りなされた映像と音の重層的な叙事詩として描き出している。『戯夢人生』(1993年)と『好男好女』(1995年)とともに歴史3部作の一角をなす。香港の映画スター、トニー・レオンが聾唖の四男を演じたことでも話題になった。ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞受賞。製作、邱復生。脚本は呉念真と朱天文。音楽監督、立川直樹。撮影、陳懐恩。編集、廖慶松。
16:30 ~ 18:30 映画祭開催にあたって   前野みち子(名古屋大学教授)

座談会「侯孝賢監督と朱天文氏を囲んで」
司会 : 藤木秀朗(名古屋大学教授)
葉月瑜(香港・バプテスト大学メディア学部教授)、盧非易(台湾・政治大学メディア学科副教授)、池側隆之(名古屋大学准教授)
通訳 : 小坂史子、秋山珠子
6月26日(日)
9:30 開会挨拶 前野みち子(名古屋大学教授)
9:45 ~ 10:45 基調講演 「『百年恋歌』の中の台湾百年史」
藤井省三(東京大学教授)
11:00 ~ 12:00 基調講演 「Shotと Milieu」
張小虹(台湾大学教授)
~~昼休み 1時間20分~~
13:20 ~ 14:20 「〔二十年後の〕『悲情城市』再考:音声、映像、時間、空間」
陳儒修(台湾・政治大学メディア学科副教授)
コメンテーター:藤木秀朗(名古屋大学教授)
14:30 ~ 15:30 「侯孝賢の『悲情城市』―国の内と 外の文化大使」
ジェームズ・アデン(ゲティスバーグ大学准教授)
コメンテーター:ダレル・ウィリアム・デイヴィス(香港嶺南大学視覚研究学科名誉副教授)
15:40 ~ 16:40 「侯孝賢の歴史との対話 ―『珈琲時光』」
ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(カールトン大学准教授、国際日本文化研究センター研究員)
コメンテーター:廖炳恵(カリフォルニア大学サンディアゴ校教授)
17:00 ~ 18:30 ラウンドテーブル「侯孝賢の詩学と時間のプリズム」
司会:藤木秀朗  パネリスト:藤井省三、張小虹、陳儒修、廖炳恵、ジェームズ・アデン ミツヨ・ワダ・マルシアーノ、ダレル・ウィリアム・デイヴィス  通訳:秋山珠子、三輪泰子、許時嘉
総括及び閉会の辞 前野みち子、薛化元(財団法人自由思想学術基金会)

プロフィール
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
1980年代に台湾ニューシネマの旗手として登場して以来、数々の国際映画祭で高い評価を受け、いまや世界に名高い巨匠として知られる台湾を代表する映画監督。偶然性に身を委ねつつも精緻に計算し尽くされたその作品群は、数多くの映画ファンを魅了してやまない。生まれは、1947年、広東省梅県。生後まもなくして台湾に移住。第二次世界大戦終結後の国民党政権下で過ごした青春時代は、1985年制作の自伝的作品『童年往事 時の流れ』からも伺える。1972年に国立芸術専科学校卒業後、脚本家、助監督を経て1980年に『ステキな彼女』で監督デビュー。4作目にあたる、3人の監督のオムニバス作品として世に出した『坊やの人形』(1983年)は台湾ニューシネマの先駆的作品となった。続く『風櫃の少年』(1983年)と『冬冬の夏休み』(1984年)で連続してナント三大陸映画祭グランプリ、次作『童年往事』ではベルリン国際映画祭・国際映画批評家賞と、国際映画祭で立て続けに栄(は)えある賞を受賞し、一躍脚光を浴びた。1989年の『悲情城市』ではヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得している。この作品に『戯夢人生』(1993年)と『好男好女』(1995年)を合わせた歴史3部作は、その時代に生きた人々の生活に身を寄せながら、長きにわたって抑圧されてきた台湾の近現代史の複雑な彩(あや)を精妙なタッチで描き出している。2000年代に入っても、小津安二郎生誕100年を記念して作られた『珈琲時光』(2003年)や今回上映する『百年恋歌』(2005年)をはじめ、斬新で意欲的な作品を次々と発表し続けている。
深みとは隠れているものだ。どこに隠れているのか? それは表面に隠れている。 私にとってその表面とは、すなわち個々人、物の「存在感」であり、映画を撮るとき私はずっと、その存在感を捕らえ、映像に閉じ込めようと努めてきた。
            名古屋〈侯孝賢映画祭〉によせて ――侯孝賢
(深みとは隠れているものだ。どこに隠れているのか? それは表面に隠れている。 私にとってその表面とは、すなわち個々人、物の「存在感」であり、映画を撮るとき私はずっと、その存在感を捕らえ、映像に閉じ込めようと努めてきた。
名古屋〈侯孝賢映画祭〉によせて ――侯孝賢)


侯孝賢監督作品年表
年 代 作 品 名 
1980 『ステキな彼女』
1981 『風が踊る』
1982 『河の流れに草は青々』
1983 『坊やの人形』
1983 『風櫃から来た人』
1984 『冬冬(トントン)の夏休み』 
1985 『童年往事』
1986 『恋恋風塵』
1987 『ナイルの娘』
1989 『悲情城市』 
1993 『戯夢人生』
1995 『好男好女』 
1996 『憂鬱な楽園』 
1998 『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 
2001 『ミレニアム・マンボ』 
2004 『珈琲時光』 
2005 『百年恋歌』 
2007 『レッド・バルーン』 

朱天文(チュー・ティエンウエン)
1956年8月台湾、高雄鳳山生まれ。父は作家、母は翻訳者、妹二人も文筆家という文学一家として知られる。16歳で小説家としてデビュー、短編小説で数々の文学賞を獲得しており、1994年には初の長編小説『荒人手記』にて第一回時報文学百万小説賞を受賞。自著の「小畢的故事」(83)が陳坤厚監督により映画化された際、助監督であった侯孝賢と出会い、『風櫃の少年』(83)以降侯監督作品のパートナーとなる。『悲情城市』の脚本では朱天文がシーン割りを執筆、呉念真(作家・脚本家・俳優)が台湾語でセリフをつけている。『百年恋歌』は侯孝賢との共同執筆で、台湾アカデミー賞にあたる金馬賞の最優秀オリジナル脚本賞にノミネートされた。小説の邦訳として『安安の夏休み』(田村志津枝訳、筑摩書房)、『世紀末の華やぎ』(小針朋子訳、紀伊国屋書店)、「エデンはもはや」(池上貞子訳『台北ストーリー』山口守編、国書刊行会)、『荒人手記』池上貞子訳、国書刊行会)がある。

葉月瑜(イエ・ユェユィ)
香港バプテスト大学メディア学部教授兼メディア/コミニケーション・センター主任。南カリフォルニア大学映画芸術Ph.D.主な著書に、Taiwan Film Directors: A Treasure Island(Columbia University Press, 2005, 共著), Chinese-Language Film: Historiography, Poetics, Politics(University of Hawaii Press, 2005, 共著), East Asian Screen Industries(British Film Institute Publishing, 2008、共著)、『東亞電影驚奇:中港日韓』、(台北書林、2011、共著)等。


盧非易(ルー・フエイイー)
台湾政治大学メディア学科副教授。南カリフォルニア大学映画芸術MA。主な著書に Island on the Edge: Taiwan New Cinema and After(Columbia University Press, 2005, 共著)、『台灣電影活水藍圖』(文化建設委員会、2001年)、『歐盟影視政策研究』(国家科学委員会、2001年)等。

池側隆之(Takayuki Ikegawa)
名古屋大学大学院国際言語文化研究科准教授。東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科修了。主な論文に、「デザイン教育におけるアニメーション創造工程に関する研究」(『認知科学』、第17巻第3号、2010年)、映像コンテンツとして、『21世紀のリバーストーリー(ハイビジョン作品)』(愛知万博・地球の授業、2005年)。


藤木秀朗(Hideaki Fujiki)
名古屋大学大学院文学研究科教授。ウィスコンシン大学マディソン校大学院映画研究Ph.D主な著書に、『増殖するペルソナ―映画スターダムの成立と日本近代』(名古屋大学出版会、2007年、Harvard University Asia Centerより改訂英語版近刊)、『観客へのアプローチ』(森話社、2011年、編著)、『イメージとしての戦後』(青弓社、2010年、共編著)。


藤井省三(Shozo Fujii)
東京大学文学部・大学院人文社会系研究科教授、日本学術会議会員。東京大学大学院修了、博士(文学)。20世紀中国語圏の文学と映画を専攻。著書に『台湾文学この百年』、『中国映画 百年を描く、百年を読む』、『村上春樹のなかの中国』、『魯迅 東アジアを生きる文学』、翻訳著に台湾人作家、李昴の『夫殺し』、『自伝の小説』など多数。


張小虹(チャン・シアォホン)
台湾大学外国語文学科特任教授。ミシガン大学英米文学Ph.D.主な著書に『感覺結構』(聯合文学出版社、2005)、『膚淺』(聯合文学出版社、2005)、『假全球化』(聯合文学出版社、2007) 、『身體褶學』(有鹿文化出版社、2009)、『資本主義有怪獸』(有鹿文化出版社、2010)等。


陳儒修(チェン・ルーシウ)
台湾政治大学メディア学科副教授。南カリフォルニア大学映画芸術Ph.D.主な著書に『台灣新電影的歷史文化經驗』(萬象出版社、1993)、『電影帝國』(萬象出版社、1995)、 Cinema Taiwan: politics, popularity and state of the arts(Routledge, 2007、共著)等。


ジェームズ・アデン(James Udden)
米国ゲティスバーグ大学学際研究学科准教授。ウィスコンシン大学マディソン校大学院映画研究Ph.D. 主な著書に、No Man an Island: The Cinema of Hou Hsiao-hsien (Hong Kong University Press, 2009)、Cinema Taiwan: Politics, Popularity and State of the Arts (Routledge, 2007、共著)。

ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(Mitsuyo Wada-Marciano)
カナダ・カールトン大学映画研究学科准教授、国際日本文化研究センター研究員(2010-2011)。アイオワ大学大学院映画研究・比較文学Ph.D. 主な著書に、『デジタル時代の日本映画 ― 新しい映画のために』(名古屋大学出版会、2010年、University of Hawaii Pressより英語版近刊)、『ニッポン・モダン―日本映画1920-1930年代』(名古屋大学出版会、 2009年、University of Hawaii Pressより英語版、 2008年)、Horror to the Extreme: Changing Boundaries in Asian Cinema (Hong Kong University Press, 2009、共編著)。


ダレル・ウィリアム・デイヴィス(Darrell William Davis)
香港嶺南大学視覚研究学科名誉副教授。ウィスコンシン大学マディソン校大学院映画研究Ph.D.主な著書に、Picturing Japaneseness: Monumental Style, National Identity, Japanese Film (Columbia University Press, 1996)、 Taiwan Film Directors: A Treasure Island (Columbia University Press, 2005、共著)、 East Asian Screen Industries (British Film Institute, 2008, Chinese translation from Bookman, 2011、共著)、Cinema Taiwan: Politics, Popularity and State of the Arts (Routledge, 2007、共編著)。


廖炳恵(リアォ・ビンホイ)
  カリフォルニア大学サンディアゴ校文学学科教授。カリフォルニア大学サンディアゴ校比較文学博士Ph.D.主な著書に Taiwan Under Japanese Colonial Rule,1895-1945 History, Culture, Memory (Columbia University Press, 2006, 共著)、『另類現代情』(允晨出版、2001)、『台湾與世界文学的匯流』(聨合文学出版社、2006)等。


薛化元(シュエ・ホワユワン)
台湾政治大学台湾史研究所特任教授兼歴史学科教授。台湾大学歴史学博士。主な著書に、 『民主憲政与民族主義的弁証発展―張君勱思想研究』(台北:稲禾出版社、1993)、『自由中国与民主憲政』(台北:稲郷出版社、1996)、『戦後台湾歴史閲覧』(台北:五南出版社、2010)。


黄 英哲(コウ・エイテツ)
愛知大学現代中国学部教授。立命館大学大学院文学研究科博士課程修了、博士(文学)。主な著書に、『越境するテクスト―東アジア文化・文学の新しい試み』(研文出版、2008年、共編著)、『帝国主義と文学』(研文出版、2010年、共編著)、『台湾文化表象の現在―響き合う日本と台湾』(あるむ、2010年、共編著)。


星野幸代(Yukiyo Hoshino)
名古屋大学大学院国際言語文化研究科准教授。東京大学人文社会系研究科アジア文化研究専攻修了、博士(文学)。主な著書に『ジェンダーを科学する』(ナカニシヤ出版、2004年、共著)、『台湾文化表象の現在―響き合う日本と台湾』(あるむ、2010年、共編著)。

前野みち子(Michiko Maeno)
名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授。東京大学人文科学研究科博士課程中退、博士(学術)。主な著書に、『恋愛結婚の成立―近世ヨーロッパにおける女性観の変容』(名古屋大学出版会、2006年)、『台湾文化表象の現在―響き合う日本と台湾』(あるむ、2010年、共編著)。

越後谷卓司(Tskashi Echigoya)
愛知芸術文化センター・文化情報センター主任学芸員。「アートフィルム・フェスティバル」など特集上映会の企画や、「オリジナル映像作品」の制作等、映像事業を担当。共著書に『スーパー・アヴァンギャルド映像術』(フィルムアート社、2002年)、『映像表現のオルタナティヴ』(森話社、2005年)などがある。




 お問い合わせ : 愛知芸術文化センター・愛知県文化情報センター
Tel. 052-971-5511(内線532) Fax. 052-971-5605  E-mail はこちら

主  催 : 愛知芸術文化センター、名古屋大学大学院国際言語文化研究科、台湾行政院文化建設委員会、財団法人自由思想学術基金会
企  画 : 愛知県文化情報センター
協力・作品提供 : (株)フランス映画社、(株)プレノンアッシュ、
名古屋シネマテーク・平野勇治(映写技師)、大橋雅之(映写技師)


このページの上へ戻る