アート・アニメーション・フェスティバル2010

アート・アニメーションフェスティバル2010  上映作品及び日程はこちら
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会 期 : 2010年7月27日(火)〜29日(木)、31日(土)、8月1日(日)

会 場 : 愛知芸術文化センター12階 アートスペースA

料 金 : 無料・申込不要

アート・アニメーション・フェスティバル2010

 「アート・アニメーション・フェスティバル」は、映像系機器のデジタル化が進むなど、個人レベルでのアニメーション制作が、以前にくらべ容易になったことに伴い、作り手の裾野が広がるとともに、意欲的な作品が生み出されるようになった、自主制作アニメーションの分野に注目し、映像表現の新しい状況を照らし出すべく、2007年にスタートしました。商業ベースで公開される劇場用作品や、テレビ・アニメーションなどとは異なり、鑑賞する機会の少ない自主制作作品や、作家性を重視して作られるアート系の作品、アニメーションの歴史を学ぶ上で重要といえるクラシック作品などの紹介を行っています。
  今年の「アート・アニメーション・フェスティバル2010」では、ヨーロッパ・アニメーション界のゴダールとも賞賛される、エストニアの作家プリート・パルンのアート・アニメーションを特集します。大胆で不思議な色合いと独特な描線が生み出す、魅力的なキャラクターと不条理な世界は、20世紀から今世紀のかけてのアニメーションの歴史において、揺るぎない独自の位置を占めています。本特集では、1977年のデビュー作『地球は本当にまるいの?』(2006年デジタルリマスター版で上映)から、新しいパートナーであるオルガ・パルンとの共作により新境地を示した近作『ガブリエラ・フェッリなしの人生』(2008年)や最新作『雨のなかのダイバー』(2010年)までの主要作品を集め、さらに『パルノグラフィ』(2005年)と『法王のいない一夜』(2006年)という2本のドキュメンタリーを併せた、パルン作品の入門編としてもふさわしいプログラムです。
 また、アニメーションの基礎的な歴史を学ぶ上で最適なソフトとして、昨年、好評をいただいたDVD「世界アニメーション映画史」の続刊に当たる第11−20巻(当センター・アートライブラリー所蔵)も上映します。1930−50年代のアメリカ作品を中心としたこのプログラムでは、この時期にアニメーションが技術的に発展するとともに、表現の上においても深化していったことが、実作を通じて具体的に感じ取ることが出来るでしょう。
 加えて、自主制作作品の現在を照らし出すことを意図して、昨2009年に開催された「第3回愛知デジタルコンテンツコンテスト」一次審査通過作品を上映します。今日の映像表現において、コンピューター・グラフィックスは、視覚的な見せ場となるヴィジュアル・エフェクトのみならず、画面のトーンを調整するといったさりげない使い方に到るまで広範に用いられ、浸透しているといっていいでしょう。映像表現の一つのツールとして定着しつつある状況において、次代をになう若いクリエイターたちが、どのような創作的な成果を示しているかをぜひご覧ください。
 皆様のご来場をお待ちしております。

◆プリート・パルン(Priit Päm)プロフィール
 1946年、タリン(現在のエストニアの首都)生まれ。タルトゥ大学で生物学を専攻し、1970年卒業後、植物生態学者として、タリン植物園に勤務。その一方で、1960年代後半よりイラストレーター、風刺画家として、1980年代初頭よりグラフィック・アーティストとして活動。国内外で30以上の個展を開催する。
 1976年にレイン・ラーマットの誘いでタリンフィルムに入社し、アニメーションのアートディレクター、監督として勤務。1994年よりヨーニスフィルムに移り、現在に至る。1977年のデビュー作『地球は本当にまるいの?』と第2作『森のなかのマジシャン』(1978年)で、早くもブラック・ユーモアと遊び心のあるシュールなスタイルを確立。80年代に入り、より観察眼・批判精神・芸術性に優れた代表作『草の上の朝食』(1987年、ザグレブ国際アニメーション映画祭グランプリ)や、『ホテルE』(1992年)『1895』(1995年)を次々と発表。
 近年は、新しいパートナーであるオルガ・パルンとの共作で、『ガブリエラ・フェッリなしの人生』(2008年)『雨のなかのダイバー』(2010年)を発表、新境地を見せている。

プリート・パルン『世界は本当にまるいの?』
 プリート・パルン
 『地球は本当にまるいの?』
 (1977年(2006年デジタルリマスター版))


プリート・パルン『ガブリエラ・フェッリなしの人生』
 プリート・パルン
 『ガブリエラ・フェッリなしの人生』(2008年)


プリート・パルン『雨のなかのダイバー』
 プリート・パルン
 『雨のなかのダイバー』(2010年)


ハーディ・ウォルマー『パルノグラフィ』
 ハーディ・ウォルマー
 『パルノグラフィ』(2005年)


ラファエル・ジアネッリ=モリアノ『法王のいない一夜』
 ラファエル・ジアネッリ=モリアノ
 『法王のいない一夜』(2006年)



プリート・パルン『森のなかのマジシャン』
 プリート・パルン
 『森のなかのマジシャン』(1978年)
◆大人が楽しむアニメーション
 今回上映するDVD「世界アニメーション映画史」第11−20巻は、昨年上映した第1−10巻がフランスやロシアの作家も含めた構成だったのにくらべ、ジョージ・パルの初期作品をのぞき、ほぼアメリカ作品となっている。“世界”と冠していることからすると、どこかバランスの悪い感じを受けるが、逆にいえば1930−50年代のアメリカ作品のレベルが高く、アニメーションの歴史を語る上で決して外せない、重要なものばかりであることの表れとも取れるだろう。
 実際、ベティ・ブープやポパイ、バッグス・バニー、ダフィー・ダック、ドルーピーなど、今日でもそのキャラクターを目にし、耳にする、ポピュラーな存在がこのプログラムには登場している。これらの一般に漫画映画と称された作品は、劇場用の短編として製作され、後にはテレビを通じて頻繁に放映されたりもしたので、我々も日常的に目にしていた訳だが、最近はその機会も減っているので、作品として改めて見直す好機といえる。またキャラクターの名前は知られていても、テックス・アヴェリーやチャック・ジョーンズといった、アニメーションのファンにとっては知られた監督でも一般的な知名度は残念ながら低いため、作家の作品として意識的に観ることで、作品を貫くテーマやモチーフを見いだす切っ掛けになるかもしれない。
 アニメーションといえば子供向けのものという印象は、わが国では今も強くあるものといえるが、これらの作品が劇場用に作られたことからも分かるように、必ずしも子供だけを対象としていた訳ではない。ベティ・ブープのセクシーなキャラクターとしての魅力や、テックス・アヴェリー作品のシュルレアリスムにも通じる不条理なギャグは、むしろ大人の観客にこそ楽しめるものであるといえよう。ギャグをベースにしつつ、風刺や皮肉、シュルレアリスムや不条理の世界に到達してしまうという感覚は、サイレントのスラップスティック・コメディ(ドタバタ喜劇)に始まり、漫画映画をへて、今回特集するプリート・パルンらを含めた、現代のアート・アニメーションにも連なる、一つの水脈であるといえる。実際の作品を通して、楽しみながらそんな発見をしていただければ、と願っている。




 お問い合わせ : 愛知芸術文化センター・愛知県文化情報センター
Tel. 052-971-5511(内線724) Fax. 052-971-5644  E-mail はこちら

主  催 : 愛知芸術文化センター
企  画 : 愛知県文化情報センター
協力・作品提供 : 愛知県産業労働部新産業課、CaRTe bLaNChe(カルトブランシュ)、名古屋シネマテーク


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