愛知芸術文化センター25周年によせて

愛知芸術文化センターが2017年10月に開館25周年を迎えるにあたり、本センターゆかりのアーティストを始め25人の関係の皆様からメッセージをいただいております。

※掲載順は五十音順となっています。肩書き、役職名は掲載時(2017年10月)のものです。

25周年記念特設サイト
演出家
粟國 淳
東北大学大学院教授 あいちトリエンナーレ2013芸術監督
五十嵐 太郎
アーティスト
石田 尚志
演出家
岩田 達宗
© Rikimaru Hotta
東京都交響楽団音楽監督、バルセロナ交響楽団音楽監督、新国立劇場オペラ部門芸術参与
大野 和士
© michiyuki ohba
パーカッショニスト
加藤 訓子
劇作家、演出家
北村 想
アーティスト
斉と 公平太
© Takashi Iijima
トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラ首席指揮者
佐渡 裕
アーティスト
志賀 理江子
アーティスト
杉戸 洋
愛知芸術文化協会理事長・清須市はるひ美術館館長
高北 幸矢
多摩美術大学学長 あいちトリエンナーレ2010芸術監督
建畠 晢
© Norifumi Inagaki
ダンサー、演出家、振付家
勅使川原 三郎
アーティスト
戸谷 成雄
愛知県立芸術大学副学長
戸山 俊樹
アーティスト
奈良 美智
名古屋ボストン美術館館長
馬場 駿吉
ダンサー・振付家
平山 素子
国際文化研究所所長
藤井 知昭
アーティスト
細井 篤
愛知県立芸術大学 学長
松村 公嗣
アーティスト
三沢 厚彦
多摩美術大学教授 あいちトリエンナーレ2016芸術監督
港 千尋
IAMAS[情報科学芸術大学院大学]教授、フォルマント兄弟の兄
三輪 眞弘
演出家
粟國 淳

25年前のイタリアで僕の目に飛び込んで来たのは、日本初のオペラハウスが名古屋にオープンするという新聞記事でした。そのオープニング記念公演のひとつに演出家への道の第一歩を踏み出した若き僕がいたのです。その後「椿姫」「ボエーム」そして海外に迄飛び出した「ホフマン物語」を劇場の皆様と共に創りあげる機会を得ました。公演迄の試行錯誤、苦心と苦労の裏には、劇場からの芸術の創造と発信という劇場スタッフの大いなる情熱なくしては成し得ない事でした。僕にとっても感慨深い25周年です!!おめでとうございます!!

東北大学大学院教授 あいちトリエンナーレ2013芸術監督
五十嵐 太郎

90年代から愛知芸術文化センターは何度も訪れていましたが、やはりあいちトリエンナーレの芸術監督を務めたことで足繁く通ったことが印象深いです。それまではもっぱら美術館を見ていたので、8階のギャラリーや大中小のホールを深く知る機会となりました。そして思いの外、天井が高く使い出があることや、美術と舞台芸術の交流の可能性を感じました。もっと使い倒せるポテンシャルをもった施設です。今後の展開を期待しています。

アーティスト
石田 尚志

「フーガの技法」は、様々な表現が交差する愛知芸術文化センターという特別な場の力と、素晴らしい学芸員との出会いによって生まれた作品だった。アート・フィルムフェスティバル、イベントトーク、あいちトリエンナーレ、そして愛知県美術館コレクション展。様々な角度から作品と対峙する機会を得ることは作家としての大きな糧だが、何より作品が繰り返し上映され、今もって螺旋を描くように成長していることに歓びと驚きを感じている。

演出家
岩田 達宗

おめでとうございます。
25年前、私はこの劇場がオープンする時の熱気を肌で感じて知っています。それは日本の劇場のあり方が変わる、と言う期待のこもった熱気でした。そして続く25年間にこの劇場は本当にその期待に応えて来られました。
劇場とは、それを支える人間が創造する生き物です。この25年間の歩みを想像して来られた全ての方々に敬意を表します。そしてどうぞ、また新たな生き物を永く創造し続けて下さい。

© Rikimaru Hotta

東京都交響楽団音楽監督、バルセロナ交響楽団音楽監督、新国立劇場オペラ部門芸術参与
大野 和士

どの席にいても響きが良い、と感じるホールにはなかなかお目にかかりませんが、愛知県芸術劇場は開館当初から、大ホール、コンサートホール共に、まさにその魅力を遺憾なく発揮している数少ない存在だと言えるでしょう。開館直後、東京フィルとの演奏会でこの劇場と知り合ってから、幸運なことに、私はいままで数々の思い出に残るコンサート、オペラを演奏する機会を得てまいりました。大ホールでの「ドン・ジョヴァンニ」(オーケストラ:名古屋フィル)、コンサートホールでの、モネ劇場管弦楽団、リヨン歌劇場管弦楽団、そして本年3月の東京都響との演奏会などなど。これらすべての演奏は素晴らしい音響と共に、私にとって忘れ得ないものとなっています。
愛知県芸術劇場開館25周年おめでとうございます。ますますのご発展を願ってやみません。

© michiyuki ohba

パーカッショニスト
加藤 訓子

私が初めて愛知芸術文化センターの事業に関わったのは、2001年。以来、節々の要になるプロジェクトを愛知芸術文化センターで発表して来ることができました。コンテンポラリー(現代)としての音楽活動の場、ジャンルの境なく、こうして自由に創造できる場は日本の中でもそうはあるものではありません。いつもアーティストのやりたいことを実現できるように陰で支えて続けてくれるスタッフの皆さんの温かい受け入れ態勢に本当に頭の下がる思いです。
私の出身地豊橋を含むこの愛知県という母体がこれからも日本の芸術シーンを支える中核として、今後もアーティストをはじめとする文化・芸術を支え、世界へ向けて素晴らしい窓を開いてくれることを願っています。

劇作家、演出家
北村 想

愛知芸術文化センター25年間の中で心に残るエピソード

「あなたとボクは、資質が似てるねえ」と、いわれたのヨ。1994/02/20、県芸小ホールのトークショー「現代にみる親と子」が終わってからネ、吉本隆明さんにサ。嬉しかったネエ。吉本思想を学び続けていて、ほんと~に良かったと心底、感じた。このころ『ハイ・イメージ論』のあたりでね、吉本学派が大勢離脱していったワケ。オレのような劣等生だけが、必死に喰らいついていたんだナ。ワカンナカッタからね、勉強したのよ。

(愛知県文化振興事業団 ドラマフェスティバル’93/94「家族はどこへ…」 トークショー 吉本隆明vs北村想「現代に見る親と子」を思い起こして)

アーティスト
斉と 公平太

「ハコモノ」という言い方をするとき、否定的な意味合いがあります。しかしライブハウスを「ハコ」と言うときは、決して否定的な意味合いはなくて、場を客観的に評価をするぞ、というニュアンスを感じます。そういう意味で言うと「ハコ」としての愛知芸文の意味合いも25年で変わってきたかなと思います。25年間の場所として蓄積と定着。皆がハコとして存分に利用する、これから先の25年にも期待しております。

© Takashi Iijima

トーンキュンストラー管弦楽団音楽監督、兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラ首席指揮者
佐渡 裕

開館25周年おめでとうございます。愛知県芸術劇場での最初の指揮は、新日本フィルとの≪さまよえるオランダ人≫でした。まだ指揮者として稼いでいけるかどうかという頃に、今は亡き鈴木敬介先生の演出で、豪華な舞台セットの大作オペラに挑戦をさせて頂いたことは、僕にとって大きな経験でした。それから25年。シエナ・ウインド・オーケストラや海外のオーケストラと日本各地を演奏旅行する時は、必ず愛知県芸術劇場の指揮台に立たせて頂いています。名古屋のお客様はいつも温かい拍手で迎えてくださり、これまでの私と名古屋の長い縁を感じています。今後の愛知県芸術劇場のますますの発展をお祈り申し上げるとともに、名古屋のお客様のために私も末永く愛知県芸術劇場で指揮させて頂けたら大変嬉しく思います。

アーティスト
志賀 理江子

私は愛知県に生まれ育ちましたが、地元が愛知というのは正直それほど意識してきませんでした。しかし、あいちトリエンナーレや美術館での展覧会に参加させてもらい、その準備の度に、愛知県の様々な土地、食べ物、文化、人々に会い、体験させてもらいました。その都度、子供の頃とは違った、ある意味客観的な感覚で、関わり、見ることができたのは嬉しい事でした。まだまだ、当然ですが、隅々まではわからない。生まれ育った場所という感覚は今後大きな意味になってくるような、それもまた、楽しみです。

アーティスト
杉戸 洋

自分はオアシス21の敷地に建っていた旧愛知県美術館での最後の卒展になった年の卒業生なので今の愛知芸術文化センターと同じく、卒業後25年。制作スタイルも年と共に少しづつ変化しており、今後の使い方に合わせそろそろ自分のアトリエも修繕、メンテナンスが必要と考えるこのごろ。アート界の展示形式も少しづつ変化してきており、また今後25年も変化し続ける美術を受け入れられるよう更にうつわの大きい美術館に生まれ変わる事を願って。

愛知芸術文化協会理事長・清須市はるひ美術館館長
高北 幸矢

たかだか25周年、されど25周年。

芸術文化において、たかだか25周年、お祝いの言葉を申し上げる段階ではない。せめて100年たてば、おおいにその成果を讃え、また問題を突きつけねばならないだろう。愛知芸術文化協会も25周年を迎える。センターと同期なのは偶然ではない。センターの設立を機会に、県下の芸術分野の代表者たちが集い、センターの空間を補完するネットワークを目指して設立された。たかだか25周年、次代へ確かなバトンを渡して行かねばならない。

多摩美術大学学長 あいちトリエンナーレ2010芸術監督
建畠 晢

複合的な文化施設は珍しいわけではないが、愛知芸術文化センターはそれぞれが単独の施設としてもきわめて充実した規模と内容を誇り、また優れた専門スタッフを擁しているという点では、日本では他に類例がないはずである。私が芸術監督をつとめた第一回<あいちトリエンナーレ>のメーン会場はここであったので、当然ながらそうした利点を最大限に生かすことを念頭に置いて企画を進めた。幸いにして期待通りの成果を収めえたと自負しているが、それはまさにこのセンターならではの総合力が発揮されたからであるに違いない。

© Norifumi Inagaki

ダンサー、演出家、振付家
勅使川原 三郎

この度は、開場25周年おめでとうございます。

私たちKARASが、初めて愛知芸術文化センターで公演の機会を得たのは1993年の「ノイジェクト」でした。かなり激しいアグレシブなダンス作品でしたが、リスクを背負われた劇場の皆様のお力をかりて公演は大成功でした。そして20年ぶりの公演は昨年のモーツァルトのオペラ「魔笛」でスケール大きな公演を可能にして頂いたのは、やはり充実した製作体制を整えられた全てのスタッフの力、チームワークのおかげでした。

機械の劇場ではない人間の劇場でこそ芸術を可能にします。愛知芸術文化センターはこれからますます活躍すると確信しています。人間の劇場として光と音から美しい闇を湧き上がらせる風とおしのよいところであってほしいと思います。

アーティスト
戸谷 成雄

「美術館、美術とは何だろうか」 両方共、西欧社会が生み出した制度、概念であり日本はそれを輸入し、共感と反発を織り交ぜながら受け入れてきた。どこか人ごとのように。西風は今も吹いているし、吹きだまって抜けていかない。吹きだまりでは、さまざまなものが混ざり合い、捻れ合いながら安定を保っている。ある批評家は、世界の深刻な問題に取り組む現代美術の状況に比して日本は、お花畑のようだと揶揄した。「吹きだまり」と「お花畑」はそんなに悪い場所なのか、こんな場所だからこそ発酵、交配に適している。愛知県美術館は、近代美術の中央醸造所、交配機関になって欲しい。

愛知県立芸術大学副学長
戸山 俊樹

25周年おめでとうございます。世界に誇れる響きと機能性を持ったこの素晴らしいコンサートホールとオペラハウスが、今後益々県民に愛される劇場となっていくことを願ってやみません。
県民のための劇場に、是非、県立のオーケストラを!単に器として存在するのでは無く、劇場が生きものとして主体的に活動するには、オーケストラは不可欠です。世界に誇れる生きた劇場へと発展することを期待します。

アーティスト
奈良 美智

80年代に名古屋に住んでいた自分は、建物としては学生時代に卒業制作展で展示した旧県美が思い出深いが、作家として展示した今の県美は思い出にとらわれず現在進行形で身近にある。2009年の「放課後の原っぱ」の参加作家として初めて新しくなった県美に展示したが、これからもそういう機会が訪れることを願って精進していきたい。

名古屋ボストン美術館館長
馬場 駿吉

愛知芸術文化センター創立25周年、心からお祝い申し上げます。美術、音楽、舞踊、演劇、映像など、様々な芸術、文化の精髄に接し、体感出来るこの場から云い尽くせぬ恩恵を受けて来た者の一人として感慨深いものがあります。現代芸術は従来の領域別の概念を超え、互いに融合や多様な共生をめざす傾向にあります。それを先取りして来た当センターが、芸術・文化の普及のみでなく、その先端性を弱めることのない企画運営を続けていただくことを期待しています。

中学時代に俳句入門。医学教育、研究、診療のかたわら句作。1960年代初頭より、詩人瀧口修造とその周辺の多くの芸術家たちの知遇を得て、美術、演劇、映像、舞踊、音楽、文学など、現代芸術の最前線を横断する評論、エッセイを新聞、雑誌などに執筆。句集・美術論集・医学専門書など著書多数。

ダンサー・振付家
平山 素子

学生の頃、実家から自転車でわずか10分の場所に新たな芸術発信の場が誕生する!とワクワクしたのを覚えています。1999年に大ホールで開催された国際コンクールで第1位を受賞したことで、私の舞踊活動は大きく変化しました。その後、この劇場でダンスを創造する機会が何度もありましたが、全てが愛おしいチャレンジでした。これからも世界をリードする革新的な芸術がここから発信されることを心から願っています。そしてその一端を私が担うことができれば、この上ない幸福と責任を感じるでしょう。

国際文化研究所所長
藤井 知昭

創造と鑑賞の殿堂

国際的にも第一級の来日のオーケストラはじめ、オペラやバレエやこの地の芸術文化、またグループの晴れ舞台として芸文センターは機能してきた。すばらしい公演に感動し、懸命に練習を重ねて熱演する舞台に拍手を贈ってきた。この地域にかけがえのない大中小のホールや美術館に、25周年に通いつづけたさまざまな公演を想い起しつつ、これからも愛知の芸術文化創造のセンターであることを願っている。

アーティスト
細井 篤

美術館を楽しむ時、企画展は勿論だが、コレクション展も重要な存在だ。作品群はコンセプトが色濃く反映されているし、スタンスもわかる。そして気兼ねなく作品に会いに行けることが嬉しい。時代も背景も違う作品ではありながら時間を超越した現在の生な出会いがあり、今の心を映すように、迎えてくれる。

愛知県美術館は、日本の近現代の美術、繰り返される情報の上書きにより埋もれてゆきかねない作品の収集を続けてきた。意欲的だったプロジェクト、アーチの活動は、共有の財産として重要な意味を持つ。

25周年を期にしばらくの休館は残念だが、リニューアルと共にパワーアップした愛知県美術館、そしてトリエンナーレを期待している。

愛知県立芸術大学 学長
松村 公嗣

愛知県立芸術大学は昨年度、創立50周年を迎えました。
音楽では、国内有数のホールを持つ愛知県芸術劇場で在学中から演奏する機会を与えていただき、美術では、愛知県美術館に本学出身者の作品も多く所蔵していただいております。
卒業時には演奏会及び制作展を長きに渡り愛知芸術文化センター内にて発表させていただき、今、国内外で活躍されている卒業生の礎を共に育んでいただけました。
未来の節目まで、挑戦をし続けていきましょう。

アーティスト
三沢 厚彦

名古屋の地下鉄栄駅から直にアクセス出来る立地の良さに加えて、愛知芸術文化センターという、大きなスケールと可能性に満ちた建造物の10階に愛知県美術館がある。愛知県にとって主要部であるこの場所に、芸術や文化を発信する基地をもうけたという事実は、世界と人間の存在という根本的な主題を問題とし、思考するということの証しであるように思う。これほどの素晴しい概念と場に、展覧会やトリエンナーレを通して関わることが出来て非常に光栄に思う。リニューアル後もいろいろな角度から今までどうり関わらせていただきたいと願うのである。

多摩美術大学教授 あいちトリエンナーレ2016芸術監督
港 千尋

あいちトリエンナーレの特徴のひとつは、数ある芸術祭のなかでも今日の芸術を幅広く扱いながら最先端の表現を見せるところにあります。第三回の芸術監督としてこの空間のなかで過ごすうちに、美術館と劇場とが一体となったこの施設が中心となっているからこそ、総合性をもった祝祭を作れるのだと実感しました。愛知から世界へ向けて新しい芸術文化のスタイルを伝えつつ、次の四半世紀も力強く牽引していってほしいと思います。

IAMAS[情報科学芸術大学院大学]教授、フォルマント兄弟の兄
三輪 眞弘

今まで作曲家として、あるいは名古屋学芸大学の佐近田展康さんとの「フォルマント兄弟」として、ぼくは愛知芸術文化センターと様々な形で関わりを持ってきました。それは単なる作家の「発表の場」としてだけではなく、ここが「文化が生まれ、育てる場」として魅力的だったからに他なりません。そのような環境を支え続けてきた意欲と能力を備えたスタッフの方々に対する深い敬意と共に、今後のさらなる発展を心より期待しています。